カラオケ行こ!のレビュー・感想・評価
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作品後半の二人の関係性が素晴らしかった。
◯作品全体
前半は正直なところ退屈だった。一番の歌声だったからという理由はあれど中学生に声をかけ一緒にカラオケボックスに行くヤクザ、という冒頭がまず突拍子もなさすぎる。カラオケボックスまで行っておいて中途半端な仕草で帰ろうとする聡実の行動もおかしい。正義のヤクザ像を振りかざしそうだなという個人的な憶測も作品から一歩引いて見てしまう理由でもあった。
ただ、中盤で聡実が狂児へ「カラオケ、行こ」と伝えるところから少しずつ余計なものが削ぎ落とされて、「二人の一風変わった信頼関係」という作品の長所が一気に出てきた。
まず、中学生とヤクザという設定を巧く使っているなと感じた。理知的だけど自身の声変わりにどう向き合っていいかわからず、思春期特有の反抗期の素振りを見せる聡実。でも根は素直で、狂児からの優しい声かけを斜に構えながらも受け止める。中学生という設定と聡実という登場人物の魅力がきちんと掛け合わされているような気がした。
狂児の描き方は特に良かった。不器用だけど一途とか、見た目怖いけど優しいとか、よく見るヤクザキャラクターとは少し違っていて、純粋で芯の通ったキャラクターになっていた。ドスを効かせるヤクザじゃなくて、何考えているかわからないから怖いヤクザ…みたいな風貌だけれど、聡実に嘘をつかない。作中で成長したり、変化がある人物ではないけれど、いろんな表情を見てみたくなるキャラクターだった。
合唱部のトラブルを女関係のトラブルと勘違いした狂児のくだりは、ありきたりな仲違いだと思ったけど、狂児のフォローの仕方に優しさが溢れていて素晴らしいシーンだった。
終盤、狂児が襲われて死んでしまったと臭わせるところは、まあ間違いなく死んでないんだろうなと思ったけど、狂児が現れたときに二人がどういう表情をするのだろうという部分で「どうなってしまうんだろう」という期待感が楽しかった。そしてそれに応える「紅」と二人の再会。
「聡実」と掘られたタトゥーと二人の再開を予期するラストシーンも含めて、とにかく二人の関係性の描き方が素晴らしかった。
◯カメラワークとか
・聡実の家での夕食シーン。食卓を横位置で映して、すでに着座している両親を上手に映す。下手の聡実の席は手前の襖で見えなくなっていて、その襖を開けることで聡実の席が映り、画角も広がる。演出意図としてはそこまで深いものじゃなかったけど、使い方によってはかなり印象に残る演出になるなあ。
◯その他
・合唱部の後輩ソプラノ・和田がいいキャラしてた。聡実を追い込むような立ち位置なのに聡実を尊敬している人物でもある。狂児もそうだけど、聡実を取り巻く人物に嫌味がないのが魅力なんだろうな。
まさか「紅」で泣くとは!
クライマックスの少年による鎮魂の「紅」に尽きる!まさに魂の熱唱。声変わりで声が出づらいところを、想いだけで歌い上げる。決してめちゃくちゃ上手いわけじゃない。ハデなわけでもない。でも自然と涙が出てくる。テクニックうんぬんじゃないんだ歌は!愛だ!ハートだ!ということを伝えてくれる。凄い演技力だよ。(このシーンまでの2人の積み上げがあるからこそ、このシーンが活きた。)
コミックも読んだけれど、やはりこのシーンで大差がつく。コミックであの歌は表現できない。映画ならでは。
クライマックスのこのシーンだけで観る価値ある。
エンドロールで流れるリトグリの紅が、アレンジといい、ピアノといい、ギターといい、合唱といい、すげえいい!Spotifyで聞きまくってます。
幻のように居なくなった、南銀座の妖精(いかついおっさん)たち。
声変わりして前のように歌えない部長に、完全燃焼できるステージを用意してくれた。
エンドロールの後にも続きあります!
※正直、綾野剛の演技がスッキリしないとこもあったが、あれも抑制を効かせたのかな。
※「毎日牛乳飲んでますうー」
「お花畑が伝染しとる。森丘中合唱団は終わりや!」
「あーヤラし!学校でヤラしッ!」
「部長より絶対いい部長になりますからね。」
「一緒に写真撮ってください。」
この子、むっちゃ好き!!
