「ふさわしいのものさし」窓辺にて ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
ふさわしいのものさし
フルーツパフェのパフェは、perfectのパフェ(フランス語)。
美味しく味わった後の胃もたれも含めてperfectのパフェ。
17歳の女性作家はフリーライターに、パフェをふたりで食べながら恋を語る。
君が不倫していることを知った時ショックを感じなかった。
フリーライターは、編集者の妻と別れる理由を見つけることができない。
結果的にそれが、自分の問題を彼女に転嫁していることに彼は気づいていない。
奥さんが不倫しているのにショックを感じないってサイコパス。
女性作家の恋人が、フリーライターの愛人が書いた小説に、こう感想を述べる。
おそらく恋人の発言が、実は常識だったりする。
迷っている時間は贅沢だ。
女性作家は、自らの小説でそう語る。
次は、お茶飲むか、焼き肉を食べるだけの関係にしましょう。
フリーライターの後輩の不倫相手の言葉は、まぎれもなく本音に聞こえる。
パチンコは、金と時間を消費する贅沢な遊びだからやめられない。
フリーライターがたまたま乗り合わせたタクシーの運転手は、そう語る。
フリーライターの顔が一瞬華やぐ。
今泉監督らしいいくつかの印象的なシーン。それについてどう思うかは観る側の自由。
「贅沢」に、ふさわしい限度を超えるという意味がある。
不倫もパチンコも贅沢な遊びとすれば、それぞれの意味合いは違ってくる。
ふさわしいのものさしさはそれぞれ違う。
不倫もパチンコも、チューリップが開いている限り、じゃらじゃらととどめを知らないものではあるが。
どこでふさわしいに折り合いをつけるのだろうか。出続ける快感に身を任せながら。
今泉監督の不倫マニアぶりを堪能したい人は、合わせて「猫は逃げた」の鑑賞もお薦めする。