劇場公開日 2022年12月9日

  • 予告編を見る

「止まることが許されない」夜、鳥たちが啼く サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5止まることが許されない

2022年12月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

幸せ

別に面白かったけどね?評価低いから期待してなかったけど、言うほど悪くなかったよ?城定秀夫監督にしてはインパクトが無く、ちょっと物足りない感じはしたけど、主演2人の子役の演技がとても良くてそれなりにいい映画でした。

ストーリーとしては至ってシンプル。
彼女に出ていかれ、仕事もままならない小説家の男(山田裕貴)と、離婚してから男遊びが止められない子持ちの女(松本まりか)。どういう経緯でか、小説家の男の持つ家に住むこととなった子持ちの女。日を重ねるごとに、2人と子供はいつしか家族のようになっていく。「君の鳥はうたえる」「草の響き」は全然ハマらなかったが、本作は割とストーリーがディープで、物足りなくはあるけど、佐藤泰志作品の中では1番好きな物語だった。

どういう人物なのか、どのような過去を持っているのか、こういったのが全然描かれておらず、すごくモヤモヤするのが佐藤泰志の作品。苦手である。本作もキャラクターの描きが薄いのだけど、主演の山田裕貴と松本まりかがめちゃくちゃいい演技をしていて、且つ、相性が良かったために、描き不足がカバー出来ていたと思う。本当にいい役者。すごく聞き心地がいい声のトーン。2人が話すだけで作品に惹かれる。この2人の効果は絶大だったろう、おそらく違う人だったら3.0かと。「耳をすませば」コンビ、最高です。

また、子役がめちゃくちゃ上手い。
森優理斗。この子注目ですよ。なんかつい最近見たことあるなと思ったら、「桜色の風が咲く」の主人公・福島智の子供時代を演じた役者さんじゃないですか。どうりで馴染みがあった訳だ。どんどん顔から動き、性格までも明るくなっていく姿を見事に演じていました。今年ベスト子役ですね。

野球観戦・花火・ピザなどのエピソードが、それでしか無く、そこに共通するキーワードやら隠しテーマとかが無いから面白みに欠ける。しかし、流石城定監督。お家芸・濡れ場はとてもよく撮れていました。また、終始暗い映像も、後半になるにつれてお酒が美しく光り、明るさを取り戻していく感じがとてもよかった。脚本の欠陥を映像で補っている気がしましたが笑

脚本はレベル低いですが、役者も雰囲気も映像もよく出来ています。役者が好きだからと言って見る方にはハマるかと。逆に城定監督だからと期待して見ると、少し物足りないかも。個人的には割とすきな作品でした。ぜひ。

サプライズ