齋藤潤のみずみずしさと名曲「紅」のポテンシャルを堪能する
突飛な設定ととぼけた面白さ、そこに変声期の少年の繊細な心理描写が同居することで独特のテイストが生まれている本作。
クレジットのトップは綾野剛だが、実質的には岡聡実役の齋藤潤が主役という印象。実際、公式サイトにあるインタビューで山下監督も「『カラオケ行こ!』は聡実くんの映画だから、齋藤潤を立てていこう」と綾野剛と話した、と述べている。聡実の等身大の中学生感が、とにかく愛らしい。
齋藤潤は、「正欲」で磯村勇斗が演じた佳道の中学生時代を演じて、短い出演ながら佳道の過去を強く印象付けた。また、現在NHKBSで放送中の篠田節子の小説を原作としたドラマ「仮想儀礼」(これむっちゃ面白いです)では、主人公にとってのキーマンとなる少年を演じている。重い背景を背負った中学生の不安定さや危うさがひしひしと伝わってくる好演だ。
最近私がたまたま目にした彼のそうした役柄と本作の聡実は、全く違うキャラクターだが、現実にいそうな中学生としてのリアリティとみずみずしさにあふれている点は共通している。決して天才子役と言われる類の技巧が目に付く演技ではないのだが、ナチュラルな雰囲気をまとったまま演じ分け出来るのは結構すごいことなのではないだろうか。
物語は比較的原作(映画を観た後原作を読みました)に忠実だが、カラオケ歌唱の場面を実際の歌と動きで表現できるのは実写ならでは。漫画で読んで想像を膨らませることもまた楽しいが、「紅」を繰り返し熱唱する綾野剛の振り切り具合には笑ってしまった。
いくつかあった映画オリジナルの場面は、そこはかとない無常感があってちょっと感傷的な気分にさせる描写が多い。「映画を見る部」の巻き戻せないビデオデッキ、再開発で取り壊される「ミナミ銀座」(ちなみに「ミナミ銀座」は大阪市には実在せず、撮影は山梨県甲府市の南銀座で行われている)。変声期の青春も一度きり。
中盤以降でぽつぽつと織り込まれるそんな空気感と、前半ののほほんとした展開とは対照的に唐突とも言える狂児との別れという展開。聡実の心情にシンクロする「紅」の歌詞……。そういう映画を見にきたつもりはなかったのにちょっとほろりと来そうになった。北村一輝に騙された(笑)
「紅」は狂児に裏声で歌われるとコミカルになり、クライマックスで聡実が絶唱すると彼の心を映したかのように歌詞が切なく響く。エンドロールに流れるリトグリ&合唱アレンジも意外なほど馴染む。こうして聴いてみると、なかなか懐の深い名曲だ。
主人公二人の交流は面白かった。でも、実写化するのは苦しい場面もあった
狂児役の綾乃郷と聡実役の斎藤潤。主役の二人は、ヤクザと中学生がだんだんと親しくなっていく展開をうまく演じていた。聡実は怖がって、近づきたくないのに、グイグイと来る狂児のペースに巻き込まれていく。狂児は凶悪そうなオーラを出しながらも、聡実を「先生」として大事にしてくれる。そのギャップがこの物語の重要な要素だが、違和感はなく、うまい演技だった。
クライマックスの聡実の熱唱は、「紅」という曲についての伏線が効果的で、熱い。
狂児の車のダッシュボードを聡実が開けて驚く場面は、「そんなところに入れておくはずがない」と思った。合唱の先生が生徒よりも軽い発言を繰り返す場面も、「何を考えてるんだ??」と思った。
クライマックスの熱唱は良かったが、そのあとの展開がついて行けなかった。特に、組長の反応は、原作漫画の二次元の絵なら、絵のタッチでなんとかなるけど、実写では「それはないよ」と思った。狂児があの場所にいて、シャツが少し汚れているだけというのも、実写だと「おかしいでしょ」と感じてしまう。実写化は難しいマンガだったのではないか。
中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの...
中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われる。戸惑う聡実に、狂児は歌のレッスンをしてほしいと依頼。組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていくが……(解説より)
おもしろかった!
最初流し見していたが、おもしろくて途中からじっくり鑑賞。
おもしろさ、ちょっとした感動要素、最後の清々しさと、非常にバランスの取れた作品だったように思う。
地面師たちもそうだったが、綾野剛の演技素晴らしい。
愛とは与えるものらしいで
歌は良いよね
狂児の歌声だけど、「裏声が気持ち悪い」って、そうは思わなかったけどなぁ。
ちゃんとビブラートもきれいに入れてたし詰まってもないし、普通に歌ウマだと感じたけど・・・。
てことは、俳優側の歌ヘタの役作り不足だな・・・!
あと、ダッシュボードを開けてって言われたとき、私は絶対ピストルが出てくる!って思ったんだけど、予想外のものが出てきてビックリしました。
人気コミックの映画化!非日常が刺激される!!
中学生とやくざ、、!?
