レジェンド&バタフライのレビュー・感想・評価
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戦国時代の詳しい日本史の知識が必要です
「木村拓哉と綾瀬はるかの共演で織田信長と正室・濃姫の知られざる物語を描く、東映70周年を記念して製作された歴史大作。」と、鳴り物入りでテレビ等で大々的に宣伝されているので、この作品の鑑賞を楽しみにしていました。
しかし、濃姫の嫁入りから本能寺の変までを、3時間弱で筋道立てて描写することは、到底不可能で、所々に史実をはしょらせて、想像上のフィクションも織り交ぜて、何とか作品にまとめあげたという印象でした。
私には、戦国時代の詳しい日本史の知識が無ければ、各々のシーンが、どの史実を描いているのか、理解できないと思いました。
ですが、木村拓哉さん、綾瀬はるかさんの演技は非常に良かったので、俳優さんたちの力量に救われているように思いました。
せっかく、力量のある俳優さんを揃えたので、「桶狭間の戦い」、「本能寺の変」など、主要な史実を一つに絞って、シリーズ化した方が絶対に良いと思いました。
私にはまるで期待外れの作品でしたが、木村拓哉さん、綾瀬はるかさんファンの方は、表情が何度も大アップになるので、満足されると思います。
うつけとマムシの娘、愛と夢の果てに、天下(大ヒット)を勝ち取れ
木村拓哉が織田信長を演じる。
妻・濃姫に綾瀬はるか。
監督は『るろうに剣心』の大友啓史。脚本は現NHK大河ドラマ『どうする家康』の古沢良太。
製作費は20億円以上。
東映創立70周年記念作品。
ぎふ信長まつりも大いに賑わした、話題に事欠かない話題超大作。
ぎふ信長まつりからの盛り上げ方はかなり気合いの入ったもの。
話題や莫大な製作費を掛けた事もあるが、昨年『ONE PIECE FILM RED』『THE FIRST SLAM DUNK』などの大ヒットで年間売り上げが過去最高を記録し、絶好調続く東映。こんなに勢い付く事はそうそうない。
そのタイミングで、節目の年。威信を懸けた超大作。
ビッグネームのキャスト/スタッフ、この題材、そしてやはり話題や20億円という製作費…。
ぜ・っ・た・い・!に、コケられない。
さて、その感想は…。
往年の創立記念作品。オールスター・ムービー。大作時代劇。
確かにそれらと比べたら、THE時代劇!…な風格さは薄い。
キャストも主演二人は推し出されているが、周りは個性的であるもののあっち見てもこっち見てものオールスター・ムービーってほどではなく、アンサンブルには乏しい。
おそらく歴史好きの方には物足りない。すでに色々言われてるキムタクの演技。…
話題だけ提供した凡作か…? 大コケ必至の失敗作か…? それ見ろの駄作か…?
そう決め付けるのは、ちょっ待てよ!
なかなかヒットさせ難いジャンルの時代劇。
重厚な作りで実力あるベテラン名優やスタッフで固めたら、それはクオリティーの高い時代劇になったろう。
しかし、ヒットしたか…? 時代劇好きや映画ファンは満足するかもしれないが、一般客や若者は…。
巨額の予算が掛けられた本作。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』じゃないけど、ヒットさせなければならない。
その為には多角的なアプローチも必要。男女問わず、多くの世代に受け入れられる…つまりは、ヒットに結び付ける。
若者層や時代劇に馴染み無い人たちの為に現代的なアプローチを取り入れつつ、時代劇の魅力を損なわず。
エンターテイメント色の強い作り。製作側が目指したのもここだろう。
その点については充分及第点。
私もそれほど歴史に詳しい訳ではないが、そんな私でも見易く、分かり易く。
見応えあり、面白かったと思う。
日本の歴史上最も有名な戦国武将、織田信長。
“泣かぬなら 殺してしまえ ほととぎす”の言い表し通り、恐ろしい。“魔王”とまで。
その一方カリスマ性があり、海外の文化をいち早く取り入れた先見の明。
人は英雄的な面に憧れ、ダークな面にも何故か惹かれる。
その両極端を合わせ持ち、あまりにも有名な最期まで、信長は日本の歴史上稀有な人物だと言えよう。
濃姫は詳しい素性や生涯など、今も尚謎に包まれているという。
一体、どんな人物だったのか…? 夫・信長との関係は…?
