夜明けまでバス停でのレビュー・感想・評価
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正しく怒る
映画を見終わって、高橋伴明監督の弁を読んだ。監督は怒りを原動力に映画を撮り続けてきたが、ある時期から怒ることをやめてしまった。でも世の中はどんどんおかしくなるばかり、ここらでちゃんと怒ろうと思ったという。そうなのだ、この映画は、「正しく怒ることは何なのか?」を考えさせられる映画だった。その昔、フレッド・ジンネマンの「ジュリア」(1977年)のラスト、ジェーン・フォンダ演ずるリリアン・ヘルマンが、ナチス政権下のベルリンで、レジスタンス活動をするジュリアと涙の再会をする。片足を失ったジュリアの姿に怒りの感情をおさえきれないリリアンに「今でも昔のようにそうやって怒ってるの?」と聞くと、「そうなの抑えようと思うんだけど」と言うと、ジュリアは「I like your anger.」と応える。
人間は喜怒哀楽を失ったらおしまいだ。人間は、本当につらい思いをすると少しずつ感情を出せなくなる。本当につらいのだ。
怒るのと、キレるのは違う。人を責めるのと怒るのも違う。今のワイドショーでコメンテーターは、正しく怒っているのか?色々と考えさせられる映画だ。
土地勘があった場所で起きた事件を題材にした映画だったので、見る前は暗い印象が拭えなかったが、実際見たら予想外に救われる映画だった。そう言えば「火口のふたり」もそうでした。
これがコロナ禍の現実だった(ユーモアに救われました)
コロナ禍で飲食店はキャルセルが相次ぎ、アルバイトは最初に解雇され、
路頭に迷った多くの人々が苦しみ、追い詰められた。
それを追い、寄り添った映画です。
本当に苦しい展開で、
誰かに助けを求めて!
お願いだからgive upして!!
と祈るように気持ちで北林(板谷由夏)を見ていました。
そんなに《プライド》
大事ですかね!
《プライドが一番大事》
そう公言する友だちいましたっけ!
プライドなんて【甘ったれ】の言う台詞!
高橋伴明監督作品は一本も観たことがありません。
バクダン(柄本明)が監督の代弁者の気がします。
腹腹時計?
知りませんでした。
《コロナ禍に苦しみ、生活基盤を失い、困窮した人々を取り上げた作品》
それをエンタメ作品の映画にしたのは。
高橋伴明監督、お一人ですね。
一番に切り捨てられた社会的弱者を主人公に、
ヒリヒリする前半と、
一転してバクダンの狂言回し的役割で、
明るいエンタメ作品に仕上げる。
メッセージは伝わりました。
社会が悪い、そして政府も政治家も悪い奴ばかり、
利権にたかり、おこぼれに与ろうとする人の群れ、
この映画では描かないけれど日本の現実は
《弱肉強食》
それがまごう事ない現実です。
太古の昔から《悪知恵の働く目先の利く奴》には、
勝てないのです。
柄本明の元学生運動の闘士・・
柄本明の台詞こそ高橋文明監督の言いたかったことではないでしょうか?
ユーモラスで棘があって三知子と【全く噛み合わない】
そんな会話の面白さ。
成田闘争とか三里塚とか・・・
なんか凄い時代がありましたね。
元学生運動の闘士だったと聞く高橋伴明監督。
だから《役所に助けを求める》
その選択肢はないのかなと。
あと疑問だったのは、北村三知子(板谷由夏)が、
介護の仕事をコロナ禍で断られた後、
もっともっと【必死こいて】仕事を探さないこと。
水商売や風俗が選択肢にないのは良かったですが、
健康でまだ40代なら、
私なら新聞配達をします。
住み込みも可能だし、
寮とか住宅費補助なんかありますよ。
あと国の政策で疑問なのは、
失業者が多いなら、
なぜ農業や酪農に都会の若い人やシングルマザーを受け入れる
体制を作らないのでしょう?
食料自給率を上げることは、戦争が始まれば急務です。
《食糧危機は目の前です》
それに農業や酪農は辛くても心を育む仕事。
希望がない、元気のない日本人の心を満たす・・・
《若い子はyoutube rとか、インスタグラマーになりたい・・》
楽する事、そればっかり・・・
本当に情けない
現実にはみんな必死で働いてます。
生きるため、家族を養うため、子供を教育するため、
雨の日も嵐の日も吹雪の日も、
必死に働いています。
大半の人は。
まぁ映画的設定だし、もっと厳しい条件の人もいます。
病気の人、障害のある人、小さい子供を抱えて働けない人。
でも農業や漁業。
漁業は今、若い女性が続々と参入しています。
そして日本の米・野菜・果物はメチャ美味しい。
本気でフランスのような農業国に変えませんか?
