1640日の家族のレビュー・感想・評価
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育ての親か、血の繋がりか…
あまりにも唐突な別れ、さすがにアンナに同情する。
とはいえ、感情抜きで考えるとこれが正しい選択なのかもしれない。しかしだ、4年半も一緒に過ごすと愛情が生まれるし、まして人としての基礎を作る大事な幼少期に本当の息子のように一緒に過ごしたアンナ夫婦とシモンにとって、はいそうですか、サヨウナラって簡単に言えるはずがない。
だけど、こういったケースも想定して里親を引き受けるのであって、感情的な部分は切り離すことも必要。
アンナの少し行き過ぎた行動には、ちょっと…と思う節もあるが。。
育ての親か、血の繋がりか…
感情論か理性か…
この狭間で揺れる家族をエモーショナルに描き、観るものにも投げかけ、訴えている。
ラストのほう、胸が張り裂けそうに…泣きました。
里親制度を知れば面白い
「里親・里子制度」で育てた子供を、元の親に戻すうえでの養い親(母親)の葛藤と過ちを描いた佳作。
仕事として受け入れたはずが、自分の子と同じレベルで愛してしまった里子に対し、離れることができなくなってしまった、母親側の執着と依存が強調されていました。
フランスには子供の成長を「国として守る」意識と法制度があることを踏まえて観ると、実に面白い映画です。
ググって知ったのですが、「家庭での養育ができない場合は、まずは家庭と同様の家庭環境で養育されるように、国及び地方公共団体の責務で必要な措置を講ずるよう」にするのが原則だそうです。
親の死亡や、親が経済的・健康的・精神的に子育てできない環境になった場合はもちろん、親からの「虐待を受ける可能性がある段階での予防措置」としても、子供を保護することが最優先という法律が施行されていて。
親を失って、新たな養親の下で相続権もある子供になる場合は「完全養子縁組制度」。
元の親と新しい養親の両方に共同親権があったり、もともと叔父叔母など血縁関係があって元の戸籍のまま成人するまで育てたり、などのケースで適用される「特別・単純養子制度」。
親が事情で育てられない時期があった場合は、血縁は関係なく受け入れ、いずれ親元に返す「里親・里子制度」か「児童養護施設制度」などが適用される。
さらにフランスにおいて里親は研修を課す国家資格で、職業として成立し、養育の実費と別に報酬が生じる仕事なんですね。
そこを理解してないと、「なんて血も涙もない法の運用なんだ」と行政側の判断が理不尽に見え、また「母親らしい感情は大切」なのにかわいそうと、観客の目には写るかもしれません。
報酬を受け取る描写がないから、ボランティアか養子にしか見えないんですわ。
そして、映画だからといえばそれまでなんですが、こういう作品では「理性や理屈ではなく、感情を優先して失敗する人間」が描かれることが多く。
母親の「血縁のパパと、里親のママのどっちを選ぶの?」という無体なほどの感情の押し付けの挙句、自己の行動を正当化しようとし、法的に不利な方へとばかり選択していきます。
これが、愚かに見えてイラっとします。
また同時に、演技と思えないくらい子役の心情描写が真に迫っていて。
子どもは「遊びたい」「友達や兄弟といたい」という素朴な欲求を口にするけれども、一方では複数の大人=「実の親」「里親」の両方の気持ち・空気・利害関係を読み取って、曖昧な返事をしたり、嘘をついたりします。
そんな子どもなりの葛藤を子役が完全に表現していたのが素晴らしかった。
二つの家族、思いはひとつ
感情表現が豊かな母親、温かくも冷静な父親、反抗期を少し迎えたぐらいの頼れるお兄ちゃん、可愛らしく友達にもなれる次男坊、そして里子のシモン。素敵な家族映画だった。
大きく脱線することもなく、102分の上映時間をめいいっぱい「家族愛」に焦点をあてて展開していく。
一家が実親とシモンを見つめる最後のシーンは、エンディングにふさわしく切なさと同時に希望を持って与えてくれるものだった。
感動
いい映画だったなぁ〜
妻の事をいろいろと考え育児の事を思い出した
子役たちがめちゃくちゃ自然で無理なくカメラの前で撮影している。過度の宣伝をしていないから時間があったから観に行ってたまたま出会った良質な作品に1日得した気分になった。こういう作品との出会いがあるから映画はやめられない。
あれだけ
環境が良いと、いつまでもいたくなりますよね。愛情深いママ、明るくて楽しい義父、兄弟のように楽しい兄姉。特に母親の愛情が必要な時だから、頭では育ての母親とわかっていても、実の「ママ」になっちゃいますよね。この先のこの家族の様子が見てみたいですね。
KINO CINEMA 天神
2022年8月1日
映画 #1640日の家族 (2021年)鑑賞
仲良し5人家族かと思ったら、末っ子は預かってる里子さんでした。家族同然に育てましたが、ある日、実父が引き取りたいと言って来たところから深い人間ドラマが始まります。子どもの幸せって何だろうと考えさせられました。
三つ子の魂百までも?
