エゴイストのレビュー・感想・評価
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エゴイズムは愛に昇華させうるということ
利己的な行動であれ、愛にまで昇華することができる。
人は孤独ではなく、愛する人を作り、家族ですら作ることができうる。
そういう学びがあった。
同時に、これは生活に余裕のある人間にしかできない芸当かもしれないとも思った。
つまり、金銭的・精神的・肉体的な余裕がないと、他人を包摂したり、ましてや人に何かを与えることによってエゴをこの映画のような形で昇華できないのではないかと思った。
その問いに100%答える映画ではなかった気はする。
私はいま日々生きることに追われ、そのような余裕を作り出せていないので、今の状態ではリュウタのポジションで留まるだろう。
つまり、人から与えられるままに生き、お返しのできないうちに死んでいくということだ。
それでも、生きて人と関わる中でその先に何を指向するかによって、人に何かを与えたりそれによりエゴを昇華させ愛に転じさせることが"もしかしたらできるかもしれない"という気持ちにさせてくれた。
ただ、想いはあくまでその瞬間瞬間のエゴであり、エゴのポジティブな昇華は偶然の結果に過ぎず、想いの先にある見返りを期待するものではないと思う。
"エゴの出し方を磨きなさい"という示唆とでも言おうか。
映画からの帰り道、雑踏の中で私が人々を眺める視線は確実に映画を見る前とは変わっていた。そんな余韻があった。
良作でした
前回いただいたさほど好みではないお菓子をやっと食べ終わった頃に、また同じものをくれ、今度はそれがまだ食べきっていないうちに、また同じものをくれるというジレンマはエゴイストにより生じられる。
ふたつの喪失を取り戻す物語
●公式サイトからあらすじ
14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである⺟を⽀えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。
自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の⺟も交えながら満ち⾜りた時間を重ねていく。亡き⺟への想いを抱えた浩輔にとって、⺟に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。
***
作品の冒頭、母の命日に、故郷に帰った浩輔が幼年期に自分を「オカマ」と罵った、今も地元で暮らしているらしい、よれよれの作業着を着たいじめっ子と横断歩道ですれ違う。
浩輔は、当時のいじめっ子たちを「豚」と呼ぶ。そして、大人になったいま、自らが着る高級ブランドの洋服を「鎧」と称し、無理解の敵から、自分を守ってくれるものだと心の中で呟く。
他方、偏見に満ちた田舎から都会へ飛び出し、同好の士に囲まれ、一定の理解が進むファッション業界で高い収入を得てもなお、浩輔にはどこか隙がなく、幾重もの「鎧」を身に纏っているようにも見受けられる。
鈴木亮平演じる浩輔は少年期にすでに同性愛性向があることを自認したようだ。そして、時同じくして、母を喪う。この多感な時期に、愛することと、愛されることの両方が、身のまわりにある多くのケースと異なっているという自覚が、後のかれに重い「鎧」を着せることになる。
ドキュメンタリー映画のように寄りが多用されたカメラワークが何度も捉えるのは、浩輔が鼻で強く息をする瞬間だ。ため息のような、深呼吸のような、忘れていた呼吸を思い出したかのような、あるいはどこか不浄な白い粉を勢いよく吸い込むときのような刹那、かれはふと鎧を脱ぐ。
表題の「エゴイスト」には、自分本位、利己という意味が充てられる。長い行列をなす人気店に我先にと割り込むその人は文字通りエゴイストである。
では、視力を失った人が星空を見たいと願うことはエゴなのだろうか?幼いころに愛すること、愛されること両方を喪った人が、時を経て、鎧を脱いでも良いと思えるパートナーやその母親と出会い、かれなりの不器用な方法で埋めようとする、どこまでも利他的な情動はエゴなのだろうか。狭いキッチンで阿川佐和子演じる母と、「わがまま」という言葉が飛び交う押し引きの場面は特に象徴的である。
意外な結末でしたね。 途中の歌唱シーンかなり笑いそうになるのを我慢...
何回か見たい
演技と演出がマッチしてるのか
エゴイスト
ゲイのレベルの上がった愛物語
愛の意味とは?
男性同士の「純愛物語」です。
ファッション誌の編集者の浩輔と、彼が出会ったパーソナルトレーナーの龍太との純愛物語です。
「浩輔」を演じる鈴木亮平さん、「龍太」を演じる宮沢氷魚さんとも、俳優やモデルとして活躍しており、この二人が、自分たちのイメージを壊しかねない、「ゲイ」が主役の作品の出演を、なぜ、承諾したのだろうか?という疑問が、この作品を観ようと思ったきっかけになりました。
この作品は、作者の高山真氏の自伝的小説が原作だそうで、ここ最近、何かと話題になる「LGBT(エルジービーティー)」問題を描いた作品だと思っていました。
しかし、そうでは無くて、お互いに惹かれあって、男性同士の恋人の関係になる迄の過程が描写されています。
小説を読んでいないので分かりませんが、作者の高山真さんは、実際に、このような体験をされたのでしょうか?
