「「陸のジョーズ」予期を超えるライオンの襲撃に、何度もアッと声を漏らしてしまいました。」ビースト 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
「陸のジョーズ」予期を超えるライオンの襲撃に、何度もアッと声を漏らしてしまいました。
アフリカの広大なサバンナを舞台に描く、手に汗握るサバイバルアクション!
医師のネイト・サミュエルズ(イドリス・エルバ)は、ふたりの娘を連れ、最近亡くなった妻と初めて出会った南アフリカへ長期旅行にやってきました。
現地では、狩猟禁止保護区を管理する旧友の生物学者マーティン(シャルト・コプリー)と再会。マーティンの案内で広大なサバンナでドライブをして楽しんでいました。ところが原住民の村に立ち寄ったところ、現地の住民が深手を負って何かから逃げる場面に出くわします。住民は怯えながら彼らに「魔獣」と呟いたのでした。
その正体は巨大な1頭の雄ライオンでした。それは密猟者の手から生き残り、全ての人間への憎悪に満ちて、人間を食べずにただ引き裂いて殺すことだけを目的にした残忍なモンスターと化していたのです。
ネイトは娘たちを守るため、そのモンスターライオンとの死闘を繰り広げることに。
主演のサミュエルズ役には、『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』、『映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』など、話題の超大作で人気のイギリス人俳優イドリス・エルバ。
監督には『エベレスト3D』など、人間の極限状態を臨場感とともに描く手法に定評のある、イドリス・エルバが抜擢されました。全米N0.1のヒット映画を10本も放っている超ヒットメイカー、ウィル・ハッカーのプロデュース作品。
さて本作は人間にて対する復讐心を募らせるモンスターライオンを登場させることで、単なるサバイバル作品だけとしてだけでなく、密猟問題を強くアピールする作品となっていました。昔は象が密猟の対象となっていましたが、今ではライオンの皮や骨が好事家の収集対象となってしまい、ライオンが密猟の対象となってしまっているようなのです。
そして密猟者とマーティンのような密猟を許さない反密猟グループとの死闘も日々繰り広げられていることが本作の伏線として描かれています。
まるで“陸のジョーズ”と化した残忍なモンスターライオンはとにかくド迫力。頑強なジープですら、窓は割られて、車内に半身を侵入させてしまうのです。狭い車内でのネイトとモンスターライオンの格闘シーンは心臓バクバクでした。直接格闘するシーンよりも、一旦退却したモンスターライオンが、チャンスを伺って付近で待ち構えているシーンがもっと怖かったです。いつ襲ってくるのかわからない恐怖というのは、何度見せられても怖いものですね。しかもこいつ頭がいいのです。ジープから離れたところには、大けがを負ってしまったマーティンがうずくまっているのに、モンスターライオンは何故か襲おうとしません。ネイトが助けにくるのをじっと待っていたのです。こんなのに睨まれつつ、車は故障し、無線は通じず水も食料もつきかけていたのです。
ネイト一家は大ピンチ。しかしパパは強かった‼当初マーティンに連れられて保護区のライオンを見学したとき、猫のようにじゃれてくるライオンにも怖がって手を出そうとしなかったビビリのネイトでした。しかし娘たちを前にすると、大豹変。勇敢にモンスターライオンに立ち向かっていくのでした。
それでも1匹だけでは物足りないという恐い物知らずの人もいることでしょう。ハリウッドのモンスター映画のお約束ごとは、一難去ってホットさせたところに新たな恐怖が待ち受けるというものです。そのセオリーに従って、“アンコール"ライオンが登場します。一匹目のライオンはジープが盾になってくれました。しかし二匹目の登場では、あえてネイトはナイフ一本を持っただけで、ある場所へおびき出そうとするのです。そこは逃げ場のない平原でした。ほぼ丸腰のネイトは、予想通り二匹目のライオンに襲われ、素手で格闘します。ものすごい迫力に圧倒されました。娘たちからライオンを遠ざけたかったとはいえ、なんでこんな不利な闘いに自らを追い込んでしまったのでしょうか。ネイトの「勝算」を知ったとき、その手があったかと驚かれることでしょう。