夜明けまでバス停でのレビュー・感想・評価
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観た後スカッとします!
事件も衝撃でしたが、映画はさらに深かった
「板谷由夏主演」
まさかの痛快エンタテインメント!
フィクションを装った『実在の人物達の声を集めた』ドキュメンタリー的作品
順風満帆だと思っていた日々が、コロナという未知の病気によって一瞬で瓦解。
仕事を失くし、住む家を失くし、食べるものもなかったのでゴミ箱を漁って食べるものを得た。
そんなある1人の女性の人生にスポットを当てた本作。
題材は渋谷のホームレス強殺事件によるものと思われますが、それだけではなく、非正規雇用の課題やコロナ禍での飲食店の現状、コロナ以前からホームレスにならざるを得なかった人の現状までしっかり描かれています。
フィクションを装った『実在の人物達の声を集めた』ドキュメンタリー的作品。
多分、ラストの描写でどこかから怒られそうな気がするので、早めにご覧頂いた方が良いかと思います。
個人的にラストの怒られそうな描写を除き(すみません、あの場面についてコメントする勇気がございません)、◯◯作成に関しては、閉塞感漂う現状打破のための策がない=いっそのこと笑い飛ばすしかない=現実逃避の描写なのか、精神的に追い詰められてしまったのか、どちらなんだろうと考えてしまいました。
これは傑作ではないか
2022年。高橋伴明監督。バス停で仮眠するホームレスの女性が殺されるという衝撃的な事件(実話)をもとに、コロナ禍で追いつめられる人々と抵抗の形を描く。高齢女性だった被害者をアラフォー女性に設定したことも、働き先の居酒屋の内部事情を詳しく描いたのも、殺されずにすむための対抗策を描いたことも(それも二つも!)とてもよくできている。なにより面白い。
三里塚とかでてきて思想的背景が入っていることは入っているが、それが「くすぐり」になっており、大局的には「ある個人が危機に陥り、そこからいかに救われるか」というハラハラドキドキの娯楽的王道映画になっている。なんたる大人の態度。
抵抗には二つの道があって、暴力革命的な道(前述したようにこれは「くすぐり」)と人間関係構築の道(こっちが本命)がある。主人公の日ごろの言動が組織のなかで身動きのできない個人を動かし、結局、自分も救われる。個人と個人のつながりで生きていこうという、なんとすがすがしい物語か。
俳優のみなさんの演技もすばらしい。実力派のみなさんばかりが出演している。
久しぶりに楽しい映画を見た。幸せな時間でした。
可哀そうなで終わってたまるか
お疲れ様でした!
アトリエを間借りし自作アクセサリーの販売をすると共に、居酒屋のバイトで生計を立てる女性がコロナ禍で仕事と住処を失う話。
どうやら居酒屋の寮と思しきアパートで暮らし元夫のつくった借金を返済しつつ暮らしている主人公。
コロナ禍になり居酒屋の客足は遠のきシフトが減らされ、そしていよいよ解雇となって…。
生きる術はいくらでもあるはずだし、仕事の探し方だってねぇ…自分でも解っていたみたいだけれどプライドですよね。
プロの住人の方々とのやり取りはコミカルさもありながらのプライドからの脱却かと思いきや、余りその方向には進まず、終いには間尺が合わない展開でちょっと勿体なさを感じたし、そこからの締めも中途半端で投げっぱなしに感じた。
まさかの親子共演は驚いたw
依存、自立、相互依存
タイトルなし(ネタバレ)
2020年に渋谷区幡ヶ谷のバス停で起きた女性ホームレス襲撃死亡事件をモチーフにしているということで、かなりツラい映画だろうとの予測での鑑賞です。
居酒屋の住み込みパート従業員として働く40歳前後の北林三知子(板谷由夏)。
