「ヤクザと中学生のあり得ない青春奇譚」カラオケ行こ! おたまさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤクザと中学生のあり得ない青春奇譚
マンガの実写化で失敗する映画は多いけど、本作はキャストもエピソードも会心の出来で大満足でした。
原作にないエピとかオリジナルキャラなどのマンガ実写化の危険要素あるあるも全てクリア、改めて野木脚本のクオリティの高さに感服しました。鶴と亀の傘のクダリも観客から笑い声が起こってました。あの傘ほしい!
そして綾野剛と野木脚本との相性はやはり抜群。
今回は伊吹みと鴻鳥みをベースに山本風味をふりかけた感のある狂児がピタリとはまりましたね。関西弁もほぼ違和感なく聞けたので当初の心配(関西人には気になる似非関西弁)は杞憂に終わってひと安心。
綾野剛の歌が上手いのは、カーネーション初登場時、亜人の鼻歌などで何となくそうと知れていたけれど、今回ワンマンショーかってくらいの歌唱シーンでそれも堪能できました。それにしても綾野剛は歌ウマ王で脚長王だな。
それから新人の齋藤潤くん、まだセリフ回しは「読んでる」感あるけど、ときおり見せる思春期少年特有のクソ生意気な冷めた表情も良かったし、最後の紅の掠れた熱唱はジーンと来た。
個人的には原作のコカイン星人を「めっちゃごめん」と言いながらボコるところ(血が飛び散ってそれを手で受け止めるシーン)は、絶対入れて欲しかったのでそこがなかったのが残念。
あと祭林組の面々のカラオケ、もうちょっと面白シーンを入れてほしかったなあ。陣馬兄貴との絡みももうちょい見たかった。
合唱部は後輩わーだーが意外とクセ強キャラになってたのが最高だった。「やらし〜!学校でやらし!」は映画史上に残る名セリフかもしれない。
あと映画部なんてのもあっだけど、そこはまあ巻き戻しできない青春時代とかけてるのかな。
原作で爆笑した3代目米津玄師もセリフにあったし、細かいところも原作通り、もしくは原作をより掘り下げる丁寧な脚本で期待を裏切らない秀作でした。意外と劇場のサイズが小さかったので、今度は大きな劇場で見たいです。