私は、観終わって、かなり衝撃を受けたのですが、「エゴイストは誰なのか?」、「龍太は何故、『この世は地獄だけじゃなかった』と思うに至ったのだろうか?」と想いを巡らせました。
そして、鈴木亮平さん、宮沢氷魚さんが、この作品の出演を承諾した理由が、何となく分かるような気がしました。
宮沢氷魚2回目のゲイ映画鑑賞
坊主好きなら袈裟まで好き。
BLとエゴの要素がメッチャ濃い目だけど自分がイメージしていたのと全く違ってとても素晴らしい邦画。 本年度ベスト!!
予告編のBL度が濃かったので全く観る気も無かったけど何気に高評価なので鑑賞を決意(笑)
メッチャ素敵な作品に出会えて満足度は超高め!
鈴木亮平さん演じる出版社で働く高収入のゲイの浩輔。
宮沢氷魚さんが演じるのは母一人に育てられ、母を養う為にジムのトレーナーとして働く龍太。
龍太が浩輔のパーソナルトレーナーとしてトレーニングする中、二人の間にある思いが芽生える展開。
龍太が生活の為に色んな仕事をする中、浩輔がお金や物で龍太を支援すると同時に龍太の母へも気を遣う感じが、まさにエゴイスト。
途中から龍太の母と浩輔の二人のシーンが多くなる展開は予想も出来なかった。
浩輔のエゴが龍太から母親に切り替わる感じなんだけど、これはエゴではなく愛と言った感じ。
愛とエゴに違いがあるのか?
気になる感じ。
鈴木亮平さんの演技がとにかく素晴らしい。
出だしからゲイの雰囲気が全開(笑)
個人的に主演男優賞を差し上げたい位の演技。
宮沢氷魚さんも同様に素晴らしい。
龍太の母を演じた阿川佐和子さんも良い。特に後半、浩輔との会話ややり取りが自然過ぎて素晴らしい。
本作は観る予定が全く無く、前情報は一切無く観たのも良かったかも!
もっと早く観ていればと反省。
隣に座っていた同年代の男性。
鑑賞中に大笑いしたり大泣きしたり。
かなり心が揺さ振られていた感じ(笑)
自分はそこまで表には出さなかったけど気持ちは同じでした( ´∀`)
観ることでタイトルの意味が変わってくる
屈強な見た目とその中に隠れた脆さを持つ浩輔と若く透明感に溢れた龍太、二人の満ち足りた時間を描く前半、そこだけで終わってくれても良かったが、辛い展開が続く後半。救いがないように見えるがラストで良かったと思えるからさすが。
浩輔の自己犠牲が過ぎるなと感じてしまう献身は前半では愛情、後半ではどこか利己的に感じた。だけど後半でタイトルの意味が分かってくるから良い。
エゴの中には愛することが含まれているんだなぁ。
今作はドキュメンタリータッチのカメラワークで描かれる。
二人のSEXシーンはかなり生々しく、綺麗な体と美しさが印象的。
ゲイ友との会話が面白いが、その中にいるとちょっとだけ鈴木亮平は浮いてるなと感じてしまった。
愛の本質を投げかけた作品
鈴木亮平と宮沢氷魚という組み合わせで、これは観なければ!って感じたのを覚えています。
少し切ない男性同士のラブストーリー。
ではなく、様々な形を包む、愛の本質を投げかけた作品でした。
「his」でも見せた宮沢氷魚の美しさは変わらず、今作でもその澄んだ仕草は愛おしさを含んでました。
そして、それをねじ伏せるでもない絶妙な芝居を見せる鈴木亮平ですね。いや、本当すごいです。
今回もそのアプローチが凄くて実に自然。ゲイそのまんまでした。
それと全く期待してなかった阿川佐和子、思いの外自然で良かったですね。
音楽が寄り添うようで自然。変に盛り上げる事もなく、二人を邪魔しないのが凄く良かったです。
カメラが独特で寄りばかりなんですが、これも何だか二人それぞれの視点のように見えました。
不安定な、先のわからない二人そのもののような。情熱的で今だけを必死に生きている感じとでも言うのでしょうか。
少し可笑しかったのが二人が一緒に映っている時です。
鈴木亮平はかなり落としていますが、それでも隠せない肉体が目について目について…。
トレーナーとトレーニー、ネコとタチ、どちらも逆では?と何度も観ていて微笑んでましたw
最初は同性愛者との恋愛、そして疑似家族としての家族愛。
初めは金で繋ぎ止めてしまうエゴでも、ちゃんと相手は受け止めていてくれていた優しさ。
形は様々でも、どれも愛の本質は変わらないんですね。
そして孤独だった浩輔も、ふと気がつくと愛に包まれていました。
静かでとても優しい物語でした。
いろいろ考えさせれる内容の映画でした。 阿川佐和子さんがよかった。...
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