「愛とは何かを深く問われた気がしました」エゴイスト TamTamさんの映画レビュー(感想・評価)
愛とは何かを深く問われた気がしました
育児のため映画館から足が遠のいていたのですが
1年ぶりに機会があり、最初の1本にこちらの映画を鑑賞しました。
愛とは何かを深く問われた気がしました。
序盤の濡れ場多めのシーンは確かに苦手な方がいらっしゃるかと思いますが、
その中にちりばめられた
・見送られる・見送る人
・いってらっしゃい・いってきます
・ハンドクリームを塗ってあげる
・ドライヤーで髪を乾かしてあげる
・実家での隠れたキス
などのさりげないあたたかな愛を感じるシーンと同じく、
様々な形で語られる【愛】(濡れ場は情熱を感じる愛でしょうか)を感じる重要なシーンでした。
浩輔は【お金】という目に見える形にしないと
自分の愛や相手との愛が感じられず、無くなってしまいそうで怖い思っているのかなと思いました。
とにかく与えることが浩輔にとっての【愛】で
確かに一方的なエゴなのかな、と感じることもありました。
ですが、作中友人が「ゲイは結婚できないから」と婚姻届けを壁に貼るエピソードもそうですが、
異性愛者は結婚という形をとったり、子供をなせれば
書類上の婚姻関係だったり(別れた後も戸籍上は×が残ったり)で形が残り
その後もその形が利用できますが
(例えば別れた家族です、という関係が成り立つなど)
別れてしまう・離れてしまうと何も残らない(=他人になってしまう)という現実が
そうさせているのかもと思いました。
終盤に龍太の母から
受け取る側が愛と感じたならそれは愛だ、
というセリフがありますが
この言葉が大変印象的で、そして救われた気持ちになりました。
役者さんの面でいえば、
本当に素晴らしいの一言でした。
浩輔が本当に愛らしくいとおしく感じます。
この鈴木亮平さんの「細胞レベルで浩輔だった」と評された演技はもちろんですし、
氷魚くんのフレッシュでまぶしい龍太に、阿川佐和子さんの理解ある子を愛する母も素晴らしかったです。
この作中にいる2人はどこにでもいる、街中にありふれた
【愛】を育んだカップル
ただ愛した人が同性なだけ、と感じました。
先日、時代錯誤も甚だしい発言をした秘書官が更迭されました。
私自身は異性愛者で家族もおりますが
LGBTQ+の方たちは異性愛者と何が違うのでしょうか?
異性愛者もセックスはするし、日常たわいもなくじゃれあうし、
浮気も不倫もする、とんでもない大馬鹿もいる。
何一つ変わらないはずです。
ですが彼らの人権が侵害され、
結婚もできず、
作中の浩輔と龍太がそうであるように、
なぜ人を愛することに対し「ごめんなさい」と
罪を犯したように感じなければならないのはなぜなんだろう、と思っています。
一日でも早くLGBTQ+の方たちにとって
全てのことが普通のこととなる日が来ることを願っています。
もう一度見たいです。