ある程度史実(主に信長の生涯)にそりつつ、謎の部分を大胆想像膨らませたからこそ、縛られず自由に物語=信長と濃姫のドラマを構築出来た。
政略結婚。
当初はお互い、口を開けば喧嘩ばかり。意地の張り合い。
初夜言い争いになり、信長は濃姫にねじ伏せられる。狩りも信長は失敗続きで、濃姫は次々仕留める。
おなごのくせに、生意気な奴!
そんな時…
狩りの最中、崖から落ちそうになった信長。女に助けられるくらいなら、死んだ方がマシじゃ!…なんて言いつつ、助けられる。この時濃姫は滅多に見れない海を見、異国へ思い馳せる。信長の海外視野はこれがきっかけ?…なフィクション・エピソード。
美濃の内戦により、濃姫の父・道三が死す。自害しようとする濃姫を、信長は押し留める。お主はわしの妻じゃ!…とは言ったが、内心は命を粗末にするなとの意味もあったろう。いつか必ず、わしがお父上の仇を取り、美濃を取り返す。
少しずつ少しずつ、距離が縮まっていく。決定的となったのは…
お忍びで民の村をデート。金平糖を盗まれ追い掛け、ゴロツキ連中に狙われる。やむなく反撃し、難を逃れる二人。濃姫は初めて人を殺めた。動揺する濃姫を気遣う信長。それまでの相入れない関係が消え失せたかのように、二人は初めて…。
信長の生涯や戦国の有名な戦を描くというより、信長と濃姫の関係にフューチャー。
アレそのものではないか。邦画でもよくあるド定番。
最初はいがみ合っていたが、徐々に打ち解け、惹かれ合い…。
ドSイケメン王子=ドS殿と元気ハツラツ美少女=ツンデレ姫。ユーモアも交え、昨今のラブコメ設定を取り入れた戦国ラブストーリー。
この“ラブストーリーは突然に”から円熟の夫婦愛へと変わっていく様もじっくりと。
歴戦の勇将となっていく信長。が、一人では不可能だった。
桶狭間の戦い。圧倒的劣勢で戦略もままならぬ時、策を出したのは濃姫。信長は戦に勝利。濃姫は策を出したのは夫であって…と、他言無用。夫を立てる。どんな偉人やレジェンドにも、陰の支えや内助の功あり。“信長を。プロデュース”。
認め合い、信頼し合い、切磋琢磨していきながら。
名を馳せる猛将となった信長。女子供まで皆殺しにし、“魔王”と恐れられる。人の心を捨てた夫といつしか気持ちにズレが…。流産も重なり、もう傍にはおれぬと、濃姫は離縁を乞う。
何年か過ぎて。病に伏した濃姫を、信長は再び受け入れる。相変わらず強情張る二人だが、その言い合いはかつてが戻ったよう。いや、様々な障害を乗り越えやっと安住を手に入れた感慨深さすらあった。
病を治し、お主が行きたがっていた異国へ行こう。それまでに異国の楽器を奏でられるようになっとれ。では、行ってくる。
そう言い残し、信長が赴いたのは…。
見る側はこれが今生の別れだと分かっているからこそ…。
そんな二人を、ビッグスター二人が熱演。
すでに色々言われているキムタク信長。TVドラマと同じ。結局キムタク。キムタクのまんま。キムタクはキムタク。…
彼一人が変わらぬイメージや演技のままなのだろうか。いや、トム・クルーズはどの作品だってトム・クルーズだ。ジャッキーはジャッキー、ドウェインはドウェイン、ステイサムはステイサム。高倉健は高倉健だし、勝新は勝新だし、三船敏郎も三船敏郎。渥美清は寅さんのイメージまんま。
これって、その役者にとってマイナスなのだろうか…? いや、それがその役者の魅力だ。
役者は二つのタイプに分かれると思う。演技巧者と、スター。
スターが自分のイメージやスタイルを固持しつつ、スターであり続ける事は容易ではない。
それが出来るから、スターなのだ。
では、演技力は?…と問われるが、本作のキムタクの演技は決して凡庸ではない。確かに序盤はいつものキムタク丸出しだが、うつけ者から魔王へ。魔王から人間信長へ。充分体現していたと思う。あの誰もが知る最期、炎に包まれた本能寺の中で、凄みとオーラと存在感をたっぷりに。
それでもあれこれ言う人たちは今後もたくさん出てくるだろう。一緒に観る予定だった私の弟なんぞ、予告編のキムタクの現代っぽい演技が好かんと言い、結局劇場鑑賞スルー。
ならば、誰が演じれば良かったのだろう? 時代劇が得意なベテラン俳優か? 歌舞伎とか日本伝統芸能からの演者か?
