「「紅」がいかに名曲なのか思い知らされた」カラオケ行こ! チーズさんの映画レビュー(感想・評価)
「紅」がいかに名曲なのか思い知らされた
映画やドラマの「笑い」には二つあって、一つは自然と湧き起こるような「笑い」。もう一つはここで笑ってくださいという製作陣の声が聞こえてしまい、上滑りしてしまう「笑い」。本作は前者の方で安心した。
大爆笑する場面はないかもしれないが、クスッと笑ってしまう箇所がたくさんある。それはやはり狂児絡みのシーンで、終始綾野剛が少しふざけた行動をしているのが面白い。しかしあくまでも真面目にやっているから笑えてくるのだ。普通ならあり得ない中学生の聡実と友情が育まれる過程も違和感なく演じ、改めて綾野剛の力量を確かめることができた。
そして中学生の聡実を演じた齋藤潤も素晴らしかった。変声期に悩む男子中学生の心情や、ヤクザの狂児を徐々に信頼していく様子を丁寧に演じていた。そしてラストの「紅」熱唱。あれは鳥肌モノだった。高音は出ないけど狂児への鎮魂歌として全ての力を振り絞って歌う姿には感じ入るものがあった。16歳の齋藤潤だからこそできる渾身の演技だった。
で、聡実が歌った「紅」だけど、こんなにいい歌詞だったんですね…今までこの曲ちゃんと聴いたことがなかったので驚きだった。なんとなく激しくて、盛り上がる曲くらいの認識しかしていなかったことを恥ずかしく思った。序盤の英語の日本語訳も、グッとくるものがあった。本家の動画がYouTubeにアップされているとのことなので、ぜひ確認したい。
ただ、合唱部の描写についてはかなり不満だ。聡実は結局最後の合唱大会に参加しないどころか、客として仲間を見守ることもしなかったが、それでよかったのだろうか。狂児が心配なのはもちろん分かるのだが、3年間懸命に頑張ったはずの合唱部の最後の大会なのに、あっさりと狂児の方を優先したのはいささか疑問であった。
あと、聡実の後輩•和田(後聖人)の扱い方も中途半端だった。聡実のことをおれだけ嫌っていたのに、聡実が合唱部を辞める時に突然泣き出しているし、よく分からないキャラクターだった。2時間で聡実と和田の関係まで描写するのは時間不足だったのかもしれない。ちなみに副部長の中川(八木美樹)は成長しきれていない男子共と違い、一歩大人の階段を登っている感じがとても良かった。また八木美樹には可能性を感じるものがあったので、今後注目していきたい。
コメント大変遅くなってしまい申し訳ございません🙇♂️こちらこそフォローありがとうございます!
数分に一度ちゃんとクスクス笑えるのが、なんとも心地良かったですね。こういう感じの作品は大好きです。
八木美樹さんは素晴らしかったですね。現時点では次の作品は決まっていないようですが、これからオファーが増えるような気がします。