「日本の現状をふと思い出す」スーパー30 アーナンド先生の教室 Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の現状をふと思い出す
実話ベースの映画。実在のアーナンド先生も2022年に訪日してくれたらしい。
金はないが学ぶ意欲はある学生に対し無慈悲に言い放たれる「制度はない」。
奨学金(scholarship)とは本来返還不要なものだ。返す必要があるもの、まして利子を取るものはただの「学生ローン」であり、奨学金と呼ぶのが間違いなのだ。
多くの学生が奨学金を背負って大学進学を目指すのはひとえに四大卒を求める企業がほとんどだからである。しかし、入社条件に四大卒を求める企業は、果たして子供を大学に入れられるだけの給料を雇用者に払っているのか?
日本の現状もインドと大して変わらないのではないか。
アーナンド先生は、自分が果たせなかった夢の代わりに、金はないが学ぶ意欲のある子供たちを救済しようとする。
教え方もユニークで、単なる試験対策の学習塾の指導法を超えている。
ごく最近まで劇中のような襲撃を受けていると知って驚く。環境に恵まれないものには、教育を受ける前段階で戦いが必要になるのだ。
DV父親の目を盗んで、子供にわずかな旅費を握らせ、アーナンド先生の塾へと向かわせる母親のシーンだけで泣きそうになる。
劇中音楽もインド映画らしく派手だが耳に残るフレーズで良い。
おおむね立派なアーナンド先生だが、「黄金比でないから美人じゃない」と恋人に言う点はぶん殴られても良いと思う。これはフィクションだよね?
また、せっかく一度は息子が高給取りになって家政婦まで雇ってくれたのに、無料塾でおさんどんに駆り出される母親にも同情した。今は右手うちわだといいのだけど。
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