「戦いを避ける勇気」金の国 水の国 SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
戦いを避ける勇気
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この映画にはかっこいいヒーローも美しいヒロインも、特殊能力バトルも、魔法も、クライマックスの大規模戦闘も何もなくて、架空の国ではあるけどファンタジーではなくて、普通の能力の普通の人しかでてこないけど、すごく面白い。
安易に戦うことで解決する物語ばかりの中で、戦いや戦争を避けることの方がずっと難しく、大切なことだということを教えてくれる。
主人公には魔法のような特殊な能力はないけど、自国や自分の立場を超えて、つねに物事(両国の状況)を俯瞰的に分析し、根本的な解決に至るにはどうすればよいかを判断しようとしている。
こういうふうに物事を考えられる人が本当の意味で世の中に有益で、賢い人なのだと思う。
悪役として登場してくる人物たちは、一見するとステレオタイプな役柄としてでてきたように見えるけど、単なる悪者というのは1人もおらず、それぞれの背景と目的と思想がある、人格ある人間たちだということが徐々に明らかになる。
誰か悪者がいて、そいつをやっつけて問題解決するという物語があまりに多いので、この映画のような話は逆に斬新に思える。
設定も世界観もおとぎ話そのものなのに、問題の解決方法が現実的なのが良い。運河を引く工事に50年かかるというのも、平和は一朝一夕に実現するものではなく、不断の地道な努力を継続する必要があるということを示唆していると思う。
原作漫画は読んでないけど、いろいろ背景がありそう(左大臣の生い立ちと、ラスタマン2世の話とか)なので、原作の方が面白いんじゃないかと思った。
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