夜を越える旅のレビュー・感想・評価
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地獄のジャンケン
主人公が「不条理ファンタジーマンガ」を描いていると言う設定ですべてが視聴者に委ねられる面白い作品だなと思った。
なので結構めちゃくちゃで、ちぐはぐ。
でも、大胆な表現や細かな演出などもとても面白かった。
ロケ地もとても綺麗で素晴らしい。
前半はダラダラとゼミ仲間達とのやりとりが続く。
主人公は、ヒモ主の彼女にも仲間にも食べ物にも自分自身のマンガにすらなんだかぎこちない。
タマネギはダメでネギは良い訳ないだろ!!の食堂の主人に私も大きく頷く。
そこへやって来た、サヤ。
かつての憧れの女性。
彼女だけには主人公は饒舌に語り、笑い、自身のマンガを読んでもらい、肯定され改めて彼女の魅力に魅せられる。
そして全てを捨ててサヤに着いて行くとつい口走る。
それはヒモであり、マンガも落選というどん底からの逃げでもあるのだろう。
しかし約束したサヤはもうこの世のモノではなかった…
その後からのホラー演出は素晴らしいよ!!
いきなりのパックンチョ!なんて誰が想像した!
ワクワクが止まらない。恐怖度かなり高め。
最初に来たのは遊園地の列車。猿夢かよ〜
そこからの不気味版サヤの恐怖を植え付けられ、己かケントを差し出すかを迫られる。
「代わりに1人差し出せ…そうだケントでいい」
サヤの声色や周りの人影などほんと怖い。
何故ケントだったのかなぁ。
ケントも同じ夢を見ていた。
まさかの一騎打ち問題発生。
まず、霊媒師二人組に会いに行くがお手上げ。
出てくるニコイチの男女霊媒師がとても好きでたまらない。キャラが立ちまくっててなんならこの2人のストーリィを見たいほどだ。ここまでぶっ飛んでてラリってますか?的2人が超絶良き。乱雑に引き出しにしまわれたお札の中から取り出したのはカラオケ割引券。好き…
とにかく、サヤの事を考えなきゃいいんじゃん?
そんなん無理じゃん?て思うよね。
カラオケ行って、科学館行って、映画でも行く?カップルか。
そして謎の殴り合い。死なない程度に石で。
殴られ、一瞬昏倒しただけでも現れるサヤ。
もー、怖い。
ガチお祓いの始まり。
これも面白いんだよな〜これでもかってくらいすごく仰々しくてこれはサヤとの全面バトル大戦がくるのかと思いきやサヤの魂は無いと。
周りの悪いモノがサヤを利用していると。
しかもドッキリ?
なるほどわからん。
残り3時間。
ケントの「俺、結婚するんだよぉ!」あ、死亡フラグワード言っちゃったよ。
それに反し「お前の方が幸せだからって俺が死ねってかよぉ!」なかなか良い返しである。
乱闘中に持っていたのはトーン削る為のカッターだったかな?
提案されたのは「ジャンケン」
ジャンケンで負けたら死亡。カイジかよ。
序盤で常に負ける主人公に騙されたと思って目を瞑ってジャンケンしなよ〜との仲間の言葉に従って目を瞑る。
こんな伏線が。
負けたと信じ、死を覚悟する。
その前に遺書を書く。どうしてもサヤを忘れられない…
書いている途中に横に現れた優しい表情のサヤ。
そして血を流しながらゆっくり死んでいく主人公。
それはマンガの中。
全てにおいて、どこが本当で何が妄想なのかわからない。
そもそも全てが妄想なのか。
ラスト、机に向かいマンガを描く主人公。
その周りにはサヤを描いたイラストがたくさん。
サヤという存在すらも妄想なのかもしれない。
だって彼は「不条理ファンタジー」マンガを描く人だから。
「不条理ファンタジー」より「不条理ホラー」では?とか思ったり。
この作品は好き嫌いがハッキリ別れる作品だと思う。
いちいち起こる謎の食い違いやツッコミにイライラする人は多分苦手かな〜
だっておかしい所ばっかりある。あげればキリがないほどだし。
私は大いにアリでした。
ホラー描写は少ないもののインパクトのある作りだったので満足。
ブレっブレの彼女との写真や風水の話とかも意味深だった。
観てて、確かにマンガみたいな手法やキャラ達だなぁって感じたよ。
主人公がタマネギが嫌いなのは本当なんだと思う。
