「【”結婚していなくても、家庭内別居。そして・・。”今作は、鬱屈した思いを抱える男女が、女の子供が鎹となり家族のように歩く姿が男女の仄かだが、明るい未来を示しているのではないかと思った作品である。】」夜、鳥たちが啼く NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”結婚していなくても、家庭内別居。そして・・。”今作は、鬱屈した思いを抱える男女が、女の子供が鎹となり家族のように歩く姿が男女の仄かだが、明るい未来を示しているのではないかと思った作品である。】
■自死した作家、佐藤泰志の小説は何故に多くの監督により映像化されるのであろうか。
それは、今作を観ても明らかであるが、鬱屈、屈託を抱える人間のシビアな環境で生きる姿を描きながら、その人物は最終的には仄かな希望を抱く流れが、映画の王道である”喪失から再生の物語”に当てはまるからではないかと、勝手に思っている。
函館三部作の最終作である「オーバー・フェンス」で、オダギリジョー演じる職業訓練校に通う失業保険で暮らす男が、不思議な女と出会い惹かれつつも踏ん切りがつかない中、訓練校で行われたソフトボールの試合で男がかっ飛ばしたホームラン。あれは、男の再生していくだろう未来を暗喩したシーンであった。
今作で言えば、山田裕貴演じる売れない私小説家が恋人に逃げられながらも、松本まりか演じる先輩の元妻に惹かれ、自宅に招き自分は離れに住み執筆する姿から、女の連れ子を鎹にし、その距離感を縮めていく姿であろう。
<今作は、再後半、心に鬱屈、屈託を抱える男女が、女の連れ子を鎹にして距離を縮めてまるで連れ子を真ん中にして、家族のように歩く姿が男女の仄かだが、明るい未来を示しているのではないかと思った作品である。>
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