もう一度言う。それでヒットに至ったか?
本作は何が何でもヒットさせなければならない。全世代へアピール出来る集客力のあるスターが必須。キャリアがほとんど落ち込みもせずスターとしてあり続けるキムタクとカリスマ性ある信長は、似てる似てない/イメージに合う合わないよりスケールの大きさでは他に人選はなかなか居ない。
それにキムタクは信長初心者じゃない。その昔TVドラマで演じた事あり、二度目。以前とは違う信長像を体現。
キムタクも信長が二度目なら、綾瀬はるかも濃姫は二度目。(『戦国自衛隊1549』)
先述の通り素性や生涯は謎に包まれているが、あの信長の妻に収まるのだから、こちらも相当な人物だったのであろう。“マムシの娘”の異名。
信長に臆せず堂々と物言い、時には腕力でもねじ伏せる。そして妻として夫を支え、夫婦として支え合う。
綾瀬はるかの凛とした美しさ、芯の強さ、キレのあるアクションや演技力が光る。
キムタクが堂々と構え、綾瀬はるかが巧みに表す。何だか信長と濃姫の関係性そのものを見ているようだった。
助演陣はそれほど目立った見せ場は乏しかったが、サポート立ち位置。
控える伊藤英明。
濃姫の侍女に中谷美紀。以前キムタクがTVドラマで信長を演じた時、濃姫役だったようで。
音尾琢真の秀吉はなかなかハマっていた。
異彩を放ったのは、光秀役の水沢氷魚。魔王信長に心酔し、人間信長に不審を抱く。
にしても、斎藤工が家康とは気付かなかった!
ほぼほぼ信長と濃姫のラブストーリーやドラマがメインで、見せ場になるようなアクション・シーンはクライマックスの本能寺の変くらい。時代劇と言ったらの合戦を期待すると物足りないだろう。
桶狭間の戦いも台詞で勝利を告げ、序盤や中盤にも見せ場になるアクション・シーンを入れても良かったのでは…? せっかくの大作時代劇なのに、ちと勿体ない。
ラストの展開は思わず意表を付く。全く新しい信長像を描くからと言って、まさかの○○…? が、この展開は自ずと察し付く。
結構唐突にも終わる。この後が見たかった…なんて声も上がるかもしれないが、だらだら描いたら別の作品になってしまう。信長の人生はあそこで終わったのだ。
見果て、叶わなかった夢の悲劇を謳う。
エンターテイメントに徹し、往年の東映時代劇へ捧げた醍醐味も兼ねて。『るろうに剣心』で時代劇に新風を吹き込んだ大友監督の演出。
新しい信長像。濃姫との関係。史実にそりつつ、大胆解釈やフィクションも交えて。巧みな脚本で知られる古沢良太の手腕。
オープン・セットやロケ、美術や衣装や映像などスタッフの名仕事。
佐藤直紀の音楽もスケール豊か。
160分強を魅せ切る。
百点満点の名作…までとは行かず。
が、スターの魅力、現代的な感覚や要素、しっかり時代劇の醍醐味や見応えを堪能出来る一大エンターテイメント。
キムタクの映画と言うと、見もせず難癖付ける輩がいる。見てから言え!
