劇場版 荒野に希望の灯をともすのレビュー・感想・評価
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誇るべき勇者
テレビのドキュメンタリーを見て、中村医師のことを知っているつもりでいました。しかし、映画館でアフガニスタンの広大な自然の風景を目の当たりにして、これまで知っていたと思っていたことがいかに限られたものだったのかを思い知らされました。
特に、用水路を作る取り組みがどれほど無謀なアイディアであったか。完成までの想像を絶する困難もそることながら、完成後の氾濫で用水路が流域の人たちの生活をおびやかすことにもなりうるということ。自然に比べて人間がいかに無力か、ということが大きなスクリーンによって実感することができました。
巷では元総理を国葬にするかそうでないか、と言う議論をしていますが、もし国葬というものがあるとしたら、中村医師のような方こそがふさわしいと思いました。各国の代表が中村医師の業績を共有し、中村医師の平和に対するメッセージを改めてかみしめる、そんな儀式になったらいいのに。
アフガニスタンに入っていった国の中で唯一武器を持たずに入った日本、そして中村医師のグループ。ここに、日本のこれからの国際社会における生き残りのヒントがある気がしました。
上映後の谷津監督のお話で、中村さんの人柄を知ることができてよかったです。そして、ひとことで表すと、仁義の人であった、と。自身を振り返って、そうありたいと思いました。
何度か泣いた 何度も憤った そして希望をもらった
淡々と、ただ淡々と記録映像に中村哲医師の言葉が朗読され、その行動が映し出される。
なのに、なぜか涙が溢れる瞬間が何度も訪れる。その理由は映画として良いとか悪いとかを超えた何かだと思った。
この殺伐とした地球に生きる辛さや苦しさという誰もが持っている"心の荒野"に「あきらめることは無い、人間もまだ捨てたもんじゃない」という希望を見せてくれる。映像美でも映画的技巧でもなく、愚直な21年間の"実録"のすごみに、90分の中で何ども突き動かされ、揺さぶられる。
よろよろと映画館を出ると、自分の目の前に広がるいつもと変わらぬはずの風景にキラキラと光が差し、道行く人たちを愛おしく感じた。そんな映画だった。
ありがとう、中村哲医師。
種を蒔き、舵を切り、託した人
国籍も人種も宗教も超えて、命燃え尽きるまで、人を愛し、偉人としてではなくただ1人の同じ人間として患者や難民と真摯に向き合って、未来を信じひたすら前に向かって歩き続け、アフガンでテロにより殉死なさった中村哲医師の記録
知ってるようで知らなかった、その取り組みと人柄が10数年、千時間に及ぶ撮影から90分間の作品に無駄の無い的確な構成、編集でまとめ上げられ、まるで中村先生の人柄のような飾り気なく、決して感動を強要することはカケラもないナチュラルな演出に、その感動はさざなみみたいに私の中にジンジンと染み入るように入ってきて、気づけば、たくさんの勇気をもらいました。
上映後の谷津賢二監督とサヘル・ローズさんのトークセッションもとても深く感じ入る考えさせられるものでした、感謝します
この殺伐とした時代、娯楽映画でストレス発散も悪くはないけど、同じ映画料金払うなら、多くの気付きが得られるだろう、この映画を見たほうがいいと思うよ、マジで🥲
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