「スタローンのにくいアレンジにシビれた別バージョン!」ロッキーVSドラゴ ROCKY IV snake666さんの映画レビュー(感想・評価)
スタローンのにくいアレンジにシビれた別バージョン!
個人的にはディレクターズカット否定派だが、本作は全体の印象がだいぶ異なる別解釈、別バージョンであり、同じディレクターズカット版でもこうした作品の発表のされ方もアリかなぁと、とても興味深いものになっていた。
過去の名作がこうした形で生まれ変わるのは自分の思い入れのある作品ならもっと見てみたいとも思った。
しかし一歩間違えればかなりの駄作に成り下がるリスクはあったろうに、今作はこっちはこっちでいいよなと、納得させられたのはスタローンのテクニックが素晴らしいと言わざるをえない。
大きな違いはドラマ部分を丁寧に描いている点だ。オリジナル版は80年代の能天気な雰囲気が充満する感じなのに対し、今作ではセリフの一つ一つに重みを持たせ、アポロはなぜドラゴとの試合を望むのか、そしてロッキーがドラゴとの試合に対してどのように向き合っていくのか等の描かれ方がビルコンティの重厚なメロディの引用と共にかなり奥深く描かれていた。
いったいどんだけ未公開シーンがあるのか、また同じシーンでもどれだけ別解釈のものがあったのかと、驚きながら物語を観ていくのはとても興味深かった。
そうして迎えるラストでの演出にはもう声が出そうになってしまう程グッと来てしまった。
観終わってから気づいたのだが実は冒頭から物語の伏線ともいえるジャブが細かく入れられており、それがラストにずっしり効いてきたんだなぁと痛感した。
オリジナル版に思い入れがある人も本作のバージョンもおそらく納得出来る内容であるのではなかろうか。是非とも往年のファンにはこの違いを味わっていただく事をオススメしたい。
余談になるが、自分は劇中で使用される曲が大好きで今回観るならそうした楽曲をいい環境で聴きたいというのもあり、立川での「極上音響上映」をチョイスしましたが、大正解でした。