物語の舞台はフランスであり、
「里親」の制度や考え方は違っていても
『是枝裕和』だったら
どのように撮ったかを考えずにはいられない。
彼の好きそうな、家族の
しかも血の繋がらない関係性を
どのように料理したろうかと。
『ドリス』と『アンナ』夫妻は
二人の実子に加え、一人の「里子」
幼い『シモン』を養育している。
国からの報酬は出ているようだが、
「里子」には独立した一部屋を与えねばならぬ、との
規則はあるよう。
それが家族内にさざ波を立てたりはするものの、
関係は概ね良好。
とりわけ『アンナ』は『シモン』を
自身の子供同様、いや、傍目にはそれ以上に溺愛している。
しかし、預かりだしてから四年も過ぎた頃、
実父『エディ』から
息子を返して欲しいとの申し入れが。
妻の死を受け入れられず、育児に対してネガティブになっていた自分は
完全に立ち直ったのだ、と。
そこからが、両家にとっての葛藤の始まり。
週末の同居を手始めに、早々に引き取ってしまいたい『エディ』と、
情が深く移ってしまい、できれば手放したくない『アンナ』との相克の日々。
果たして、最後はどのような選択と相成るのか?
しかし行政の側では、
子供をできるだけ早く実父の元に戻すのがベストとの
ゴールは既に設定されている。
なるはやの履行が求められているわけで、
そこに子供や養父母の思いが入り込む余地はない。
流れに抗う行為は指弾され、公権の介入さえ招いてしまう。
そうした始終を、本作は幾つものエピソードを重ねながら
少々センチメンタルに語る。
観ていてほだされ、或いは里親の側の心情にシンパシーを重ねるシーンもあリはする。
しかし、全体的には冗漫な場面が多く、
百分ほどの短い尺であるのに、時として長さを感じてしまう。
勿論、日々の描写が家族の関係性を理解させるのに必要不可欠とは知りつつも、
全体的に幼い子供視線のイベントが多いことから
そのように感じてしまうのかもしれぬ。
冒頭に述べた、
『是枝裕和』だったら?との想いは、
まるっきり、そのことの反映。
異なる感慨を鑑賞者に抱かせてくれるのではないか、と。
とは言え、本作の最後のシークエンスは秀逸。
幼子の順応力の高さと嫋やかさを見せられる。
去る側と去られる側では、
どちらにより思いの丈があるのだろうか?
どうなるのが正解かはわからないけれど…
里親に任せてその後にやっぱり育てる、という流れがある事を初めて知った。生みの親が登場したらこうなるわなー、と。この作品だと里親家族が良い人達ばかりすぎるのが出来過ぎだけど。展開は法律に従うままのながれで都合の良い展開はなし。その分、観た我々がいろいろ考えられるんだな、と。良作でした。
家族で夏休みに見てほしい
予告編も見ず予備知識なくレビュー評価のみで鑑賞。
ドキュメンタリー調の里子をテーマにした家族愛の作品でした。
仲の良い一家のほのぼのした夏休み風景で始まり、一見何も問題はなく兄弟3人と両親と5人で暮らしている。
しかし実は三男に見えたシモンは生後18カ月で里子として引き取り兄弟三人家族のように暮らしてきた。
そこに実父エディが息子を手元で育てたいと申し出たことで徐々に家族の空気が微妙に変化してくるという内容です。
誰も悪人ではなくシモンの将来を気遣い愛情を注いでいるというのが観客に伝わるのでの別れのシーンは思わず泣けます。
フランス映画らしく余韻の残るラストシーンも印象的でした。夏休みに親子で見るには一番良さそうな作品でした。
子供にとっての幸せってなんだろうか
私が気になったのは母親の言い訳めいた口ぶりやその場を取り繕うような対応の仕方だったのですが、一緒に見たパートナーに言わせれば「だって子供が可愛くってしょうがないんだから、なんとしても近くに置いておきたいでしょ」でした。
そりゃわかりますが、その結果として色々と関係者が厄介ごとに巻き込まれて行くわけで……
というのが大人側の観点になろうかと思いますが、では一方で、当事者の最たる子供のこれから先の幸せを考えると、どのような選択が最善なのだろうか?非常に悩ましいですね。
実父も独り身で大変なのでしょうが、宿題をどちらの親が面倒みるべきなのかのくだりで、それは里親の「仕事」でしょ、みたいに子育てを仕事として位置付けているような発言、それを聞くと将来大丈夫か?なんて心配になりますね。
子供たちが優しく接してくれている里親の下で成長する方があの子のためなのかもとも思いますし。
母の乗る車を追いかけるシーンや、ショッピングモールでシモンを見つけて追いかけようとする次男の姿など、涙を誘われるシーンも多く、国の事情は違えど子供っていいものだと思わせてくれる作品でした。
里親って養育費をもらってるのかな?