見たら見たであーだこーだも言われる。そのくせ多くの人が観、ヒットする。
気に入らないなら無視すりゃいいし、見なければいいし、何か矛盾を感じるが、やっぱりは気になる。
百聞は一見に如かず。一見の価値はあり。
劇場へ出陣じゃあ!
ビジュアルにこだわった作品かな?
キムタクファンにはたまらない!まだまだカッコいいキムタクをたっぷり観れる!綾瀬はるかの太刀まわり、アクションもよかった。「精霊の守り人」での用心棒役で綾瀬はるかのアクションをみてから、この人、ホンモノだなと思っていたので。でも濃姫がそんなキャラとは思わず、、それにはちょっと驚きました。
でも星が不足したのは、脚本が微妙だったかなと、、2時間半の中に収めるには難しかったかもしれませんが、歴史的に有名な出来事に話がぽんぽん飛んでいくので、信長の変貌ぶりやそれによる、家臣たちの心の動きの描き方が少し雑な感じを受けました。特に信長自身と明智光秀。海外を意識したタイトルとも受け止められますが、このあたりの歴史に詳しくないと違和感覚えるかも、、と思いました。
あとは、明智光秀役が宮沢氷魚さんなのが最後まで受け入れられず、、そこが気になって作品に没入出来なかったです…宮沢さんはとても好きな役者さんですがなぜ宮沢さんが明智光秀??そのキャスティングだけ謎でした。
※全然別の話ですが「精霊の守り人」NHKであんなスケールで撮るなら、なんで映画化しないの??って観てて思った作品。指輪物語っぽいところもあるけど、ファンタジーとして面白かった。日本では数少ないファンタジー超大作。映画館のスクリーンで観たかったなー。大人の事情があるのかしら…
家康すごい特殊メイク?
織田信長とキムタクが融合
だいたいキムタクが出る映画やドラマって
キムタクが強く出過ぎて
結局
キムタクだったになるんですが
今回は見事に
キムタクの織田信長役がハマってました
織田信長の亡くなる歳とキムタクの歳がちょうど50歳だったことや
キムタク本人が生まれ変わりなくらい気合いが入っていたとのことでしたが
戦国時代にキムタクがいたのでは?くらいピッタリでした
話的には
歴史好きや織田信長好きには納豆がいかない内容だったと思いますが
この角度での話はありだと感じました
まさかのラ・ラ・ランドオチにびっくりしましたが
余談ですが
私もちょうどキムタクと同じ50歳です
織田信長やキムタクのようなレジェンドには到底なれませんが
まだまだバリバリ頑張ろうと心に誓いました
事前知識はあった方がいいかも。
どうする信長?NOする?
織田信長と濃姫の話。戦国時代の話なので、信長と周囲の武将達とのやり合いに濃姫がチョコチョコ割り込んでくる展開かと思ってたら、全然違ってた。なんと本筋は2人のラブストーリー。これまでいろんな小説を読んできたけど濃姫の事なんて斎藤道三の娘って事以外は知識無し。勉強になるかもって思ってたら完全なフィクションだってすぐ分かった。政略結婚の2人がこんなにぶつかり合うなんてあり得ないよな。前半はポンコツ信長が濃姫にやられ続けて笑いっぱなし。後半は2人の中が破綻して涙止まらず。信長の話だからハッピーエンドにはならないと思っていたら、え〜っ!こんなハッピーエンドがあっても楽しいじゃん、すげ〜と、思ったらウルルル。詰め込みすぎにならない為だとは思うけど、秀吉、光秀、家康、桶狭間、長篠、本能寺など、日本史の知識があるか無いかで、印象がかなり違うんじゃないかな。知らなくても問題なしだけどね。
ただ、キムタクの怒鳴り声は、自分的には信長っぽくなかったな。しかし流石、綾瀬はるか、キレキレのアクションに、綺麗なアップ。目が釘付けでした。想像を超える脚本でとても楽しめました。
信長の演技が......