実家との折り合いは悪い上に、別れた夫の借金を払いつつの生活はキツキツ。
本職の自作アクセサリーを知り合いのアトリエ兼カフェで売ってもらっているが、まぁ金にはならない。
そんな中、コロナ禍となり、セクハラ・パワハラの居酒屋チェーンマネージャ(三浦貴大)は、三知子たちパート従業員のシフト勤務を大幅に削減し、最終的には休業、そして、予告もなく解雇されてしまう。
住み込み従業員であるから解雇されたので住居となっているアパートは出なければならない。
幸い次の仕事、住み込み介護士の職が見つかったので、助かったと思った矢先、介護施設にコロナ患者が出、施設は閉鎖、新規採用は中止、と通告される・・・
といったところからはじまる物語で、三知子はホームレスとなってしまいます。
そうだよね、ちょっとしたきっかけで転落するなんてザラ。
だけれど、転落するのは、社会的立場の弱い者だ。
三知子が働くチェーン居酒屋では、正社員は先述のマネージャのほかは、年若い女性店長(大西礼芳)のふたり。
社員の順列は、マネージャ、店長の順で、店長もマネージャの不正には目をつぶっている。
男性料理人たちと、パート女性の間にも溝はあり、せめてもの救いはパート女性たちの関係が良好なこと。
男性陣から最も格下の扱いを受けているのは、初老のフィリピン女性のマリア(ルビーモレノ)。
彼女が憤りをぶつけるシーンは生々しく、ルビーモレノの好演が光ります。
ホームレスにしばらくはどうにか食いつないでいた三知子だったが、ついには手持ち金は底をついてしまう。
1か月相当額の退職金の不払いがあり、その原因がマネージャの横領着服にあるあたりは、さすがにタチが悪い、と思う。
(このエピソードは、映画後半、暗喩・メタファーとして効いてきます)
欠食により昏倒した三知子を助けたのが、バクダンと呼ばれる左翼崩れの老ホームレス(柄本明)。
彼が三知子に対して、いまの政治状況への憤りをぶつけるあたりは少々説教くさいのだけれど、三知子が度々口にする「自己責任」という言葉が社会を悪化させている原因のひとつ。
ホームレスになったのは自己責任、悪いのは自分・・・・と、自縄自縛になって身動きが取れない。
「自己責任」と上の人々、周囲の人々、関係のない人々まで口にして、まるで自己責任で洗脳しているかのよう。
「自己責任」と政治家も口にするが、ならば政治家本人の「自己責任」はどうなのよ、「政治責任」という責任はどうなのよ、と憤ってしまう。
劇中、映像で流れる実際の映像で、ときの首相が口にする「自助、共助、公助。そして絆」という言葉がなんとも空々しく、先の首相とあわせて、彼らのメタファーが先述のマネージャだとわかる。
バクダンの手を借りて、権力に反旗を振りかざす三知子だが、それはある種、拍子抜けに終わるが、ホームレスになってから、あれほどハラハラしたこともなければ、腹の底から笑ったこともない。
そんな中、いつものように三知子がバス停で眠っていると、ネットでの無責任放言の感化された輩が「正義」の名のもとに三知子を襲撃する・・・
この後の展開は書かないが、ツラく陰鬱にならない結末がよろしい。
そう簡単ではないが、共に生きる、協して生き抜く、なんなら世間を変えてやる、といった感があります。
コロナ禍、あるある、って観た
元夫に自分名義のカードで使い込まれた借金を抱え、昼は自作のアクセサリーを販売し、夜は居酒屋でアパート付きのバイトとして働いていた北林三知子(板谷由夏)だが、突然のコロナ禍により、バイト先のリストラで仕事も住む家も失ってしまった。新しくヘルパーの仕事をみつけたのだが、コロナの蔓延で新規採用が取りやめとなり内定を取消しされた。それから新しい仕事を探すが、見つからず、ファミレスや漫画喫茶もコロナで閉店となり、住む場所も無くなったため、バス停で寝泊まりするホームレスとなってしまった。一方、三知子が働いていた居酒屋の店長・寺島千晴(大西札芳)は、コロナ禍で売上減少で従業員をリストラしたが、その後を心配していた。恋人のマネージャー・大河原智(三浦貴大)のパワハラやセクハラ、退職金の横領などにも悩まされていた。さてどうなる、という話。
