エゴイストのレビュー・感想・評価
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あくまでも「家族」「愛」がテーマ
「ゲイ」や「同性愛」を全面的に推しているかと言われたらそうでもなく、映画の後半は「家族」や「愛」にフォーカスが当てられているように感じた。
前半こそ映倫の年齢区分に当てはまるような肌色のシーンが多め。主演の鈴木亮平は当事者と思わせるほどの演技力に感嘆。宮沢氷魚も役に自然と溶け込んでおり、違和感なく観ることができた。
どことなく、韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』にも似ているようにも思えた。
地方から上京し自由に暮らす浩輔と、母を支える龍太には経済的に格差があった。また、龍太が浩輔に「会わない」と言い放った後のシーンでは、深夜の仕事に就く龍太の姿と、突然出ていかれ困惑する浩輔に、寒暖色の差があった。都会のきらびやかな感じと、実家や田舎特有の暗さや静けさなど、こういった「差」をまざまざと見せつけることで、経済的価値感や恋愛的な感情をよりリアルに引き立てている。
愛の形は人それぞれ。まさにこれに尽きると思う。
相手を求めること、見返りを求めず人に尽くすこと…
これを単に愛と表現しても良いのだろうか。
色々と考えさせられた作品であった。
ドキュメンタリー映画を観ているかのような感覚。 一人の人間の人生が...
ドキュメンタリー映画を観ているかのような感覚。
一人の人間の人生が色濃く描かれ、その心の流れに触れゆく中で自分も彼の立場ならそうするかもしれないそう思うかもしれないと彼の心情にのめり込みそして最後の演出ではっとする。
愛とエゴ。私もその温かな手と手を繋ぎたい。
鈴木亮平、良い
ストーリー後半はともかくとして
鈴木亮平が良かった。
変態仮面での素晴らしいプロ意識に感心していたが、今回は渾身の演技だった。
その出立ち、頭の先から隅々まで見惚れるほどの男っぷり。
大画面で上質な音で観る映画は全身に染み渡りますね。
阿川佐和子の演技には期待していなかったが予想外に良かった。
自然な台詞回しが合っていたのだと思う。
もう一回、観たいな。
あったかくて優しくて、すこし悲しい
ゲイのカップルの話というより、普通にラブストーリーです。
お互いを思いやる優しさが、あったかいです。
大切な人は、異性でなくてもいい。その言葉に愛があります。
日頃テレビは見ないのです。
なので、鈴木亮平さん…前回スクリーンで見たのは虎狼の血LEVEL2でした。
あまりのギャップに唖然。
宮沢氷魚さんの、白い美しい背中、ピンク色のくちびる、ポッと染まるほっぺた
この人たちは演技なの?地なの?と思ってしまうほどでした。
ちあきなおみとWの悲劇ってゲイ受け半端ない。
無駄な音楽が一切なかった。へんに音楽で盛り上げたりする映画がとても苦手なんですんなり感情に溶け込みました。ドキュメンタリー映画を観てるかのよう。久しぶりに良作でした。
いつしかお互いがかけがえのない存在になる!
切なくて苦しくてどうしようもなかった。ただただ素敵な愛を感じられ、関係性が深まる中で身体以上の現実的•経済的な状況が見えてきてリアルに感じる素敵な作品でした。
役者の力
とにかく役者たちの力を感じた作品。
鈴木亮平さん、終盤にいくにつれどんどん美しく見えたし、阿川さんの戸惑いや受容の表現もとても自然で、何度か涙しました。
カメラワークがちょっと目がまわりそうだったり、役者に近すぎてもう少し全体が見たかったり、回想シーンが唐突だったと感じましたが、役者さんたちにねじ伏せられた感じでした。
愛とは何か、深く問いかけられるいい作品でした。
ちょっと丁寧過ぎるって言うか...
