劇場公開日 2022年9月16日

「こんな良い映画を観た夜は、最高の夜と言えるね。」手 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0こんな良い映画を観た夜は、最高の夜と言えるね。

2022年9月16日
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松居大悟監督の最新作「手」は、ありきたりな言葉で申し訳ないが恐らく監督の最高傑作だった。
私は日活ロマンポルノは正直6年前のリブート企画のからしか観てないけれども、この作品はロマンポルノという言葉を本当の意味で体現してるというか、レベルを底上げしているというか…いや、これが松居大悟の日活ロマンポルノなのか…しら。レベル高過ぎてもうついてけないよ…置いてかないでよ…(といきなり無関係者だが旧友目線になってみた、だけ)。
原作あるとはいえ、山崎ナオコーラとはいえ、この監督は昔からやたらと男だけでなく女の人の心情描くの上手すぎん?笑。あとあと一人一人の、その年齢やその人生や価値観に沿った人間臭さを出すのも上手過ぎだよ。特にこの「手」はね。それの真骨頂でもあるかと。但し人間臭さだけを売りにしたからといって面白い映画がそれだけで出来る訳じゃ勿論無く…淡々としたものの描き方をしながらここまで観客の心を震度5弱ぐらい揺れ動かすって事はそれ相応の映画としてのエンターテイメントも作り上げてるのさ。(私の感想は何て抽象的なんだ笑)
つまり人間臭さをエンタメにする天才って事かな?そうだろうな。これはそんなに簡単にできるものでなないでしょう。
主人公のさわ子も、周りのおじさん達も、妹も、父も、職場で知り合った残業仲間で距離の縮まった森くんも…。全ての人が愛おしかったな。勿論主人公目線で観るように映画は出来てるから、さわ子の愛おしさったら無いね。しかし森くんの可愛らしさも、妹の無邪気さも、お父さんの不器用さも、全てがね。こう心にくるんですよ…。面白い映画を観ると心臓がずっとどきどきして自分がどうにかなりそうになる。興奮冷めやらない状態で映画の感想を書いたのは久しぶり。(なんでパンフレット無いの?良い映画に出逢った時は色んな余韻の浸り方がありますが、わたしはパンフレットを読みながら余韻に浸りたい系女子なのに、なァ…。こないだ観たサバカンも大傑作の癖に映画館にはパンフ置かずスシローに置くスタイルだったからとても悔しい思いをした(けど後日ゲット)のに…。最近は傑作ほどパンフを出し惜しみするのかい?とか言って文句が長過ぎる…自分で作ろうかな…笑。)

1人の女の20代くらいまでのこれまでの人生を、哀愁とエロと人間関係と恋と愛と家族などを絶妙に描いた映画。
映画界の事件かってぐらいな映画が生まれたね。映画界というものが映画の親御さんなら、良かったね、おめでとう、と言いたい。
そして私事ですが、本当に良い映画を観た夜は、良い夜だよ。宝物映画がまたひとつ増えました◎ありがとうございました◎

まつこ