そこに政府は補助金を注ぎ込むべきです。
外国人労働者を安く働かせること・・・そればっかり!
そこじゃない。
《心を病んで引きこもってる中高生が多いです》
《働かない中高年の引きこもりも多すぎる》
日本人が労働者になりたがらない現実を変えて行かなければ。
北林だって小綺麗な【ジュエリーデザイナー】って、
一見アーティストっぽい響きの仕事に、プライドを満足させていた筈。
焼き鳥屋のバイトは【仮の姿】
自分はアーティスト・・・それが支えだった。
現実を見ろ!!
とも思った。
三知子が男に渡したカード4枚で借入限度額一杯借りられた・・・
そうなる前に早くカード解約せいや!!
アホか!
とも、思った。
男にカードなんか渡すな!!
その男は完璧に犯罪者予備軍だよ。
(そりゃあ、恥ずかしいさ、自分の馬鹿さが公になる)
甘やかすから、その馬鹿男に騙される女がまた出る。
北林は被害者であり加害者なんだよ。
(・・・本気になって心配になる映画でした)
どれにしても三浦貴大の焼き鳥チェーン店のマネージャー。
パワハラ、セクハラ、横領。
クズっぷりが凄まじくて、三浦貴大も随分太ったし、
好感度ゼロの憎たらしい役。
上手い役者になりましたね。
それとYouTuberの柄本佑。
ひろ○○そっくりのムカつく奴で、
馬鹿っぽさに笑った!!
どんな役でも見事にハマる(親子共演ですね)
ウクライナ侵攻
物価高
地震の恐怖
(最近の方がレストランや店の閉店が多くなっている)
(コロナ禍でなんとか持ち堪えてきた店が次々とつぶれている)
お先真っ暗だけど、
病気で働けないとき、
本当に困って頑張れないとき、
最後に頼れる友人と、
社会のセイフティネットは、
絶対に必要だと思いました。
腹腹時計と連帯と
タイトルからしてこれは実際に起こった、渋谷ホームレス殺人事件を題材にしたものなのは知っていました。
冒頭、犯行のシーンから始まるので、やはり骨組みは事実に基づいて描かれるのか、と思いきや最後の最後での、でんぐり返し。いやはや鮮やか。板谷由夏のお腹から取り出したのは、腹腹時計(爆弾製造の教則本)。
そして店長に対して、一緒に爆弾を造ろう!、と言い放って、ディ·エンド。
一見プロパガンダのような終わり方ですが、板谷由夏のこの台詞は、半分本気半分は連帯のメッセージですかね。
とても潔くて心が震えました。
この映画の直前に、あの足立正生の「REVOLUTION+1」を見ました。例の安倍元首相銃殺事件をメディアなどで伝聞されている内容に沿って展開していきます。
ただ主人公が、死んで星になりたいが、どんな星になりたいのか解らない、という言葉が何回か繰り返され、ロッド国際空港銃乱射事件で生き残った岡本公三のことを連想されます。
低予算で時間的にも制約があったでしょうが、映画として残念ながら観れませんでした。
半世紀以上前の射殺事件で恐縮ですが、永山則夫を題材にした映画を足立正生は1969年に撮っています。「略称 連続射殺魔」略称しなければ「去年の秋 四つの都市で同じ拳銃を使った四つの殺人事件があった 今年の春 十九歳の少年が逮捕された 彼は連続射殺魔とよばれた」です。
今では死刑の判断基準の〈永山基準〉として時々マスコミで喧伝されています。
ドキュメンタリー映画で足立監督自身のナレーションのみが入っています。永山則夫の19歳までの足跡を永山の〈眼〉に映ったであろう風景をただただ丹念に撮っていくだけの映画です。具体的な事件の顛末は描かれません。
でも感情を排したナレーションのためか、映画詩のような詩情溢れる素晴らしい作品になっていました。
実際に起こった事件を題材にしモチーフは同じでも、出来上がったものは全く違います。
社会性をもった事件と映画は、どう関わったらいいのか。「夜明けまでバス停で」には深く感じ入りました。
"真面目"と"努力"は別
大変分かり易い構図で話が進むのだが、振りとオチの爽快な梯子外しにニヒルさや良い意味での"意地悪さ"を印象付ける内容で、その帰着にスタッフロール中の国会議事堂爆破シーンを挟むなど、不敵な笑みを禁じ得ない面白さと何故かノスタルジーさをも感じる作りである
確かにカタルシスを得やすい安易さは否定しないが、しかし現在の映画作品に多い複雑な構成の重層さに心の疲弊を感じていたから、今作品の安心感に救われる思いも実際有る
所々の絶妙な政治家の発言カットも奇を衒わないストレートさに、そのままの感情を引き出せる構成だ そしてそこまで観客を
油断させての梯子外しに、一杯喰わされた感を演出している心憎さ、中々である
結論として、『自分の思った通りに生きろ』という強烈なMessageを伝えることに成功した作品だと強く感じた作品であった 意図しなかったとはいえ、主人公の本当の本懐を汲み取る曲ったヒロイズムに感化された自分は"危ない"人間か?、乞うご期待w
と、通り一辺倒に入力してみたが、結局の所、幾ら努力したって、"運"でしか救われない 目指すモノが見付かろうとだ・・・ なまじ目的なんてものを追い求める"凡人"にそんな運など無い 生きる意味が無くなれば・・・後はわかるだろ?
