劇場公開日 2024年7月26日

「情報量過多で押し潰された初見者の意見」劇場版モノノ怪 唐傘 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5情報量過多で押し潰された初見者の意見

2024年7月27日
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鑑賞方法:映画館

この作品のシリーズ含め初見のモノの感想です。

大奥という名の徳川の御代に実在したお世継ぎ管理システムによく似た組織の存在、お侍さんぽいお役人さん、日本刀、江戸の文化と現代アートを掛け合わせたような綺麗だけど異質で奇妙な背景の雰囲気・・・初見でしたが既知の情報を照らし合わせながら進めたらなんとか世界観の骨組みくらいは理解できるかなあ、というのが最初の印象。

ざっくりまとめると江戸時代前期、元禄時代あたりをモチーフとした異世界の妖怪退治の物語ってことでよろしいでしょうか。

そして主要登場人物について。
謎の薬売りが主人公ぽいですが、見た目が既にこの世のものではありません。彼は何気ない会話や所作に少しも隙がなく、当然のごとく素早く相手の懐の深い部分に忍びこんで必要な情報を掠め取ります。おそらくモチーフは忍者であり間者でしょう。
あと新人女中二人。どちらも現代日本アニメ的「かわいさ」を兼ね備えた美人さんです。ただ、性格は正反対でアサちゃんは才色兼備のしっかりもの、何やら根底に強い決意がある模様。一方、カメちゃんはおっとりのドジっ子だけど性格の柔和さ気立ての良さは折り紙つきで良いコンビだと思います。女性バディもので真っ先に思いついたのは「ダーティペア」でした・・・古すぎるか(笑)。

この主要登場人物達が強く引き合い絡みつつ、それぞれの特性を活かし大活躍するお話と思っていたんですけど良くも悪くもそんな単純な話ではなかったですね。

そもそも横たわる謎の部分(生臭い水飲むとか)があまりに複雑で関係性が不明瞭、大奥が絡む人物の相関図もはっきりせず・・・さらに背景やら小道具など目に飛び込む情報量が半端なく多くて、残念ながら物語の序盤で理解が追いつかなくなってしまいました。

思うに10年以上昔の作品ですからこの作品のオールドファンより、初見の方の理解を優先し気持ちが寄り添えるよう、例えば富山の薬売りさんはカメちゃんにもっと肩入れし接点を増やし、彼が彼女に教え諭す様なシナリオにしとけば良かったんじゃないかと。

映像美は圧倒的で色彩も鮮やかで、明度の高いおどろおどろしさは満点でしたが、上記の理由で理解が進まなかった為かこの作品は結局何を一番に主張したかったのか、シナリオの一番大切なところがぼやけてよくわからず、とても残念でした。

非常に映像クオリティの高い作品なので、第二章で立て直してくれることを期待しましょう。

やまちょう