作品と夢と
この作品も見る人によって内容や物語そのものが違って感じる。
難しいと感じるのは、実際に起きていることが何かという問題だろう。
最後に主人公ハルトシが目覚め、再び椅子に座って作品を作り始める部分でエンドロールを迎えるので、この物語すべてが彼の夢だったと考えることができる。
冒頭ハルトシは以前書いた作品をコピーしている。その様子を彼女が見ているが、その部屋の様子は最後の部屋とは違うのもその理由だ。加えてその人物の顔は登場しないことから、作品の夢を見ていた漫画家だったのかもしれない。
作品は何度も修正されて出来上がるが、その過程でハルトシはその物語そのものを何十回も考えることで自分のイメージすべてを「ひとつながりの夢」として見てしまったのだろう。
つまりこの夢そのものが彼の描いた作品だったということだ。
そして夢だけに、辻褄などが合わない部分がある。
その辻褄の合わない部分が、修正を繰り返した部分なのかもしれないし、実際にはそうならないことをわかっていながらしているということかもしれない。
最後に彼は遺書を書き残しながら、それでいて車の中で死ぬ主人公の漫画を描いている。
まずこの部分がそれにあたる。
警察がやってきたのはバグなのかもしれない。また、ケントとじゃんけんしたあとケントがいなくなるが、そもそも彼の車であるという矛盾もある。
そして何より、作中で出てくるハルトシの漫画のジャンルが「不条理ファンタジー」ということだ。
作品と夢 この辻褄が合わないところが夢だろう。そして夢の中の不条理は目が覚める直前に起こりやすい。目の覚める最初の出来事が除霊中にケントが噴き出したことと、「ドッキリ?」と口走ってしまったことだ。ドッキリのはずがなぜか急に車の中にいて、しかも呪いは終わっていないこと。
そうしてどんどん不条理が増え、やがて目が覚めてしまう。
最後の部屋の中には、サヤの顔の絵がクリップされていた。漫画家はサヤという人物像を非常に細かく作っていたのだろう。あまりにもその人物像に傾倒しすぎた故に見てしまった「夢」だったのだろう。
作家とはそのようになるまで根を詰めているということを作者は言いたかったのかもしれない。
最初はクッソ寒い青春懐古映画かと思ったら、本格的なJホラーの後継映画でビビりました
最初は会話とかもずっとスベってるし、青春懐古的な内容をスタイリッシュな感じでやられるのきっついなと思ってたんですが、中盤以降にまさかの本格Jホラーに舵をきったのでかなりビックリしました。
とにかく雰囲気が不気味で個人的には今年観たJホラーのなかで1番怖かったです。
直接的な描写ではなく、音楽と雰囲気で間接的に怖がらせる感じが正統なJホラーの後継映画だなと思いました。
ストーリーはあんまり面白くなく映画としては弱い部分はありましたけど、ホラー演出はかなり光る物があったので萱野監督の今後の作品を観ていきたいと思いました。
夢追い人の物語を文化人類学的に読み解いてみる
漫画家になる夢を追い続け、経済的に不安定な生活をする男があるきっかけで
夢と現実が交錯する旅路に迷いこんでいくロードムービー
荒唐無稽なファンタジーとして観ることができるこの映画、誰もが経験する「通過儀礼」をキーワードにちょっと別の見方をしてみた。
そもそも「通過儀礼」って何って人もいるだろう。
七五三、成人式、結婚式などのライフイベントの堅苦しい呼び方と捉えてもらえれば十分。
もう少しややこしく説明すると通過儀礼とは日常生活から一度分離され、異なる時間と空間での移行期間を経て、元の日常にもどされ再統合されるという3段階を経験して、身分の変化が公に認められること。
成人式を例にすると、それまで「未成年」とされていた人たちは成人式を経験すると「大人の仲間入り」なんて言われるようになる。
こんな感じで自分で変わったわけじゃないけど、社会でのライフイベントを通じて、その社会での身分が変わるような出来事が通過儀礼になる。
今回の映画は一般的な通過儀礼を行っているわけではないけど、主人公の状況は通過儀礼の三段階を経て、身分が変わっていると考察することができる。
