「【”ある男の永遠なる愛と、無償の献身の姿を描く。”宮沢氷魚の白き肌と、鈴木亮平の品性ある言葉遣いと愛を貫く姿に魅入られた作品。人を愛する事に男女の違いなど関係ないと感じた作品でもある。】」エゴイスト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ある男の永遠なる愛と、無償の献身の姿を描く。”宮沢氷魚の白き肌と、鈴木亮平の品性ある言葉遣いと愛を貫く姿に魅入られた作品。人を愛する事に男女の違いなど関係ないと感じた作品でもある。】
ー 今作は、男性同士の永遠なる愛と、遺された男の愛した人の母親への無償の献身を描いた、猥雑感が全くなき作品である。-
◆感想
・最初にこうすけ(鈴木亮平)が、りゅうた(宮沢氷魚)に惹かれた理由は、劇中でもこうすけ自身がりゅうたを見ながら言っているように、その美しき容姿からであろう。
だが、二人は愛し合う中で、こうすけの母がこうすけが中学の時に他界した事。
そして、りゅうたが苦労して母親(阿川佐和子)と暮らしている事をこうすけが知った事により、こうすけのりゅうたに対する想いは更に深くなっていくのである。
・東京で充実した編集者生活を送るこうすけと、パーソナルトレーナーのりゅうたの境遇は、経済面では大いに違えど、幼き頃から片親に育てられてきた事や、性癖などを含め似ていると思う。
■腰の悪いりゅうたの母の為に、軽自動車を購入したこうすけ。だが、海への初ドライブの日にこうすけは突然死する。
こうすけの葬儀会場での哀しみを堪えきれずに、嗚咽するシーン。
そんなこうすけに、一度だけ、りゅうたの自宅で一緒に食事をした母が掛けた温かき言葉。
”貴方は、りゅうたの大切な人なんでしょ。そんなに嘆いていたら、天国のりゅうたも悲しむわ・・。”
ー こうすけはこの言葉及び亡き母の面影をりゅうたの母に見出していたのは、間違いないであろう。ー
・ここからの、こうすけのりゅうたの母への無償の献身は、見ている人にとってはもしかしたら、
”その行いがエゴイストなんだよ”
と思う方もいるかもしれないな、と思ったが、私には頻繁にりゅうたの母の家を訪れ、優しき言葉で母の具合を確認し、月々の生活費を渡す姿からは、”エゴイスト“と言う単語は出て来なかった。
・そして、入院したりゅうたの母が告げたステージ4の癌。
だが、それでもこうすけは病院通いを止めない。
母の相部屋の女性患者から”息子さん?”と聞かれた時に、最初はこうすけもりゅうたの母も”違うんです。”と応えるが、そのうちにりゅうたの母が嬉しそうに”自慢の息子なんです。”と応えるシーンも、沁みたなあ。
ー こうすけはりゅうたを深く愛したが故に、その愛をりゅうたを産んだ母に向けたのである。ナカナカ出来る事ではない、と私は思ったよ。-
<今作は、いつものように前情報を殆ど入れずに鑑賞したのだが、幾つかのシーンで不覚にも涙が出てしまった作品である。
人を愛する事に、男女の違いなどは関係ない。
そして、真に愛した人が突然逝ってしまっても、愛は別の形で貫くことが出来るのである、と感じた作品でもある。>