2020年春に緊急事態宣言が出され、軒並み飲食店が閉店になってた時の大変さを思い出した。
オリンピックも延期になり、ワクチンも無く、仕事も休業日が設定されたりで、不安ばかりだったなぁ、と身につまされる思いだった。
板谷由夏と大西礼芳が素晴らしく引き込まれた。
他にも、片岡礼子、筒井真理子、柄本明、根岸芽衣、三浦貴大、など素晴らしい女優、俳優の演技が観れて満足だった。
久々に観たルビーモレノ、何度も結婚したり、子どもの病気などで苦労してたみたいで、歳とったなぁ、って感慨深かった。
悲しいけど、コロナ禍を今後に伝える作品として素晴らしい作品だと感じた。
【”腹腹時計”コロナ禍以降、自助を弱き者に強いる政府に対し強烈な怒りとメッセージを発信した作品。共感より、不寛容な思想が蔓延する日本。ラストシーンは、高橋伴明監督の激しい怒りを示している。】
■三知子(板谷由夏)は、アクセサリー制作で成功することを夢見つつ、居酒屋でアルバイトをする日々。
だが、コロナ禍により、客足は激減し、三知子達は解雇される。
行き場所を失った三知子は、あっと言う間にホームレスになってしまう。
◆感想
・今作の、映画としてのクオリティは、申し訳ないが余り高くない。
だが、この映画が発信するメッセージは重い。
・ホームレスの派手なお婆さんを演じた根岸季衣や、バクダンと呼ばれるホームレスを演じた柄本明、片岡礼子、筒井真理子という個性派の名優が多数出演している事からも、それは分かる。
■腹腹時計:1970年代、極左であった東アジア反日武装戦線や狼が、爆弾の製造方法を記した教本。この辺りは「狼をさがして」で、描かれている。
・三浦貴大が、居酒屋の屑なボンボンを好演しているのも興味深い。
ー 良い人役が多いイメージがあるが、今作での彼は、パワハラ・セクハラ、使い込みなど本当の屑を演じている。-
・三知子が様々なホームレスと出会う中で、バクダンの影響を受け”腹腹時計”を作るシーン。そして、居酒屋の店長(大西礼芳:今作で、屑なボンボンの悪行を暴くさまがスカッとする。好人物を好演。)がバス停で寝ていた三知子をアプリで見つけ、彼女を襲おうとした男を追い払い、三知子に言った言葉。それを聞いて答えた三知子の言葉”爆弾を作らない?”
<高橋伴明監督が、自助を強いる政府に対し、大いなる憂いと怒りを叩きつけた作品。社会の経済的弱者の悲哀を描いた作品であるが、ラストの”ええっ、そんなシーン、描いて良いんですか!”は、監督の想いを示していると思った作品である。>
コロナ禍の現実
見てなかったものをちゃんと見ることができた
社会派の作品でした。
県内で1館しかやってなくて都内に出た方が早い気もしたけど、この作品を上映する心意気に賛同して1時間運転して観に来ました。
自分はコロナ禍でも生活が困窮せずに、それでも子供は文化祭や修学旅行が無くなり、頑張ってきた部活も中途半端なまま引退して、辛い受験だったり、自分も元々人間関係を上手くやれてない会社でリモートをきっかけに更に心身いろいろだったけど、そういうこととは違う、本当に弱者とは、困窮とは、を知ることができた。
映画という作り物だけど、そういう社会の一部分だと思うけどリアルに切り取った作品だったし
ニュースを見てても、身につまされてないから理解できてなかったことが、わかった気がする。
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