主人公は夢を追いかけている途中で、経済的に自立できておらず、いわゆる「彼女のヒモ」状態で生活している。
その主人公が大学の同期と旅行をし、死んだはずの憧れの女性(同期の一人)と再会するあたりから、彼は夢としか言いようのない常識では到底説明できない不可思議な空間での旅路が始まり、一度日常生活から分離されている。
あとから分かることだが、友人と過ごしていたその時間は全て「夢」もしくは主人公の「空想」とも言える状態で、
通過儀礼での異なる時間と空間での移行期間にまさに合致する。
物語のラストで明らかに現実であると分かる描写がされ、主人公は元の日常に戻ったことが明示され、彼は日常に再統合されいることが分かる。
極めつけはラストの描写で、見た限り彼は彼女とは別れ、一人での生活を始めている様子がうかがえる。
つまり、この映画は定職を持たず、経済的にも自立していなかったヒモ人間が、通過儀礼を経て、自立して夢を真剣に掴み取りに行き、社会での身分が変化する様を描いている。
彼が漫画家になれたか否かは明言されていないが、最後に出てくる彼の部屋の様子から身の入れようが変わっていることが伝わってくる。少なくとも大学の同期と再会する以前の彼とは気持ちの面で明らかに前進している。
制作陣が通過儀礼を意識していたかは分からない。しかし、この映画は「行きて帰りし物語」に分類することができ、同期との旅の前後での主人公の成長や心情の変化を描こうとしたのは感じられる。
行きて帰りし物語はもともと通過儀礼と親和性が高く、主人公の変化を描く過程で自然と通過儀礼の三段階が組み込まれた可能性もある。
意味不明な空想パートも通過儀礼の過程と捉えて映画を観るとうまく表現されているなと感じた。
逝ける恋人のためのレクイエム
『小泉八雲』の〔骨董〕に収められた怪談の中の
〔茶碗の中〕と題された一編。
特徴的なのはその終わり方で、
突然途切れたように、ぽ~んと投げ出された終幕を迎え、
その後については、読む者の想像に委ねられ。
本作には、それと似た印象を持つ。
たまさか〔茶碗の中〕に登場する
『中川佐渡守』は豊後=大分の藩主なのも興味深い。
この映画の舞台も、佐賀なのだが。
『春利(高橋佳成)』は、院卒にもかかわらず
未だに漫画家への夢を捨てきれず、
各賞に応募はするも、入選さえままならぬ日々。
アルバイトはしているものの、ほぼほぼイマの恋人に喰わせて貰っている
ヒモ状態。
そんな彼が
学生時代の友人たちと一泊二日の小旅行に出かけた先で遭遇する不可思議な体験。
最初はほのぼのとした仲間内の他愛ない交流が描かれるが、
中途から物語は急転、まさしく骨法である「序破急」を地で行く展開。
しかも夢なのか現なのか、或いは
主人公の妄想なのかそれとも周囲の人間がよってたかって彼を陥れようとしているのか
どうとでも取れてしまう曖昧なエピソードがただひたすらに積み重ねられ。
とは言え、不条理感に満ちながらも、脚本自体は相当に綿密な構成。
例えば、冒頭に近い、二人で他の同行者を待つシーンでの会話。
ここでは、誰か一人が仕事の都合で来られなくなったことが口に上り、
なので、中途から『小夜(中村祐美子)』が「遅れて」参加しても、
鑑賞者は不審には思えない。
しかし、ここが監督の創り方の巧みさだが、
幾つかのカットを観れば、実は彼女が既にこの世の者ではなく、
しかも死因についても暗喩していることが分かって来る。
思わず「上手いなぁ」と独り言ち。
もっとも、この場面から既に矛盾をはらんだ状況に陥っており、
彼女の死は周知で、ならば他の五人の反応は不自然。
にもかかわらず、お話が進行していくのは、何かウラがあるハズ、と。
不条理が画面全体を支配し、主人公達だけでなく
観る側も監督が仕掛ける迷宮に嵌ってしまう。
とは言え、八十分尺のかなりの小品ながら、どうとでも取れる場面があまりに多すぎて、
幾つものシーンで釈然とせぬ思いが溢れ出す。
マルチエンディングのように解釈可能な幅が広すぎて。
ある意味、行き詰った漫画家志望ニートの夢落ち(それも冒頭から)
でもありなわけで・・・・。
お話の根底に
恋人を失ってしまった喪失感が潜んでいるのは間違いのないところ。
