エゴイストのレビュー・感想・評価
全245件中、81~100件目を表示
形
ソフトなBLよりかは規制の入るくらいの描写を携えたBLの方が好きなので、しかも主演2人の掛け合いが予告の時点でとても良さそうだったので公開から1ヶ月ほど経ってから鑑賞。
前半と後半で物語の根幹こそ変わらないものの、全く違う物語へと変わっていく不思議な作品でした。
まず前半は浩輔と龍太のフレンチキスからのハードなベッドシーン。「窮鼠はチーズの夢を見る」ほど激しくはないですが、とても美しいベッドシーンでした。2人の手つきや仕草がとても綺麗で、見てはいけないものを見ているはずなのに、見入ってしまう、そんな迫力がありました。
龍太が一度は浩輔を突き放しますが、それでも龍太が必要だった浩輔が支えるという名目で龍太に付きっきりの生活を送ることになります。生活費を渡す、お客以上恋人未満といったところでしょうか。でも2人は幸せそうで、母親とも一緒にご飯を食べたりと、平穏な生活が続くと思われたのですが…。そこで龍太の死はかなり驚かされました。
龍太が過労で亡くなってしまった後、龍太のために尽くしていた浩輔が今度は龍太の母の生活費、そして生活の面倒も見始め、実の息子の様な感じになっていくのは依存では無く、まさしくエゴもといワガママなんだなと思いました。タイトルの意味が一貫していて、物語の終わりにエゴイストのタイトルが出て来た瞬間は唸るものがありました。
部屋の装飾や衣装なども凝っていて、浩輔の部屋はとても綺麗に纏められており、こういう部屋に住んでみたいな思えるものになっていました。
ちょっと残念だったのはゲイという設定がオカマに近い造形で作られていたことです。結構違うと思うんですが、全体的に女性っぽい仕草をする男という感じで進められていたので、もっと普通の男で進んだら良かったのになとは思いました。あと物語が思った以上に長く感じてしまい、浩輔と龍太のシーンを気持ち長くしていても良かったのではないかなと素人ながら思いました。
とても純で、エゴイストというタイトルの意味を深く考えさせられる作品でした。公開から1ヶ月経っても興行は上向きです。今がちょうど見頃ではないでしょうか。
鑑賞日 3/13
鑑賞時間 11:55〜14:00
座席 E-1
ゲイのレベルの上がった愛物語
優れた表現スタイルと、1点の疑問
(完全ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
私は異性愛者であるのでこのような題材の映画を見るのはどうなんだろうとの躊躇もあったのですが、おそらく2023年の代表する邦画の1つになる予感もあり鑑賞しました。
結果、やはり優れた映画で、見ておいて良かったと思われました。
この映画の特に優れている点は、主人公の斉藤浩輔(鈴木亮平さん)と恋人の中村龍太(宮沢氷魚さん)の2人の世界を、ほとんど寄りのサイズでしかも手持ちカメラで表現しているところだと思われました。
その理由は、現在の日本において、本当の意味でのゲイ(あるいはLGBTQ)の世界は、その小さな世界にフォーカスしないと生き抜くことは出来ない難しい現実であることを、2人の世界のクローズアップの画角で表現していたと思われたからです。
この2人の世界にフォーカスするカメラ表現は、一般の日本の現実が本当の意味では彼らの世界に無理解だということを、非常に正確に、今の世界を捉え表現していると私には思われました。
それは、特に彼らの世界の外にいる私のような人間には深く突き刺さる表現だったと思われます。
ところで、1点だけ個人的には疑問の個所をこの映画に感じました。
それは、中村龍太の母親である、中村妙子(阿川佐和子さん)の言動です。
主人公の斉藤浩輔は恋人の中村龍太の死後に、中村龍太の母親である中村妙子に対して、自分のエゴで中村龍太に無理をさせてしまった、中村龍太の死は自分が追い込んで招いてしまったとの趣旨の思い切った告白と謝罪をします。
その時に中村妙子は、斉藤浩輔に対して「謝らないで」との慰めの言葉を掛けるのです。
もちろん、この中村妙子の斉藤浩輔に対する、あなたに責任はないのよ、との思いは、正しい感情だとも言えます。
しかし私は、この場面で中村妙子は<いや、龍太の死は私に責任がある>と伝える必要があったのではないかと思われました。
中村妙子は斉藤浩輔が初めて自分の家に訪ねて来た時に、斉藤浩輔に彼女はいるの?との質問をしています。
またその時、中村妙子は息子の中村龍太に、斉藤浩輔はあなたにとって大切な人なのかと聞いて、それに対して龍太は(私の記憶違いでなければ)明確に答えていないことが後に明かされます。