コロナ禍で直面する厳しい現実
コロナによって長年働いていたバイト先をクビになり、転職しようにもコロナで募集がなく、一人彷徨う。
コロナ禍で苦しむ人たちを描いた作品を観たことがなかったのでなかなか新鮮。
理不尽に切られた
明日こそ目覚めませんように。
想像してた内容と違い、結構衝撃の展開でした。今の時代を切り取った重厚で社会派な物語。前半はコロナによって徐々に奪われてゆく仕事、人間関係、そして帰る場所。きっと少なからず誰しもが経験したここ数年のまさに実体験。
バス停のベンチで夜を明かす日々。コロナで何もかも失ってしまった三知子。そんな中目の前に現れたのは誇らしく武勇伝を語る自称爆弾魔のホームレス。この出会いをきっかけに後半から全く異なる要素を含んだ物語へと変わってゆきます。
生々しい政治ワード、あるいは流行りの意識高い系YouTuberをまるで揶揄するかのようなシーン。過激になってゆく三知子の思考。このくそったれな社会への不満をどこにぶつければいいのか。バス停のバイ菌か。セクハラ上司か。はたまたこの国そのものか。いや~板谷由夏さん本当に素晴らしかったです。
ラストは痛快
実話に基づいてもっと救いようのない終わり方になるのかと思いきや、まさか腹腹時計が出てくるとは❗まあ、気持ち的にはわからんでもない。けれど閉塞感はあの頃よりも今の方が強い気がするのは気のせいか?
コロナ禍の中で生きる人たちに向けて、応援や励ましの想いが詰まった作品という気がします。コロナ禍の真っ只中ですが 「観るなら今」そんな内容の作品です。
コロナ禍の時代を背景にした作品。
どんな内容なのか気になってはいたものの
直視したくない内容の予感がひしひしと。
無理に観なくてもいいかなぁ と思っていたのに
気がついたら映画館の座席の上 …。 きゃー
さあ上映開始。
居酒屋のチェーン店 (大久保店) が舞台。
そこで働く人たちの日常が、コロナ過によって
奪われていく現実が、既視感バリバリに再現します。 う~ん
この居酒屋で働いている人たちが主な登場人物なのですが
前半の主なところは、↓こんな人たち。 (思いっきり省略してマス)
・女性店長 北林三知子(=板谷由夏)
・アルバイト 寺島千春(=大西礼芳)
・マネージャ 大河原聡(=三浦貴大)
色々とやりたい放題 のマネージャー
知りつつも事なかれ の店長
知った不正を見逃せないアルバイト。 あぁ そういう流れか
そしてコロナ禍。
営業時間の短縮。
そしてアルバイトの人員整理。
真っ先に仕事を無くすのが
・日本国籍をもたない人 だったり
・マネージャーに逆らう人 だったり… ああぁ
仕事を失ったアルバイトの寺島千春。
決まったと思った次の仕事もドタキャンされ…(ひどいなぁ)
寝る場所も無くなり
そしてタイトルの通りの状況に…。
# この辺りで
# 正直続きを観るのがツラくなってました。(涙)
# けど、ここまで観たんだし…。 う~
日銭を稼がねば と、公園のベンチで
手作りアクセサリーを並べて店開きしていた千春。
そこに謎の婆さん登場。
「誰に断って商売してんだい?」
この婆さん(=根岸季衣)、ホームレスなのだが
実は面倒見が良いばーさんで。
そしてさらに、ホームレス仲間に「爆弾」と呼ばれる
爺さんが登場。(=柄本明だ ♡ わーい)
この二人が登場してから
作品の雰囲気が 「がらっ」 と変わった気がします。
「ドキュメンタリー風からドラマチック展開に」
この 「爆弾じいさん」
ダテにそう呼ばれているわけではなさそう。
ビルに爆弾しかけ(未遂?『服役した前科があるらしい。 ひぇ
それを知った寺島千春。
爆弾じいさんにこんな事を取り出す。
「私に爆弾の作り方を教えてください」
”人生で一度くらい、本気で世の中に抵抗してみたい”
と、熱心に訴える千春。
根負けし、爆弾製造を教え始める爆弾爺さん。
(教材が 「腹腹時計」 ! ですよ)
やがて完成に近づく爆弾造り。
本当にやってしまうのか?
