劇場公開日 2022年11月4日

「ふさわしいのものさし」窓辺にて ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ふさわしいのものさし

2022年11月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 フルーツパフェのパフェは、perfectのパフェ(フランス語)。
 美味しく味わった後の胃もたれも含めてperfectのパフェ。
 17歳の女性作家はフリーライターに、パフェをふたりで食べながら恋を語る。

 君が不倫していることを知った時ショックを感じなかった。
 フリーライターは、編集者の妻と別れる理由を見つけることができない。
 結果的にそれが、自分の問題を彼女に転嫁していることに彼は気づいていない。

 奥さんが不倫しているのにショックを感じないってサイコパス。
 女性作家の恋人が、フリーライターの愛人が書いた小説に、こう感想を述べる。
 おそらく恋人の発言が、実は常識だったりする。

 迷っている時間は贅沢だ。
 女性作家は、自らの小説でそう語る。

 次は、お茶飲むか、焼き肉を食べるだけの関係にしましょう。
 フリーライターの後輩の不倫相手の言葉は、まぎれもなく本音に聞こえる。

 パチンコは、金と時間を消費する贅沢な遊びだからやめられない。
 フリーライターがたまたま乗り合わせたタクシーの運転手は、そう語る。
 フリーライターの顔が一瞬華やぐ。

 今泉監督らしいいくつかの印象的なシーン。それについてどう思うかは観る側の自由。

 「贅沢」に、ふさわしい限度を超えるという意味がある。
 不倫もパチンコも贅沢な遊びとすれば、それぞれの意味合いは違ってくる。
 ふさわしいのものさしさはそれぞれ違う。
 不倫もパチンコも、チューリップが開いている限り、じゃらじゃらととどめを知らないものではあるが。
 どこでふさわしいに折り合いをつけるのだろうか。出続ける快感に身を任せながら。

 今泉監督の不倫マニアぶりを堪能したい人は、合わせて「猫は逃げた」の鑑賞もお薦めする。

ジョー