あつい胸さわぎのレビュー・感想・評価
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胸騒ぎがする母娘のハートフルムービーに感涙
噂では聞いていたけど、こんなに優しい映画だったとは…!乳がんになった娘を軸に、人間関係を包み込むハートフルな映画に心が揺さぶられる。人間味ってなんでこんなにも愛しいのだろうか。
元々名作名高い戯曲が原作。流暢な関西弁が重く受け止められそうな題材のクッションになっており、至って特別ではない家族の物語へと昇華させている。なぜなら皆、普通で完璧な人なんて居ないから。それを感じさせる配置。それぞれにキャラクターが醸し出す哀愁もあって、なんだか胸にジンとくる。
乳がんかもしれない…という所から母と娘の胸さわぎが始まる。それは恋にも似た、はたまた痛み、あるいは不安にも似ているのかもしれない。ウザかったり煩わしかったりしても、その距離がいかに有り難いのか…。それだけで胸のしこりは取れないけど、その距離感が与える安心ってやはり大切にしたいと思わせてくれる。それは自身の大抵の人間関係に繋がるものもあって。その配置と躍動が見事。受け入れて飛び越えることを決めた時、支えがいかに心強いのか。そして、その人がいかに大切か。気付かせてくれる。
主演は吉田美月喜さんと常盤貴子さん。吉田美月喜さんは近年ジワジワと活躍の幅を広げている若手女優。今作でも感じられる等身大の姿が一層重く、そして優しく作品の熱を伝えてくれる。また、常盤貴子さんのおせっかいで不器用な感じも凄くくすぐったくて良い。あと、佐藤緋美さんの演技も外せない。誰一人欠けてはいけない空気感も本作の見所だ。
そのしこりは、誰もが出来るもの。家族のこと、友達のこと、それぞれの半径に何が起きているか分からなくても、切っても切れないからこそ、その繋がりに甘えてもいい。きっと前を向けるから。
彼女は強いし大丈夫、恋できるよ
2023年劇場鑑賞9本目 優秀作 70点
正直鑑賞当時の今サイトの☆4.2の高評価ほどの衝撃は体感できませんでしたが、このレビューを書いているの9か月後くらいなのですがじわじわよかったなあと思ってきています
舞台の映画化で、劇作化も脚本家も監督もオールメンズでテーマが若い女性の乳ガンについて描いたって言うのが果たしてどうなのかと思いますが、勿論製作の段階でさまざまな視点での取材があっての今作の様々な胸についてのフォーカスだと思うのですが、何処か女性からの支持はそこまで強くなさそうな気がします
まあ、若い女性が胸についての悩みで~みたいなテーマなら男性目線で共感というか納得というか得れる作風にした方が、今作の規模感も相まってミニシアターに集うおじさま向けが第一ターゲットなのかなあと思いますし、それはあまり間違っていないと思います
母役の常盤貴子、恋人の奥平大兼、前田敦子に三浦誠己と役者陣が豪華ですよね
でも前田敦子役がどちらにも誠意をもって介入しない中途半端で一番たちが悪く他人を傷つけるキャラクターがより一層主人公の今後の将来を照らすどころか、雲行きを悪くさせるような印象を持たせるようで胸グソ悪かった記憶です
主題歌の透明感が町並みと青さにマッチしていて心地よかったのを覚えています
配信も有料で開始したので、同監督の最新作ふまじめ通信と併せて今後も追っていこうと思います
是非
「胸」
18歳で乳がんになった女性。 生命に関わることはないが、胸を切除す...
ずっと騒がしい私の心。
若年性乳ガンがテーマですが決して重くなり過ぎず、笑えるシーンも折り込まれていて観やすかった。出演者もしっかりハマっていて、若い女性の日常とそこへ突然割り込んできた乳ガンとの向き合い方を新たな視点で描いた良作。
高校を出たばかりの千夏は乳ガンと言われてもピンとこない。それどころか自分の胸は好きな異性に触られることなくなくなってしまうのかとそんな心配ばかり。一方母親は胸を残すことより命が優先。常盤貴子が関西弁でノリがよく人情味溢れる母親を好演。千夏の中に流れる逞しさは母親譲りだろう。乳ガンをきっかけに母は娘の成長を、娘は母の寂しさを知ることになる。
内側からも外側からも騒がしい胸。ター坊の優しさがもっと深いところに心地よく触れる。とても前向きなラストが良かった。そして本気で空気が読めなかった木村さんがおかしかったです。
不器用な母娘関係
個人的には傑作に思えました。
不器用な母娘関係の描写が素晴らしい。
病気って家族、本人両方に関わる問題だけども、治療法とかって「生き方の選択」そのものなのですよ。
どんな治療をするか、全てをまな板の上にのせて、信用する医者や家族と話し合ったうえで、本人が納得して答えを出す必要があることなのを、ちゃんと描いていたのがよかった。
子どもがある程度分別つくようになったら、「子供は未成年だから」「自分が保護者だから」って親が決めつけることじゃないよなと。
(医療知識があやふやな他人の中途半端なアドバイスの無意味さや気休めにならない点も含め
)描写がしっかりしてた。
それにより、親離れ子離れできてないとか、言葉をそれぞれ発した意図と違う意味に取るとか、親子が陥りがちな「諍いの構造」がよくわかる巧い物語になっていました。
そして、脇を固めた時の前田敦子の安定感の素晴らしさ。
常盤貴子の無双ぶりに
清々しいまでに胸をテーマにした気持ちいい作品
若年の乳がんを扱った、ありきたりな泣けるドラマかなあ、と思っていたけど、期待以上!