木村さんの演技は要所要所ではよかったが、それでも「信長」というよりも「木村さん」って感じがした。顕著に現れるのは皮肉にも綾瀬さんと演技している時。綾瀬さんの演技がうまいため、木村さんの演技力不足が目立ってしまっていた。
本能寺の変の明智光秀の名セリフもチープなものに感じた。なんだよ、そんな理由で謀反起こすか?・・・信長が大将で、天下統一が目の前だったのに。これには、本当にしらけた。
とはいえ、超大作であることに変りなく、これまでの戦国映画とは全く違うテイストで物語は描かれていて、新しい戦国映画史を切り開く斬新なストーリー展開であったことは非常に満足している。
冒頭、木村さんは演技力不足だと書いているが、それでもスター性は天下一品であり、しらけた部分も少々あったが総じて言えば記憶に残った良い映画だと思った。
※本編が終わりエンドロールが流れたからと言って、スマホ見るのやめてください。光が邪魔です。マナー違反です。エンドロールも本編の一部です。館内が明るくなるまで、スマホ見ないでください。
よろしくお願いします。
四番バッター共演。ゆえに、、
そもそも信長を主人公にした戦国ものの定番に、なぜこのタイトル?という違和感からスタートする東映70年記念で力瘤メキメキの大作だが。キムタクとアヤセの共演、脇には実力&スター俳優ゾロゾロまでは、昭和からつづく『大作の方程式』どおり。さらに「るろうに剣心」シリーズで大ヒット連発、チャンバラ撮らしたら今の時代、右に出る者がいない剛腕大友啓史監督。さらにストーリーテリングの名手古沢良太のシナリオ。もう大ホームランの傑作でなければならない!というプレッシャーか?けっこう普通だ。信長の、戦国マニアならご存知エピソードを省エネつまみ食いで、深掘りするのは、アヤセの役柄のキャラ設定の妙を生かした、妄想恋愛夫婦のアレコレ。ところで「敦盛」はこうしか選択肢ないのね。スキルの問題?クライマックス『ラ・ラ・ランド』なイリュージョンもドキリとさせられ、大団円。木戸銭なりに楽しめたからヨシとしよう。
歴史の解釈は
お正月に観たかった
現代解釈版 織田信長恋愛物語
感想
誰しもが知る最強の戦国武将の半生の物語が、現代的再解釈を入れつつ描かれので新鮮な気持ちで見る事できた。
20億円掛かった分の圧倒的美麗映像には引き込まれた。
・物語構成
織田信長と濃姫との出会いから本能寺の変までを恋愛物語視点で現代的再解釈を入れつつ描く大河スペクタクルラブストーリー。
織田信長が行った数々の偉業を映画作品としてまとめた結果約3時間という長時間映画にはなっていた。しかし、濃密な内容の為体感的に3時間には感じなかった。寧ろより丁寧に描いて欲しいと思う部分もあった。
史実通りのシナリオでありながら、ラブストーリー主体の為、作品全体にコメディ要素が含まれいる事、史実とは異なるキャラクターの描かれた方がされている等再解釈的な作りでもあるので、不思議な気持ちになった。
特に、本能寺の変の中でのある驚愕のクライマックスには、『ここまで描き切るのか⁈』と驚かされた。
・演技
実力派俳優陣ばかりが出演している為、自然と引き込まれた。特にうつけ者から魔王の片鱗を見出す綾瀬はるかさんの演技は流石の実力で、圧倒された。
・豪華な絵作り
邦画としては異例の大規模な予算を掛けて作られている豪華な舞台セットとVFX、世界遺産や重要文化財での撮影による豪華な画面に終始酔いしれる事ができた。
総評
現代ラブストリート寄りのスペクタクル大河作品。織田信長と濃姫の新たな恋愛関係描写が夫婦愛の物語としてとても楽しめた。
割と王道な作り方
レジェンドは信長のことで、バタフライは胡蝶とも呼ばれていたと言われる濃姫のお話。濃姫って、いつ亡くなったのか、子供がいたのか(少なくとも男の子はいない)いなかったか、よくわかっていないので、どうとでも描けるので物語にしやすいですね。