文学的でロマンチック。ビターでドキュメンタリーテイスト。ただのBLものだと思って見たら、全然違いました。こんなに考えさせられる物語だとは。「窮鼠はチーズの夢を見る」が少し懐かしい。
鈴木亮平と宮沢氷魚という、魅惑的な2人。
美しい体つきと振る舞いに思わず見とれてしまい、作品に没入出来ます。「孤狼の血 LEVEL2」のイメージが強すぎていたのだけど、完全に別人。カメレオン俳優とはまさに彼のこと。熱唱シーンなんて、鳥肌モノでした。宮沢氷魚は、これまで「なんか惜しいな...」という役ばかりでしたが、今回は彼の魅力を最高に引き出した役どころですごく良かったです。優しく包み込むような言葉遣いに惚れてしまう。2人とも超がつくほどハマり役でした。
ドキュメンタリー映画を見ているようなリアリティのあるカメラワークで、いい意味で作られた感じがしません。ごく自然で、身近。今までのBL映画にない手法であるから、ここまでの高い評価を得ているのだと思います。決して特別な2人の物語ではなく、どこにでもいる2人の物語。1つのエピソードの描きがこれ以上なく丁寧で、その時々の感情が真に伝わります。丁寧過ぎるがあまり、後半は間延びしているように、長いように感じてしまいましたが、それもまた見たらわかるいい演出かと。
時の流れを伝えるという難しい表現を、この丁寧さでとても上手く描写されています。当時と今。楽しい日々と寂しい日々。前半と後半で対になるような作りで、観客に色々なことを訴えかけてきます。ネタバレになるので多くは語れませんが、この映画を見る方はセリフの一つ一つに注目して欲しい。「すいません」「ごめんなさい」「ありがとうございます」は特に。
序盤の展開は少し急で「うっ、」と身構えてしまい、そこに関しては「窮鼠はチーズの夢を見る」の方が優れているかな〜と。でも、どちらの作品もそれぞれいい所があり、本作はより真正面に描いているような気がしました。何が正解なんだろう、何が間違っていたんだろう。少しばかり、自分の行動に変化が起きそう、そんな映画でした。ぜひ、劇場で。
血のつながりとは
いい意味で予想を裏切られた。話題先行になっている内容がテーマではなく色んな意味で生きずらい日本の社会の在り方とか人間の内面が描かれていたと思う。
血のつながりとは生物的な親子関係もしくはその連鎖で結ばれる関係を言うけれど、家族というものは血族関係で繋がるものだけではなく、血のつながりはなくとも、一つ屋根の下にともに暮らし助け合うそんな関係性も家族と言えるのではないか。血縁とか性別とか記号のようなものとわたしは考えている。一人の人間としてその人を愛すというのはとても素敵なことで、性別だけでそれを否定する権利は誰にもないと思うし、作中に出てくる「ごめんなさい」なんて言葉は必要ない。それがインタラクティブな愛であればなおのこと。
愛とお金が切り離せない世の中、仕方がないことだが悲しいことだと思ってしまう。
劇中でゲイ仲間のみなさんがたのしそうにWの悲劇について語り合ったり、ユーモアいっぱいにお互いを罵る場面では会話がセンスの塊だなって声に出して笑った。
いい意味で自由に何かに縛られず、誰かを否定せずに生きていける社会になればいいなと願わせてくれる作品でした
ひとりの男の愛
テレビのインタビューで
鈴木亮平が、この映画は脚本らしいものがほとんどなくて
話の方向性だけが決まっていて会話はアドリブ
だから役に入り込むのがすごく大変だった
と話していてきになったので鑑賞しました。
いやー、
この監督、カメラワークも独特で
ほぼ、役者の上半身や顔のアップばかりで
背景をほとんどみせない。
龍太の部屋を掃除しましょう!
って襖を開けても全く部屋は映らず
窓を開ける浩輔の背中のみ
道を歩いて涙を堪えつつ
自販機のドリンクを買うシーンでも自販機の影すら映らず
小銭やドリンクが出てくる音のみで自販機とわかるレベル
浩輔の部屋も必要最低限しか映りません。
監督の『人間の感情』にとことんフォーカスしたやり方なのでしょうか。
これは好みの分かれるところでしょうが
私はもっと全体を俯瞰でみたかったな
しかし結果的には浩輔に感情移入して3回も泣いてしまったので監督の勝ちですねぇ
鈴木亮平の演技は完璧
登場シーンの後ろ姿の首の傾げ方が
もう一瞬でゲイでした。
宮沢氷魚はパーソナルトレーナーにしては貧弱すぎるだろ!っと強く言いたいが
後半の展開を考えるとひ弱さも必要だったのかなぁ
彼の透明感と天使の笑顔を見ると他の役者さんは考えられませんが。
びっくりの展開
途中から予想だにしない展開となり、びっくりした。しかし、鈴木亮平さんの演技は凄かった。。孤狼の血LEVEL2とは同一人物とは思えず。宮沢氷魚さんも素晴らしい。お父さんとクリソツだった。
原作にはない生々しさを感じることができる映画