つまり、中村妙子は息子がゲイであることを薄々感じていながら、そのことについて互いに深く話をしていなかったことが分かるのです。
このことは、母親の中村妙子が息子の龍太がゲイであることを、潜在的には認められていなかったのが理由だと思われます。
(彼女が潜在的にゲイを認めていなかったからこそ、中村妙子と息子の中村龍太の間には率直にそのことを話せない見えない壁があったと思われます。)
ただ私はそのことについて中村妙子を責めるのは一方で間違っていると思われます。
なぜなら私自身もそして一般の多くも、(残念ながら)潜在的には彼らに対する潜在的な拒否感は厳然と存在していると思われるからです。
しかし中村龍太が身体を売ることになったのも、中村龍太が母親の中村妙子に自身がゲイであることを率直に打ち明けられなかったのが遠因となっていると一方では思われるのです。
斉藤浩輔は中村龍太の死に際して、彼の母親の中村妙子に、自分が中村龍太に無理をさせてしまったとの勇気を持った告白と謝罪を行います。
なのでそれに対して中村妙子の方も、潜在的には息子の中村龍太のゲイを否定していたとの勇気を持った告白を斉藤浩輔に対してする必要があったと思われるのです。
主人公の斉藤浩輔は、彼の母親(斉藤しず子(中村優子さん))を若くして亡くしています。
最後の方で映る回想の斉藤浩輔の母親(斉藤しず子)の横顔は、寂しそうで、私の解釈では、斉藤浩輔の母親(斉藤しず子)もまた息子の斉藤浩輔がゲイであることを薄々感じながら潜在的に拒否していたようにこちらには伝わりました。
この映画は、斉藤浩輔と、中村龍太の母親の中村妙子の病室のシーンで終わります。
そしてこのラストカットのメタファーとしては、斉藤浩輔と彼自身の母親(斉藤しず子)との、あるいは中村龍太と彼の母親の中村妙子との、息子がゲイであることに関して母親が本心から認め、2人の息子が世界と和解するラストにする必要があったと思われました。
そのためには、母親の中村妙子が、息子である中村龍太がゲイであることを潜在的には拒否していたとの告白を、斉藤浩輔に対して必ずする必要があったと思われました。
なので個人的には、特に前半は優れた作品だと思われながら、後半にそれぞれの母親に関して曖昧になってしまったのが惜しい作品になっていると、僭越ながら思われました。
点数はその評価となりました。
愛の意味とは?
男性同士の「純愛物語」です。
ファッション誌の編集者の浩輔と、彼が出会ったパーソナルトレーナーの龍太との純愛物語です。
「浩輔」を演じる鈴木亮平さん、「龍太」を演じる宮沢氷魚さんとも、俳優やモデルとして活躍しており、この二人が、自分たちのイメージを壊しかねない、「ゲイ」が主役の作品の出演を、なぜ、承諾したのだろうか?という疑問が、この作品を観ようと思ったきっかけになりました。
この作品は、作者の高山真氏の自伝的小説が原作だそうで、ここ最近、何かと話題になる「LGBT(エルジービーティー)」問題を描いた作品だと思っていました。
しかし、そうでは無くて、お互いに惹かれあって、男性同士の恋人の関係になる迄の過程が描写されています。
小説を読んでいないので分かりませんが、作者の高山真さんは、実際に、このような体験をされたのでしょうか?
私は、観終わって、かなり衝撃を受けたのですが、「エゴイストは誰なのか?」、「龍太は何故、『この世は地獄だけじゃなかった』と思うに至ったのだろうか?」と想いを巡らせました。
そして、鈴木亮平さん、宮沢氷魚さんが、この作品の出演を承諾した理由が、何となく分かるような気がしました。
宮沢氷魚2回目のゲイ映画鑑賞
坊主好きなら袈裟まで好き。
虚無・退屈
鈴木亮平の演技力はかなり研究されていて流石だった。
が、それ以外が近年稀に見るほどの低評価。
全体を通してテンポが非常に悪く、
ストーリー的な波もないので
非常に退屈なシーンが続いた末に
急いでタイトル回収がされ、
突然タイトルコールで終わる。
思わず、は?って言ってしまった。
テンポが悪い割に、
重要な部分はハショられていて、
それぞれの心情や状況の変化の描写が荒く、
展開がいきなりなことが多い。
例えば、彼が働き詰めで過労死するシーンも、
疲労が蓄積していってフラフラしたり倒れるシーンもなく、急に電話で朝死んでましたって連絡だけくる。
と言った感じで、
置いてけぼりにされたと思えば
突然、お涙頂戴でサクッと登場人物を殺したり、
病院送りにし、納得がいかずモヤモヤする。
じゃあ時間が足らなかったのか?