1歳6ヶ月のシモンを里子として迎え入れたアンナと夫のドリスは、2人の実子とシモンを兄弟のように育て、4年半を幸せな家族として過ごしていた。ある日、シモンの実父エディがシモンを自分で育てたいと申し出たため、アンナたちが家族でいられる時間が迫り、アンナや兄弟と別れたくないシモンや家族の葛藤を描いた話。
フランスの里親制度がどういうものかイマイチ理解できず、あんなに嫌がってた子ども本人の意思より実の親の意思が尊重されるのがよくわからなかった。
もしかして、里親って養育費を国か自治体からもらって保育所的な仕事としてやってるのかな?それならこの話もわからないではないが。
もし無償のボランティアとして里親やってるのなら少しは里親の意思も尊重されるべきだと思った。
なので、仕事なのかボランティアなのかで見方が変わると感じた。
次男のジュールは髪が長く可愛い顔してたから女の子かと思って観てたから、水着に違和感が有ったけど、男の子なら納得。
いずれにせよ、フランスの子どもを大切にする制度は日本の児童相談所や児童養護施設なんかより良い点が多いと思った。
それで、日本の里親制度を調べてみたが、制度としてはこの作品に出てくるようなものが有るようだが、違いがイマイチわからなかった。
映画って、単に面白かった、だけではなく、特に海外の作品は観て日本との違いを知れる面でも素晴らしいとあらためて思った。
里親という「仕事」
1歳半から4年半暮らした里子との別れの時が近付いた家族の話。
嫁を亡くして弱り果て、子供を育てるのは難しいと福祉局を頼ったエディが、生活を立て直し息子を引き取りたいと申し出たことで始まっていくストーリー。
元々週末は実父と過ごしており、エディとシモンの父子関係に特に問題がない状況ではあるけれど、そしてあくまでも養子ではなく里子という認識は全員にあるけれどということで、想いとしては非常に判り易いけれど、じゃあ何が出来るかは非常に難しいし、ママの浅はかな暴走も感情としてはわかるけれど…。
時が経てば、強制的にその環境になれば
変化はあるのだろうけれど。
とても温かい家族の物語だったけど、シモン目線でみるとツライよね。
里親って、どちらかと言うと 人格者っぽく表されることが多いと感じて...
里親って、どちらかと言うと
人格者っぽく表されることが多いと感じていたけれど
あまりに普通のお母さんで驚いた
ただただ子供に愛を注ぐお母さん
それで良い気がする
ちょっとだけ安心した
お父さん、素敵
ラストシーン、好き
実父さんもどうぞお幸せに
少しわかりにくい点があるので、要予習かな。
今年219本目(合計495本目/今月(2022年7月度)31本目)。
タイトルだけではわかりにくいですが、フランス映画です(英語は大半出ません)。
日本では「里親制度」と「養子制度」のどちらも存在しますが、圧倒的に知られているのは後者であるものの、映画で扱われているものは前者で、似ている部分も違う部分も結構あるので、やや予習必要かな…というところです。
ただ制度がどうあれ、(作話でも実話でも)この手のストーリーは「当該子供の意思を尊重して子供が(特に、精神的に)成長する周りのサポート」が重要なのであり、この部分について丁寧に描写がある(逆に、悪人という悪人は存在せず、一方でドキュメンタリー映画とは違う一方でアクション映画でもないので、ストーリーが若干退屈と思う人はいるかも)ので、今週は迷ったらおすすめかな…というところです。
細かいところで気になった点もあるものの(里親の認定などに関する行政・司法の制度が日本と異なるようなのに、字幕上の説明がないため、推測する必要が生じる)、趣旨として言わんとすることは理解可能なので、フルスコアにしています。
人間、この世に生まれてきてからが・・・
親子の愛情、絆は、生まれてからの時間で育まれるのを、身に沁みて感じました。ある意味、生まれた時は、親でも子でも無い様に思いました。
ラスト、あの二人の様子を見て、彼女は、里親の役目の終わりを感じたんだと思います。
全43件中、21~40件目を表示