「「形」重視。〜「真」と「理」はご自由に考えて〜」劇場版モノノ怪 唐傘 wawawaさんの映画レビュー(感想・評価)
「形」重視。〜「真」と「理」はご自由に考えて〜
色々考察や解釈出来不出来好き嫌い辻褄やバランス構成言いたいことは沢山ありますけどマジで下書きで3千文字くらい書いちゃったので辞めます。
作品内で明示された部分での物語の主軸に対する解釈の幅が広すぎます。物語の収容な要素で同じ解釈って人が半分も居ないような作品はどうなのでしょうか。製作側の能力不足では?
今回唐傘ということですが真と理との関わりが薄すぎませんか?
映像は美しいです。時代背景を考えると違和感が強い金髪隻眼や黒人?の日本人などひたすら画面を華やかにすることが目的だったようです。企画された方は海外志向がお強い方だったのでしょう。地味にならず日本的な美しい文化。華々しい京都を彷彿させる和傘。
和傘外国人にウケそう→唐傘にしよう→舞台は日本人なら馴染みもあって後宮として海外でも注目度の高い大奥にしよう→いろんな人種だそう→浮世絵だけじゃなく有名な海外の絵画もだそう→モノノ怪と言ったら女性の怨念だから情念の渦巻く場所として作っていこう→キャラクターや所々の演出物語の進め方は旧作の焼き増しで十分だろう→なんか伏線っぽい演出を沢山入れれば摩訶不思議な雰囲気を作れるだろう。
そうして出来上がったのがこの映画でしょう。
私の考えるモノノ怪は「形」「真」「理」の繋がり、納得感こそが価値です。
この作品にはそれがありません。唐傘である必要性も感じませんし、少しでも画面を華やかにするための飾りでしかありません。「真」と「理」との関わりも薄くしっかりと明示もされません。「真」と「理」がおまけのようではモノノ怪と言えるのでしょうか。
ミスリード結構、視聴者を混乱させるような演出も結構、しかしそれは作品内90分で完結させていただきたいです。製作陣は登場人物や過剰な演出を管理できていると思っているのでしょうが完全に暴走しています。登場人物は3部作と言うこともあり多すぎる。せめてこの章に関わりがあるのは人物はここまでだよと中盤くらいまでに示せたはず、必要なキャラに必要な時間を割けておらずどれもキャラクターとして薄いままで終わりました。ダブル主人公(しかも舞台に慣れていない視聴者目線を持った人物)は物語を進めるのに非常に助けになります。が、一人の人物に時間を割けず掘り下げが浅くなりがちです。この作品はアサ、カメ、歌山、キタガワなどほとんどのキャラクターがそうでしょう。
演出はひたすらミスリードを誘い、引き算ができていない為解決されない演出の謎がかなり残ります。
見たことを後悔はしていません。見どころもあります。画面の色彩、演出の珍妙さ、キャラクターを除いたデザインはしっかり旧作の雰囲気を持ちつつ現在風にアップデートされています。さすが力を入れている所は成功しているように感じます。
好きだった作品がリメイク?されるのは嬉しいことで見ていて懐かしい気分になり画面も楽しいので幸せでした。次回作、完結まで見たいと思います。見る価値のある作品だとは思っています。制作の皆様ありがとうございました。