いきなりどういう設定なんだ!!と思っていましたが、
原作が漫画だとあとから知って、漫画も読みたくなりました。
現実ではありえないような中学生とやくざの運命の出会い、、
ロックオンされた時の緊張感からの紅でのギャップについつい笑いがこぼれてしまいました。
綾野剛さん演じるやくざはこわい反面、優しい一面とチャーミングな一面があって憎めないキャラクターですし、中学生の岡くんは変声期での心の移り変わりや思春期真っただ中で人間関係もぎこちないところが、自分自身にも同じ経験があったなと懐かしくなりました。
罰ゲームを受けたくなくてなりふり構ってられないやくざが中学生に助けを求める姿、なんだかんだ懐いてしまう中学生岡くんのやりとりはシュールですがかなり面白かったです。
大人と関わることで岡くんの心の変化や自分の成長への気持ちの置き所、それを受け入れながらも自由にさせているやくざの成田のやりとりが、最後の紅のシーンで感情がこみ上げてきました、、。
気持ちのこもった歌声は声質、音程など関係なく聴く人の心に響きました。
カラオケ大会が終わった後の日常に戻るところが、本当に夢のような時間でかけがえのないものだったんだなと感じました。
素敵な作品でした、
役者さんの歌声もとても素敵でした。
宝物が増えた
私は大好き
ヤクザが中学生とカラオケ行っていいの?とか聡実くんコンクールサボっていいの?とかお父さんから貰ったお守り横流ししていいの?と色々思った事はあったけど最後の〝聡実〟の刺青見たら全部どうでもいい〜〜〜〜最高‼️ってなった
映画だと漫画みたいに言葉に出さない頭で考えている感情が出てこないからハッキリとは分からないけど、聡実くんと狂児それぞれの歌に対する思いとか最後絶対に練習では歌わなかった聡実くんが紅歌ってるのとか色々解釈出来て楽しい
何より綾野剛と齋藤潤、、どちらもいい役者さんでした、、т т
入江悠は見ろ、と思った
紅
どうしても許せない
大好きな和山先生の作品が映像化。当然観ます。
台詞がオリジナル部分も含めて和山先生っぽい脱力系のギャグで面白いです。テンポが悪いのが惜しいところですが。
綾野剛の裏声の気持ち悪さが絶妙で、原作ファンとしてはニヤニヤしました。
ラストにギリギリ出ない高さで紅を歌ってみせるのは必至さが伝わってきました。
どうしても許せないのは、先にオチを見せたところですね。「裏でコッソリ聴いている」というのを伝えたいのは分かるんですが、別のやり方があるでしょうに。
いやー、もう最高。
Amazon primeで鑑賞。綾野剛が出てるからと思って見てみたら、なんだちょー面白いじゃん。
ところどころ、笑いあり
成長期の悩みと絡んでいく中で
どういう終わり方なのかなと全く予想していなかったのだが、狂児が事故にあってしまったという展開には
驚きを隠せなかった。
(もうすでに狂児の虜になっていた笑)
さすが綾野剛。
聡美くんが歌う「紅」に合わせて
狂児との思い出が蘇るシーンでは涙を堪えるのに大変だったわー。
隠れて聞いている狂児の表情、
組長がちょっぴり感動してるところ
オレンジジュースやで〜のシーン大好き
何度も見てしまう。
カラオケで出会った、ヤクザと中学生のずれた青春
あらすじ
合唱部の部長・聡美は、ヤクザの成田狂児から、なぜか歌を教えてほしいと頼まれる。
かみ合わないようで、不思議と続くふたりの時間のなかで、歌や自分自身と向き合い、少しずつ距離を縮めていく、小さな青春の物語。
感想
ヤクザ×中学生×青春×カラオケという、一見ちぐはぐな組み合わせが、不思議とハマっていて、最後まで楽しく見ることができた。
思春期特有の心と体の変化と、合唱という題材がうまく結びつき、リアルさもありながら、自然と笑いに変わっていく流れが心地よかった。すっと映画の中に入り込めた感覚がある。
そんな中でも印象に残ったのは、ヤクザたちがそれぞれの持ち歌を本気で歌うシーンだ。
場の空気はどこか間の抜けた可笑しさに満ちていて、思わず笑ってしまった。
その中で聡美が冷静にツッコミを入れたり、だんだんめんどくさくなって罵倒する流れも、肩の力の抜けたテンポで面白かった。
ふたりのやりとりは、どこかズレたまま進んでいくけれど、その不器用さやぎこちなさが、少しずつあたたかさに変わっていく過程がとても良かった。
無理に距離を詰めるでもなく、自然と隣にいる感覚が心地よかった。
そしてラストの「紅」。
ただ歌がうまかったからではない。
不器用に重ねてきた時間が、そのまま聡美の歌ににじみ出ていた。
声変わりの不安定さも、ふたりの積み重ねも、あの一曲のなかに静かに息づいていた。
それが、シリアスになりすぎず、でもどこか胸に残る、映画らしいラストになっていた。
振り返ってみると、この映画は、ちぐはぐなふたりが、ちぐはぐなまま並んでいることの、ささやかな心地よさを描いていたんだと思う。
肩の力を抜いて観られて、でもじんわりと温かさが残る。そんな、いい映画だった。
普段あまり見ないタイプだが
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