原作を知らない状態で鑑賞。その後、すぐに原作を買って読みました。原作を読みながら浩輔、龍太、龍太の母親が、鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん、阿川佐和子さんとしか思えない、むしろ3人に合わせて小説を書いたのではないかと思えるくらい、映画の配役が素晴らしかったこと、そして3人の演技が強く印象に残るものだったことを改めて感じました。
映画では2時間という制約の中で登場人物の感情を見事に表現していたのですが、やはり説明しつくせないところや疑問点はあったので、それは原作を読むことで解消できました。特に浩輔が龍太の母親に愛情を注いでいく理由や背景は、映画では「きっとこういうことだろう」と想像する必要が幾分ありましたが、原作では主人公の思いを丁寧に描いてくれているので納得できました。
一方、映画のヨリを中心にした撮影方法は登場人物の気持ちにぐっと惹きつけられ原作以上に感情移入できると思いました。また、生々しい仲間同士の会話や、浩輔と龍太の恋人同士のたわいない会話など、リアルなドキュメンタリーを見ているようで、原作以上に人のぬくもりを感じることができました。基本ずっとヨリなのでヒキが欲しくなるところもありました。例えば二人のベッドシーンは顔や腕のアップだけで進んでいくのでどういう状態なのか分かりづらい。リュウタが初めて主人公の部屋を訪ねたとき、「わー広い」というのですが、部屋の引き画がないのでどのくらい広いか分からない(ベランダの景色やソファーから高級マンションだということは分かり、そこからきっと広いのだろうなと想像することはできます)。
原作にないシーンとして、映画で数回流れるチャイコフスキーの「悲愴」に注目しました。チャイコフスキー自身もゲイの作曲家として苦悩を抱えていたそうなので、外では明るく振る舞う浩輔の、ゲイであるがゆえの悩みというか闇の部分を表しているのだろうと勝手に思いました。
男性同士の恋物語から始まるが、そのジャンルにとどまらず、愛とはなにかを考えさせられる深い内容へと進んでいく感動作品です。映画、原作を両方見て、こんな素敵な小説を書いた高山真さんの他の作品も読んでみたいと思ったのですが、鈴木亮平さんが書いたあとがきのなかで、すでに著者が他界されていることを知りました。残念です。あとがきで紹介されていた高山さんのエッセイを読んでどんな方だったのか想像してみたいと思いました。
鈴木亮平が好きになりました
初めて会った時から感情表現が直接的で愛し方も濃厚。恋から愛へと変化していくありきたりなラブストーリーだと思っていたのに、気がついたら一人の人間の生き様のお話になっていました。あんなに人を愛せるのが羨ましかった。そもそも人間は誰もがエゴイストだと思うし、愛し方にはエゴもなにもないと思う。彼らから放たれている体温の高さをスクリーンから感じられて、私も熱っぽくなってしまった。
成功してお金を稼いでいる浩輔と売りしか生きる術のない龍太は、社会における男性と女性の関係のようにみえました。
鈴木亮平さんの目線がいつも違うんですよね。演技が好きになりました。
文句なしの星5!
久しぶりに映画のパンフレットを鑑賞後に買った。そのくらい、もっとこの映画について知りたくなり、制作陣の想いを読みたくなった。
原作の高山真さん。すでにお亡くなりになっていて、この映画をご本人が鑑賞することは叶わなかったのがとても残念。
間違いなく、日本の映画にとって新たな素晴らしい作品が生まれたと思う。
多くの方がレビューされているが、これがクィア映画であるということは予告を見ればわかるのだが、私自身はあまりそこに捕らわれずに、ただただとあるカップルのお話という感じだった。
今まで様々なクィア映画を観たが、だいたいセクシャルマイノリティであるが為に、生きることが大変だとか、つらい目にあっているだとか、まぁ、なんだかんだあるのですが、本作の二人は自分たちがセクシャルマイノリティであるが為に、日常で窮屈な思いをしているようには描かれていないことが一つの大きな違いだと感じた。
鈴木亮平さん演じる浩輔は、まさに成功者。
(今の世で言う)高層マンションの最上階にすんで、ファッション雑誌の編集のお仕事をバリバリこなして、気のおけない友達もいて、楽しそう。
宮沢氷魚さん演じる龍太は、体の弱い母親を支えるために高校中退。まさに現代の社会問題にあるヤングケアラーとして、生きて来ているが、パーソナルトレーナーとしての夢を持ち、いつかはそれだけで食べていけるようになりたいと前向きで、とても爽やかな青年。
そんな二人が出会い、恋に落ちる。
前半は二人の絡み合うシーンがしっかりと描かれ、燃え上がる恋人同士ならではの、求め合う姿がとても丁寧に演じられている。
絶好調な二人に見えたのに、突然のお別れ宣言by龍太に、ビックリ驚いたが、理由はまた切ない、、、生活費のためにウリやってます。