話は信長中心でした。印象として、濃姫のキャラというのは薄く、信長を二面で捉えると信長と濃姫に分かれる、という描き方かな、と思いました。濃姫は、若い頃の信長にとっては、冷静に状況判断するクールな一面、青年期には若い頃にあったお茶目な面、壮年期には人間らしい面、どれも実際には信長の一面ですね。物語のキャラ作りでは王道の手法か、と。
歴史オタクは嫌いだろう
ラプソディー 魔王と帰蝶
川べりの草たちを揺らす不規則な風
耳元をかすめたリズミカルな馬の蹄の低音が後ろへ後ろへと流れ余韻をうむ
黄色や紅に染まる葉は舞い、天地を包み別世界をつくり丸く一体化し訴えかける
その美しさは儚さを併せ持ち魅せ方を知り尽くす
澄み渡る夜更けにみえる過去と今を貫く永い時間の圧倒的な尊さ
敬意を呼び覚まされこの魂を確かめる
登場人物が自然とともにある景色が躍動する美しさを繊細に映し出す
それらは自分のなかの記憶を目覚めさせ寄り集まりなにかを生む
間もなくひとつひとつの色味や質感を表すための拘りと裏付けされた計算、見立て、それを全うできる知識やセンスや技術の存在に深く深く感動する
そしてそこに欠かせないエネルギーとなるのがその時代に生きた命をみせる役者の方々の存在だ
若さが弾けるような明るい自信とやんちゃでわがままな気質にみえる16歳の信長
彼が迎えた正室は瑞々しく麗しくも気丈な内面をその目に宿らす濃姫15歳
劇中に「新しい夫」とあったが、濃姫このとき3度目の結婚だったと知った
武士の娘が親の出世や政治に利用されるなんて…時代というか、親子関係が気の毒、選べない人生かわいそうすぎると、憐れんでいればそれだけでなく…
経験がものを言うのか?持ち前の性格か?
確かに信長よりも大人びて、冷静沈着、歯に衣着せぬ物言いと夫からの指図を嫌えばそれをうやむやにしないところに濃姫の芯をみる
弱い酒に咽せた信長を〝わっぱ〟と貶し、力も強く技も負けていないところをのっけから見せつける様は相当に筋金入りの勝ち気さだ
しかも伊達に強気なわけじゃない
弓矢も狩猟も乗馬も武道にも長けた濃姫に押され気味の信長が後々にまわりから怖れられることになるイメージとは違うコミカルな一面を見せる冒頭である
時代劇の嫁入りにありがちなヨヨヨとした雰囲気もない切り口か!では、2人の行く末、そこに至るまではおどろおどろしい雰囲気だけではないかも?と新解釈の妙を期待した私は、歴史に疎いため、流れを逃さぬようにと堅く構えていたが、しばしリラックスして信長の所作をくすっと笑う
…が、束の間
知らぬ間にピッチが変わったかのように、不意打ちの戦法をかけられた観客は激動の戦国へともに流されていくのだ
やはり止めることはできなかった、かの信長節
だが、戦の様々な困難にあたり信長は悩まないわけではなかった
劣勢になれば焦りで怒り家臣を罵声し統率しようとする無茶が災いし空回りする
そんな時、濃姫と信長が敵対する気持ちを乗り越えて、ようやく協力し信頼を結ぶと、信長に精神的な力がこんこんと湧き凄みをつけ出す
信長の武将としての成長には、濃姫のことば遣いの知恵と人の心を読む洞察力とバランス力が陰なる支えとして必要だったのだと理解した
これが器用多才な濃姫のとっておきの才能だったといえよう
後に「我、人にあらず」と言いのけるほどになっていく信長に漲る自信や威勢は圧を増し、飛び出すばかりのマグマのごとく溜まっていく
しかしながら、かかげた理想の自分像に邁進するあまり、周りを見ることを疎かにし家臣の忠告など寄せつけもせず度を超えた魔王と化していく信長
もはや彼は、邪魔なものは排除するその危険な思考の先に、望む豊かな未来などないこともわからない狂人になってしまった
「人のすることにござりましょうか」