そして、先んじて逝ってしまった『小夜』(だからタイトルが「夜」なのだと誰何し、
このエンディングは幸あるものと思いたい)を演じた
『中村祐美子』は短い登場時間ながら、残した印象は強烈。
全く自分に合わなかった感じ。
映画館の割引dayでお目当ての作品を鑑賞後、前情報一切無しで観賞。
出だしから自分には合わない感じで進むストーリー。
売れない漫画家が大学時代のサークル仲間と【数人】で一泊の旅に出かけ、そこで起こる予想を越えた恐ろしいストーリー。
観終われば、この【数人】がキーワードって感じ。
鑑賞中は全く違和感が無かったけど
、観終われば「そう言う事なのねっ」って感じでした。
ドッキリ番組みたいなシーンも意味不明。そのシーンの必要性が自分には感じられず謎でした(汗)
ストーリーはかなり綿密に考えられた感じ。
作者の思い入れは理解できたけど、自分はついて行けませんでした。
ロケーションも残念だった感じ。
もっと観ている人を引き付けるロケーションだったら評価も違っていたかも。
もう一度観たら面白さが倍増する感じはしたけど多分観ないかも(笑)
本作のタイトルは上手いと思いました。
後半、本日お目当ての水墨画の作品と酷似するシーンが登場。
そこは自分の中で盛り上がりました( ´∀`)
ユリの運転が最恐です。
ヒモの様な暮らしをしている漫画家志望の男が大学時代の友人達と旅行に出かける話。
彼女に旅費を借りるは、マンガの原稿を読んで貰いたくて持って行っちゃうは、ホント彼女が言うとおりで何だかね~。
昼メシ談議もそこはちゃんぽんじゃなくカレーでしょうが…。
本題の旅行の方も夢、夢、と重ねて行ってまさかのホラー?
ちなみにお隣さんはずっと夢の中w
こうなったら全部夢でも、全部霊のせいでも、全部マンガでしたでも、なんでもありだし不思議でも無ければ恐くも無くなるし、なんすかこのよくわからないドタバタ感は。
判然としないのがダメな訳ではないけれど、この終わり方だと全てが無かったことにもなる訳だし、もっさりしたテンポと終始空回りな空気感で自分にはハマらなかった。
ジェットコースターホラー
青春でほっこりと思いきやジェットコースターのような映画で面白かった。
ホラー演出そして音もドキドキでホラー観たい人にはオススメしたい映画でした!
でも僕は少しお話しが難しかった…
ナレーター入れても良いし、字幕でも良いから、もっと説明してほしい
漫画家を目指してる春利は大学卒業後も夢を諦めれず、恋人のヒモ同然の暮らしをしていた。経済的な後ろめたさから逃げ出すかのように大学時代の仲間たちと1泊2日の小旅行へ出かけた彼は、応募していた漫画賞に落選したことを彼女からの電話で知り、落ち込んでしまった。そんな時、かつて春利が想いを寄せていた小夜が遅れて合流してきた。喜んだ春利は小夜を誘い外に出た。すると・・・てな話。
これホラーだったのかな?
小夜が自殺した理由もよくわからなかった。
春利のヒモ状態も鳥肌が立つし、ちょっと前見た首が飛ぶ作品のような爽快感は無いし、イマイチだった。
小夜役の中村祐美子は魅力的だったが。
コレは格好良く云えるとすればサイコホラー⁉︎
割と,真面目に漫画家になりたい素人の幻覚の話を、一寸大袈裟にしつつ単純な様でなんで?とか…
突然,ホラーちっくになったり… 何故,同級生同士で殺し合わなきゃならないのか?
わざわざ訳分からんシナリオにするのが,狙いなのか⁉️ 私としましては,一寸狙い過ぎで未だ成り切れて居ない処も有った様にも,感ぜられちゃったかなぁ〜という感じ。
中村祐美子
2022年10月3日
映画 #夜を越える旅 (2021年)鑑賞
福岡を拠点に映画を制作し続ける #萱野孝幸 監督の最新作
現実が上手くいかず、学生時代の仲間との旅行・・・青春の甘酸っぱいお話かと思いきや、そこからの展開がジェットコースタームービーです
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
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