脚本、キャスト、音楽、演出、どれもよかった。
いろんな人間関係が絶妙に繋がり、母娘とそのまわりの人間の展開がテンポ良く繰り広げられて、飽きがこない。その人間関係がうまく、対比を生み出している。
乳がんを扱っていながらも、それをテーマに子どもの成長と不安定さ、親の子離れ、多様性のあり方をうまく描いている。
胸という性的なものを、うまく思春期の恋愛と、心情的な「胸」とを掛け合わせて、気持ちよくみられる。
さらに至るところで、胸がキーになってきて、まさに、秀逸なタイトルである。
キャストは主役の吉田美月喜が可愛らしくも、大人になりかけな役をうまく演じている。
特にター坊の佐藤緋美がいい味を出している。
最近よく出ているが、飄々とした役はどれもいい。
2人のやりとりで、千夏の感情が流れ込んできて、涙が出てきてしまった。
奥平くんもMOTHER、マイスモールランドとたまたま見ていて、素直な感じがとてもいい笑
音楽も静と動がうまく使われて、作品を支えている。
欲を言うなら、わかりやすすぎるかなあ、というのと、展開がベタなところがあるくらい。
総じて観てて気持ちのいい作品だった。
2023年劇場鑑賞25本目
この映画に感動できる自分の感受性を誇りたい‼️❓
どうしたんだろう、常盤貴子は大阪尼崎に長いこと住んでたし、松本人志の元カノなのに、変な関西弁なのは和歌山を意識したのか、コメディのフリなのだろうか。
そんなことはさておき、恋や病気に揺れる女の子の姿が等身大で丁寧に描かれていて、とても素晴らしい。
それと発達障害らしき青年の関係で、青年の取り巻く環境や、障害に負けない崇高でもある精神が、これまた等身大に描かれていて、好感が持てた。
地味な映画で、公開が少なく遠くまで足を運んだが、本当に良い映画でした。
前田敦子とか、脇を固める俳優も素晴らしい。
何より脚本が素晴らしい、セリフの一つ一つが心に沁みてくる。
目立たない映画ですが、隠れた名作だと思います。
ヒロインも幼馴染の彼も常盤貴子も職場の上司役もみんな良い演技でした。
慎ましいですが、良い気分になれました、これからもひたむき生きていく糧になりました、ありがとうございました😊😭
なかなか好ましい小品。焦げの処は食べないようにしましょうね…発ガン性が有るから…た~君がいいね!
