「いささか脚色はやり過ぎだが、過剰さに魅力の真髄がある。」スーパー30 アーナンド先生の教室 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
いささか脚色はやり過ぎだが、過剰さに魅力の真髄がある。
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とにかく浮き沈みの激しい過剰な語り口と、インド映画ならではの濃厚さが合わさって、有無を言わさぬ楽しさがある。主演のリティック・ローシャンはそもそもが大変なイケメンだが、最初はダサく、裕福になってからは成金っぽくギラギラと、そして教育者の使命に目覚めてからはワイルドに、ストーリーの変遷に合わせての変わり身もまた過剰なのがいい。
私塾を開いてからの、激流を下ってやってくる生徒志望の子供のショットや、なにがなんだかわからないけどやたらと盛り上がる英語劇など、好きなシーンがたくさんあるが、それにしても劇中のアーナンド先生はひらめきで職場を辞めたり事業計画なしに塾を開いたり、行き当たりばったりがすぎる。
調べてみたら、本物のアーナンド先生は学習塾でちゃんと利益を出した上で、貧しい子供相手に無償で賄い付きのスーパー30を始めたらしく、映画を盛り上げる脚色だとしても、劇中の先生はちょっとバカすぎではないか。だって計算は誰よりできる人なのでしょう? とツッコミどころはいろいろありつつも、作品の魅力と表裏一体の杜撰さなので、一概に欠点とも言えないにくい奴。
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