「あくまで大義を説く」キングメーカー 大統領を作った男 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
あくまで大義を説く
韓国映画で描かれる政治ドラマはハズレが少ない。軍事独裁を長く続ける中で、政権側があくどいことや無茶なことをかなり行っていたことが明らかになっているからだ。政権側の闇や、実際に起こった事件の裏側、そしてそれに対抗する側の闘いを描くだけでドラマになる。本作は政権交代を目指す野党側の人間たちを描いた政治ドラマ。
実話をもとにしていると謳うだけあって、朴正煕大統領や金大中、金泳三(後に2人とも大統領になることもすごい)といった人物をモデルにした政治家たちが登場する。軍事独裁を続ける大統領とそれに対抗する政治家という構図はどうやってもテンションが上がってしまう。そして汚いことも厭わない選挙参謀との関係という設定は話としてとても深みのあるものになっていたと思う。
60年代から70年代の韓国政治はリアルタイムで経験していないが、概要としては知っている。キム・ウンボムは金大中のことだが、選挙参謀との関係性がメインだから中央情報部に拉致された金大中事件や死刑宣告されたことなんかは省略されてしまう。そして後に大統領になるということも。映画の構成としては仕方のないこと。そう考えると金大中の人生ってなんて波乱万丈なんだろう。それだけでも韓国の政治ドラマはハズレが少ない理由になりそうだ。
正義という言葉が頻繁に登場するが、その意味についても考えさせられるうまい作りだった。こんな深みの出し方がうまい。
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