「中3男子の物語」カラオケ行こ! 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
中3男子の物語
ヤクザの男が、組長主催のカラオケ大会に向けて、中学校合唱部部長の男子生徒のレッスンを受けるため、カラオケに通う。
この有り得そうもない設定から、ヤクザが中学生との関わりの中で変わっていく様子を描くのかと思っていたら、実際は、中3男子が大人の階段を上り始める姿を描く物語だったことに驚き、面白みがあった。
笑える小ネタを挟みながら、ウェルメイドな娯楽作品に仕上がっている。時折長回しで、「間」をそのまま見せるのは、山下敦弘監督の持ち味。
主人公役の齋藤潤は、あの年頃特有の屈託さを出している。綾野剛は、始めから終わりまで好青年であったことは意外。もう少し空恐ろしさを感じさせるシーンがあってもよかった。合唱部副部長の女の子がかわいい。VHSで古い映画を観るひとり映画研究会は、原作漫画にもあるのだろうか。
今回、発声OK上映を初めて体験したが、さすがに一緒に歌う観客はいなかったものの、スクリーンへのかけ声、終映時の拍手など、ライブ感覚で面白かった。
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