そんなこと言われた浩輔は考えて考えて、結果、二人でできることを精一杯やりたいと伝え、龍太はその提案を受け入れる。好きなら別れない方法を考えればいいということね。
(まぁ、その方法には賛否両論あるやろけども)
龍太の母親にも会いに行き、3人で和やかな時間を過ごす。
((このあたりから、あと半分どんなドラマがあるんかな〜とチラリ時計確認した))
後半、ガラリと話のメインが恋人同士の話から家族へと変わる。
浩輔も龍太も"14歳"という年齢が大きな人生のターニングポイントとなっていた。
浩輔は、亡くなった母親へ募る想いがあっただろうし、だからこそ龍太の母へできる限りの事をしたかったのだと思う。
エゴイストと表現された愛の形ではあるけれど、相手のためにしてあげたい純粋な気持ちは、とても深くて暖かくて、だからこそ、もっとこうしておけばよかったと後悔する姿が余計に悲しく見えた。
劇中、何度も何度も涙が溢れて止まらなかった。自分の本当の気持ちを言葉にできない葬儀場で崩れてしまう浩輔がたまらなかった。
日本ではまだまだ、紙やら血縁やらが大切で、本人の意志や、思いがいくらあっても認めてもらえないことがある。
その点めちゃくちゃ海外と比べると遅れてるし、ほんまに恥ずかしく思う。
セクシャルマイノリティであるが為に、求める幸せのカタチを手にすることができない世の中が少しでも早く改善されますように。
ドキュメンタリーぽく一番感じられたのは、浩輔と友人たちの居酒屋シーン。ほんとに自然で、めちゃくちゃ話の内容やテンポが面白くて、声出して笑っちゃったわ。
愛
自然と涙が流れた。
人を愛すること、愛されること、
愛する人を失うこと、
愛する人の愛する人を愛すること
そこに性別は関係ないのだと思いました。
みんなエゴイストだと思う。
『愛がわからない』
『受け取る側が愛だと思ってるんだからそれでいい』
『帰らないで』
『はい』
俳優さんてすごい。
ドキュメンタリーみたいな
原作を知らずに観たので、てっきり最初は精神的にも金銭的にも鈴木亮平が宮沢氷魚に与えることで上手く行ってた関係が、次第に崩れてくるものなのかと思っていたら、途中であっさり急展開で「えっっ⁉︎」てなった。
そうかー。こうだったのかー。
これが実話だったのなら悲しい。
個人的には、鈴木亮平と宮沢氷魚の人間臭いやり取りと生活を、もっと見たかった。
映画自体は俳優さん達の演技やセリフのやり取り、ストーリー運びが何だかとてもリアルで、ザ・ノンフィクションやドキュメンタリーを見てるのに近い感じがしました。
主要キャストの鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん、阿川佐和子さんの演技がとにかく素晴らしくて、それだけでも観る価値があります。
鈴木亮平さんは非常に細かな表情や仕草やセリフ回し、身体つきまで、本当に骨の髄まで完璧なゲイでした。宮沢氷魚さんはとにかくナチュラルで透明感溢れる魅力全開で、鈴木亮平さんとのコンビネーションは抜群。阿川佐和子さんは御本人は本当は良家のお嬢さんで売れっ子有名人なのですが、貧しくとも人が良くて良識のある、どこにでもいそうな感じの素朴なお母さん役がドハマりでした。
しかし鈴木亮平さんは超一流の俳優さんですね。
日本のロバート・デ・ニーロとかも言われていますが、いずれ日本のみならず世界でも活躍されるのではないでしょうか。
畢竟すれば愛とは
まずは鈴木亮平と宮沢氷魚に拍手
かなりハードな演技を求められたでしょうが、それに応えたアクションは、観ているこちらが照れてしまいました。LGBTがようやく世間に認識されてきてはいるでしょうが、まだまだハードルは高い。そんな中でようやくフィットするパートナーに出会える。その相手と幸せになるためエゴイストになってもいいのではないかなと。さらにもうひとつステップを重ねる鈴木亮平さんと阿川佐和子さんのやりとりに涙しました
自慢の息子です。
この物語になぜこのタイトルなのかずっと疑問だった。嘘には人を傷付ける嘘と傷付けないための嘘がある。そう。それはきっとエゴも同じこと。人を傷付けないためのエゴだってあるだろう。
体が悪い母親を支えながらまさに身ひとつで稼ぐ龍太。かつて母親に尽くせなかった後悔からそんな龍太に寄り添う浩輔。苦難も乗り越えてただ一緒にコーヒーを飲む幸せ。父親に打ち明けられないこと。母親に見透かされたこと。そして悲しい出来事が起こり、浩輔のエゴが加速してゆく。優しさ故の。
鈴木亮平が頭のてっぺんから爪先まで完璧に浩輔その人で、ちょっと鳥肌がたつような演技でした。母と息子。大切な人の命に触れながら、悲しくも美しい終着点へ。身勝手でもいいではないか。目の前の人に必要とされているのだから。
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