「水と化した香港の若者たち」時代革命 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
水と化した香港の若者たち
2019年に香港で起きた民主化デモ。このデモが過去の運動と一線を画すのは、明確なリーダーがいないという点。ネット上での呼びかけに呼応した者が香港立法会(中華人民共和国香港特別行政区の立法機関)に突入すれば、デモ参加者はテレグラムと呼ばれる通信アプリを使い、匿名や偽名を使って連絡。臨機応変に参加者の役割を決めて動くあたりなどは、戦略を立ててプレイするシミュレーションゲームに慣れ親しんだ現代の若者を象徴する。
このデモのやり方を、参加者たちは“Be Water”(流水革命)と呼ぶ。もちろんこの言葉はブルース・リーの言葉「Be Water(水になれ)」が語源。洪水や津波のように、時には押したり、時には引いたりするデモ活動で警察をかく乱する。ドローン空撮による参加者たちの動きは、まさに水そのものだ。
その水を止めようとする警察やトライアドの暴力は、まるでディストピア映画を観ているようだが、すべては現実に起こった事。ディストピアと化した香港は、ユートピアになるのか?
本作同様に、自国香港で上映不可となっている『Blue Island 憂鬱之島』と併せて観るべし。
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