家臣どころか、ついには妻のこころさえ離し離縁される顛末へ
濃姫との出会いが一度は「聞く耳持たず」だった信長をいい方向へ向かわせたのは事実だが成功をおさめ慢心を重ね、さらなる地位を手にしようと駆けあがる執念と引き下がれない強固なプライドで、まさに聞く耳を〝捨ててしまった〟のだ
誰も寄り付けぬほどに〝壊れた信長〟は、自ら高く厚くこしらえた壁のむこうで孤独の極みを背負う晩年への運命を辿りはじめる
こうして、戦の無事をと願ってくれた濃姫からの大切なお守りは光秀の裏切りに燃え落ちる本能寺の地に転がり、自身は炎に包まれる奥の間へ進み自決の血しぶきをあげ幕をおろす
ふたりがみた儚い夢の先を朦朧とする意識のうちにみた信長
そこには濃姫への変わらぬ深い愛があった
もしかするとそれは壮絶な人生の、ある種のハッピーエンドだったとよべるのかもしれない
同じ頃、重い病の床に居りつつもなにかを察したように力を振り絞り琵琶を手にして静かに意識遠のく濃姫(のこされた記録では没年はこれよりかなり後)
彼女もまた一度は愛した信長との約束を彼の命が今終わろうするそのときにそうして果たそうとした
あの離縁も濃姫ならではの信長に対する最後の愛の鞭か
孤独なレジェンド・信長とそれを支え続けたバタフライ・帰蝶とも呼ばれた濃姫だけにわかる痛いほどの思いが沁みてくる終盤である
そして、愛した濃姫が、なぜ異国に惹かれるかわかったと語ったときのあの表情が、天下を狙い魔王という鎧のなかに封印した信長の〝ひとの心〟のかけらを震わせからこそのラストシーンだったのだと私は信じている
政略結婚で始まる信長と濃姫の出会いから別れ、そして世を去る間際までの心のありようを豊かな想像力で表現し魅せる本作は、さながら戦国の世に翻弄された儚くせつない愛の狂詩曲(ラプソディー)であった
忘れられない孤高の男の肩にとまっていた1匹の美しい蝶は運命の絆が離れてもまた寄り添うことを暗示した
ならば…
二人はちがう姿で生まれ変わりこの世の何処かでまた出会っている気がしてならない
修正済み
『カエル』と『蝶』で、実は主役は濃姫なのかも
歴史に興味がある方ではないので、濃姫の別名が帰蝶だというのは、大河ドラマ「麒麟が来る」の女優の交代騒ぎで初めて知りました。濃姫については資料が無くて謎が多いため自由な造形が出来ます。
本作は切り口がかなり独特です。
まずは信長が濃姫を妻に迎えるところから始まります。信長の、威勢はいいが何も出来ない大うつけぶりが長々と。そして魔王と呼ばれる残虐さとカリスマ性がいつの間にか形成されていましたが、歴史の切り取り方としてはどうなんでしょう。信長を描くには欠かせない桶狭間の戦いが省略されただけでなく、合戦は一切ありません。闘いは本能寺の変だけです。
お市も「妹を嫁がせる」というセリフのみで登場せず。歴史好きにはかなり不満が残るかもしれません。
型に収まりきらない男女の生きざまと思って観れば面白いかもしれません。
信長と濃姫の関係をクローズアップしたので、他とは違った面から描こうという意欲作なんですが、ちょっと引いたのは、二人が必要の無い大量殺人をしたこと。アオスジアゲハが人の血を吸うシーンはホラーです。キジの作り物や斎藤工さんの特殊メイク、南蛮人のシーンなどビジュアルは凝った模様ですが、信長と言う人物は描き切れてないと思います。時代劇なので綾瀬さんの口紅はもっと赤い方が良いですね。
主演の二人は熱演です。綾瀬さんは運動神経も抜群です。(「ichi」の綾瀬さんはメチャクチャかっこいいですよ)
伊藤英明さんが渋くて素敵で、宮沢氷魚さんと市川染五郎さんは凛々しかったです。
入場者特典の「オリジナル織田ちんポチ袋」が可愛いです。
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