①関西人としては、最初のうちは常盤貴子等関西人でない俳優さん達の和歌山弁にはやはり居心地の悪さを感じたけれども(「⚪⚪⚪」は正しかったよ)、そのうちに気にならなくなるくらい清々しい後味の映画。
②常盤貴子は女手一つで娘を大学までやった肝っ玉母さんにしてはキレイ過ぎるけど(何せ元トレンディ女優ですから)、原田に対する気持ちが一方方向だったことがわかった時の(よくあるどんでん返しなんだけど、こちらも母さんの幸せを願ってしまったので引っ掛かってしまった)落胆・気恥ずかしさ・自嘲・怒りがない交ぜになった表情(原田に背を向けて見せない)は見事。
娘と、女対女で向き合えるまで、子離れが出来るまでの母親としての成長も丁寧に演じて女優としての成熟を感じさせる。
③前田敦子も出てくるだけで存在感のある女優になって来た。本作でもドライそうでありながら武藤母子に絶妙の距離感で接し見守り必要であれば背中を押す女性を好演している。
ただ、常盤貴子にせよ前田敦子にせよ和歌山の紡績工場(?)に勤めている女性(オバサン?)に見えないのが痛し痒し。
④本作で一番感心したのが三浦誠己の上手さ。最近『母性』『ケイコ、目を澄ませて』そして本作と続けて観たが、三作とも全く違うキャラを見事に演じ分けている(造形している)。瞠目すべき演技力。
⑤男は女性の胸に恋するわけではないから、“胸の形なんて気にしなくていいよ”と言ってあげたいが、こちらは男で女性のおっぱいに対する想いなんて分からないから軽々しくは言えないな。男の子が自分のオ⚪ン⚪ンが大きいの小さいのとかで悩むのとは次元が違いそうだし…
ただ、変に深刻になったり、簡単に結論を出したりせずに、一番納得できる道を母娘として又同じ女性として考え探して行こうという未来に希望を託す終わり方にしたのは良かった。
⑥あと、これを書くと間違いなく顰蹙もんだとは思うが、千夏が乳ガンになった理由は、絶対にあの黒焦げのトーストを食べ続けたせいだと思う。
⑦た~坊について:最初はまた同情を誘うかも知れないけへど一歩間違えればウザくなるキャラを登場させたか、と思ったけれども、最後はこの映画の“救い”の部分を担う役柄になるとは。
最初の登場シーンでは確かにウザそうと思ったが、その時に書いていた絵を使ってラスト伏線回収する脚本の妙。
た~君とその母親の姿を使って常盤貴子が子離れを決意する心情に持っていく脚本の流れ。
た~君を、登場人物達の微妙な心理が交錯するようなシーンやヒロインがフラストレーションを抱えたシーンに登場させて場を緩和するような役割をさせる使い方、そしてラストでみんなさらっていかせる。
一番の功労賞はた~君だろう。
母娘の感情を上手く描いた良作
114席シアターを独占鑑賞。母娘の幸せな日常生活が若年性乳がんによって一変する様子を描いたヒューマンドラマ。主演の吉田美月喜の演技も抜群でネガティブになって苦しむ娘の感情がヒシヒシと伝わってきました。
母娘の感情を上手く描いた良作です。
2023-21
邦画と病気ものは基本観ないのですが。
思春期の乙女心がリアルに表現されてました
乳がんを宣告された
女子大生のお話…
ガンのストーリーといえば
とかく暗くなりがちですが
本作は
母親
母親の職場同僚、上司
同級生
幼馴染みの障害者
等
主人公を囲む登場人物が明るく盛り上げてくれ
視聴後もサッパリした気分になれました
一方
これから恋愛をたくさんしていきたいのに
乳房を失う可能性を秘めた人生は
とてもとても辛いだろうなあ…
ということは
主演の吉田美月喜の演技で
見事に表現されてました
女子大生の悲哀が
心にズシリと染みるほどの演技で
今後が楽しみな女優さんです
常盤貴子さんは相変わらずステキでしたし
前田敦子さんも
元AKB前田敦子から脱皮して
女優前田敦子の領域に入ってきましたね
本作で出演していた女優さん達
みなさんとても素敵でした!
重いテーマをほのぼのと好演
渇望する邦画愛を満たしてくれる良作。
ほろ苦くくすぐったい恋心は歳に関係なく訪れる。
破れてもいい。 愛する人 愛せる人がいる幸せ。
重いテーマと思いきや和歌山弁が和ませる。
さて明日も頑張るかな。
最近の前田敦子が脇に回った作品にハズレなし。
ラストは日本映画史に残る名台詞かもね。
女性にとっての乳房の持つ意味とは
原作舞台への、愛が伝わる映画でした!
初演・再演を観ている演劇ファンですが、その高いハードルをぶっちぎられました。好きな作品の映像化に、不安もあったのですが、本当に感動しました。
原作から足した所も引いた所も、テーマを映像として再構築するために、よくよく練ったものだと感じました。風景やカメラワークに語らせる部分には、目を奪われました。演劇には、ロングショットもクローズアップもありませんから。
原作の再演を観た時も、ほぼ同じ役者で同じ内容なのに、すごく違っていて、まるで万華鏡のようだな~と思いました。それが映画では、全員別の役者さんだし、工場やサーカスなどの視覚情報も多いしで、今までのイメージがさらに豊かにふくらみました!
一人でもたくさんの方に観てもらいたくて、SNSをやったことない人間が、初めて映画レビューを書きました。もし、誰かの背中を押せたなら、うれしいです。
最後に、原作ファンの一人として、この映画にかかわって下さった、すべての方に、心から感謝します。ありがとうございました。
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