というとそうでもなく、
無駄な描写の時間は異様に長く、
前半はベッドシーン、
後半は父との食事シーンに無言で手元と皿が映り続けたり(気まずい感じ出すにしても長い)、
お母さんとのやり取りが極端に遅く、
引き延ばした感じがある。
また、個人的に詳細にツッコむとすれば、
お母さんにお金を渡すシーンが頭悪くて笑いそうになった。
「息子さんにもこうしてお金を渡していたんです。」
え?それ言うの?お金渡すことで贖罪するエゴイストはわかったけど、恩着せがましいにも程があって台無し。
あの歳で「あなたは魅力的です。」って言い方しないし、
月20万もらって更にあんだけバイトしてたら
かなり余裕あるはずだし、
詰め込みたいもの詰め込んでチグハグ感。
LGBTQ当事者としても共感出来ず、
主人公が現実離れし過ぎて感情移入もしにくい。
ストーリー、映像において虚無。
いっそ潔く1時間程度にして欲しかったところ。
LGBTQに媚びつつ、
監督のこだわりだけが強く残った作品。
ぶっちゃけ高評価の意味がわからない。
阿川さんに泣かされるとは。。。
鈴木亮平と宮沢氷魚の完全憑依型の演技には圧巻です。
あそこまで、ガッツリディープキスしたり、男同士の濡場を演じれのはこの二人だけでしょう。
鈴木亮平が少しオネエなのが気になったが、あれもやりすぎない程度に幾度となく勉強を重ねた結果なのだと後から知りました。
二丁目仲間達とのおふざけなアドリブ?トークはまさに完璧でした!
中盤早々に氷魚くんが死んだのは、悲しいというかかなり突拍子もなくな感じだったので、涙は出ず。。。できれば二人のハッピーエンドが観たかったというのが本音。
意外たったのが、いつもたけしさんの横でワイワイ楽しそうにしてた阿川さんの演技。
全てがナチュラル過ぎませんか?マジで普通のおばさんというか。。。
途中から、これドキュメンタリー!?って錯角するほど。
カメラワークとか部屋の暗さとか、セリフのボリュームがまさにそれなんですよ。ノンフィクション観てるのかと錯角した人も多いはず?
だからこそ、後半からラストにかけて号泣の連続なんですよ(,, ඉ﹏ඉ ,,)
演技してるとか、作られたものという感覚が無くなって、完全にリアルなモノの映像として捉えてしまって、変な感情になって終演後もずっと泣き崩れていました。
大好きだったパートナーを失っても、その家族まで責任を持って愛するのって、とても大事なことだなって実感した。
BLとエゴの要素がメッチャ濃い目だけど自分がイメージしていたのと全く違ってとても素晴らしい邦画。 本年度ベスト!!
予告編のBL度が濃かったので全く観る気も無かったけど何気に高評価なので鑑賞を決意(笑)
メッチャ素敵な作品に出会えて満足度は超高め!
鈴木亮平さん演じる出版社で働く高収入のゲイの浩輔。
宮沢氷魚さんが演じるのは母一人に育てられ、母を養う為にジムのトレーナーとして働く龍太。
龍太が浩輔のパーソナルトレーナーとしてトレーニングする中、二人の間にある思いが芽生える展開。
龍太が生活の為に色んな仕事をする中、浩輔がお金や物で龍太を支援すると同時に龍太の母へも気を遣う感じが、まさにエゴイスト。
途中から龍太の母と浩輔の二人のシーンが多くなる展開は予想も出来なかった。
浩輔のエゴが龍太から母親に切り替わる感じなんだけど、これはエゴではなく愛と言った感じ。
愛とエゴに違いがあるのか?
気になる感じ。
鈴木亮平さんの演技がとにかく素晴らしい。
出だしからゲイの雰囲気が全開(笑)
個人的に主演男優賞を差し上げたい位の演技。
宮沢氷魚さんも同様に素晴らしい。
龍太の母を演じた阿川佐和子さんも良い。特に後半、浩輔との会話ややり取りが自然過ぎて素晴らしい。
本作は観る予定が全く無く、前情報は一切無く観たのも良かったかも!
もっと早く観ていればと反省。
隣に座っていた同年代の男性。
鑑賞中に大笑いしたり大泣きしたり。
かなり心が揺さ振られていた感じ(笑)
自分はそこまで表には出さなかったけど気持ちは同じでした( ´∀`)
観ることでタイトルの意味が変わってくる
屈強な見た目とその中に隠れた脆さを持つ浩輔と若く透明感に溢れた龍太、二人の満ち足りた時間を描く前半、そこだけで終わってくれても良かったが、辛い展開が続く後半。救いがないように見えるがラストで良かったと思えるからさすが。
浩輔の自己犠牲が過ぎるなと感じてしまう献身は前半では愛情、後半ではどこか利己的に感じた。だけど後半でタイトルの意味が分かってくるから良い。
エゴの中には愛することが含まれているんだなぁ。
今作はドキュメンタリータッチのカメラワークで描かれる。
二人のSEXシーンはかなり生々しく、綺麗な体と美しさが印象的。
ゲイ友との会話が面白いが、その中にいるとちょっとだけ鈴木亮平は浮いてるなと感じてしまった。
愛の本質を投げかけた作品
鈴木亮平と宮沢氷魚という組み合わせで、これは観なければ!って感じたのを覚えています。
少し切ない男性同士のラブストーリー。
ではなく、様々な形を包む、愛の本質を投げかけた作品でした。
「his」でも見せた宮沢氷魚の美しさは変わらず、今作でもその澄んだ仕草は愛おしさを含んでました。
そして、それをねじ伏せるでもない絶妙な芝居を見せる鈴木亮平ですね。いや、本当すごいです。
今回もそのアプローチが凄くて実に自然。ゲイそのまんまでした。
それと全く期待してなかった阿川佐和子、思いの外自然で良かったですね。
音楽が寄り添うようで自然。変に盛り上げる事もなく、二人を邪魔しないのが凄く良かったです。
カメラが独特で寄りばかりなんですが、これも何だか二人それぞれの視点のように見えました。
不安定な、先のわからない二人そのもののような。情熱的で今だけを必死に生きている感じとでも言うのでしょうか。
少し可笑しかったのが二人が一緒に映っている時です。
鈴木亮平はかなり落としていますが、それでも隠せない肉体が目について目について…。
トレーナーとトレーニー、ネコとタチ、どちらも逆では?と何度も観ていて微笑んでましたw
最初は同性愛者との恋愛、そして疑似家族としての家族愛。
初めは金で繋ぎ止めてしまうエゴでも、ちゃんと相手は受け止めていてくれていた優しさ。
形は様々でも、どれも愛の本質は変わらないんですね。
そして孤独だった浩輔も、ふと気がつくと愛に包まれていました。
静かでとても優しい物語でした。
いろいろ考えさせれる内容の映画でした。 阿川佐和子さんがよかった。...
恋愛とは、人生とは、を考えさせられる
同性愛者が周りにいないと思ってる人が多いと思っています。実際にも周りがそうだと言う人も少ないと思います。私は友人と映画を見に行き、最初はBLが好きだったので見に行きたい気持ちであり、友人はBLが嫌いな訳じゃないですが、普段から見るような人でもなかったのですが、全体的に通して、気に入ったと言っていました。個人的に宮沢氷魚さんが役者として好きであり、友人は鈴木亮平さんが好きだったのでお互いの好きな役者さんの演技を見ながら、人生について、役者について見ることが出来ました。男同士の濡場シーンは嫌煙する人が多いと思いますが、それもひとつの愛情表現で後半につれて、異性同性関係なく一人の人間を愛する恋模様が細かく表現されていて、異性愛中心で広げられる世界でもこういうひとつの世界もあるんだよというのが伝わる気持ちがあります。これからの人生誰を愛して、否定や反論されてもその人のことを愛していける私でありたいなと思いました。
あくまでも「家族」「愛」がテーマ
「ゲイ」や「同性愛」を全面的に推しているかと言われたらそうでもなく、映画の後半は「家族」や「愛」にフォーカスが当てられているように感じた。
前半こそ映倫の年齢区分に当てはまるような肌色のシーンが多め。主演の鈴木亮平は当事者と思わせるほどの演技力に感嘆。宮沢氷魚も役に自然と溶け込んでおり、違和感なく観ることができた。
どことなく、韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』にも似ているようにも思えた。
地方から上京し自由に暮らす浩輔と、母を支える龍太には経済的に格差があった。また、龍太が浩輔に「会わない」と言い放った後のシーンでは、深夜の仕事に就く龍太の姿と、突然出ていかれ困惑する浩輔に、寒暖色の差があった。都会のきらびやかな感じと、実家や田舎特有の暗さや静けさなど、こういった「差」をまざまざと見せつけることで、経済的価値感や恋愛的な感情をよりリアルに引き立てている。
愛の形は人それぞれ。まさにこれに尽きると思う。
相手を求めること、見返りを求めず人に尽くすこと…
これを単に愛と表現しても良いのだろうか。
色々と考えさせられた作品であった。
ドキュメンタリー映画を観ているかのような感覚。 一人の人間の人生が...
全245件中、81~100件目を表示