さあどうなる?
というお話。
後半、一気にワクワク感が増し
鬱な展開を払拭するエンディングに
拍手するしかありません。
観て良かった。
満足です。
◇ あれこれ
柄本明(爆弾爺さん)
バクダン造りの名人(?)。
かつては三里塚闘争にも参加していたようで
成田空港の4千メートル滑走路の下には
爆弾爺さんのサングラスが埋まっている らしい …遠い目
いかにも「歴戦の勇士」 という感じが素敵です。
※ 昔読んだ 「ぼくの村の話(作:尾瀬あきら)」のことを
思い出しました。
成田闘争を描いた漫画ですが、強烈に記憶している
コトバが 「黄金爆弾」 。
無性に読みたくなりました。
根岸季衣
ホームレスの婆さん役。
最初、誰が演じているのか分からなくて
少し立ってから 「あっ」 となりました。
怖そうに見えるけど、実は心が暖かい
そんな、人生経験豊富(元は芸者?)を熱演。
存在感が素敵です。
三浦貴大
尊大に振る舞っているけれど、実は小心者。
外国人や自分に逆らうアルバイトを
コロナ禍にかこつけてクビにしたり
退職金を着服しようとしていたり …と
「イヤな奴」の役を一手に引き受けていました。
# しかし、ここまで酷いヤツは余り見ない気も…
◇ 最後に
エンドテロップ中に出てきたワンカット映像。
…国会議事堂?
何かが噴きだした あれ …炎 ?
これって
もしかして
「バクダン大成功~」 … というコトなのでしょうか 。
それとも妄想のワンシーンなのか。
このシーンだけでも色々と楽しんでます。 (不謹慎)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
映画を見て、他者への思いやりを考えて欲しい
社会派と言われる作品、社会問題を切り口として取り上げた映画が自分の好みです。
それは映画を見た後、いろいろと考えることが好きだから。
娯楽性よりもドラマ性、社会性を映画に求めていると自覚しています。
そんな私に、この作品は「今見る作品」として心にぴったりとはまってくれました。
映画の元になった、幡ヶ谷バス停での事件があまりに悲しく、心に何か尖った破片が刺さったように感じていたので、これを映画でどう描くのかを非常に興味深く見ました。
結果、映画から、高橋伴明監督の世代(70年代の学生運動世代)ならではの、力強い、拳を振り上げるようなメッセージの打ち出しやそれを伝える勇気を受け止めました。
「映画的クライマックス」とそこからつながるラストの流れが本当にすごいと思いました。
自助という考え方が真っ先に来る今の不寛容な社会、そして、今回の題材のような事件が起きる元になる今の世間に対して「全て自分のせいだと思うのでなく、ちゃんと怒っていいんだ」と言われている気がしたのです。
その怒り方として、監督から最高の映画的決着の付け方が提示され「そう来るか」と思い知らされたのです。
その昔、学生たちが「政治」や「社会」に対して同志の集団と全力で戦ったように。
私の目から見ると、今の若い世代はこの先に希望を見いだすことなく、それを受け入れて「自分たちで変える、良くする」ことを諦めてしまっているように見えます。この先、事によっては不幸を感じたり悲しい気持ちになるのは彼らなのに。
若い人たちに、映画を見て、かつて70年代若者だった人たちが「世の中を変えたい」ため何を考えてどう生きていたか少し興味を持って欲しい、そこから調べたり何か知ることをして欲しい…と強く思ってしまいます。
この「若者の諦観」に関する問題は、現代の日本の教育やスマホやSNS中心のネット社会など、複数の要素が構造的に絡み合っているため、単純にこうすれば解決できる…という糸口はそう簡単にはないと思っています。
ですが、少なくとも「人はみなすべからく平和や幸せを感じて生きる権利がある」(憲法が定める基本的人権)という事に基づいて「今の自分は良くても、いつ健康や経済的自立を失うことになりかねない」
…といった想像力をつけるため、周りの大人や社会が彼らに何か示すことはできる気がするのです。
事件で報道された「邪魔だから痛い目に合わせれば居なくなると思った」という容疑者の供述。
こんな身勝手な理由で、住む場所もない弱者の命が奪われる。
少しでも想像力や思いやる気持ちがあれば、こんな事件は起きなかったのでは、と思います。
難しいとは思いますが、この映画の言わんとすることを届けたい、特に若い世代に…と心から思いました。
(6月に見た『PLAN75』のテーマに少し通じるものもあると思います)
でも、そのために私たちが出来ることは何でしょう。考え続けたいと思います。
エンドロールとはいえ国会議事堂爆破は蛇足
2022年映画館鑑賞60作品目
11月7日(月)フォーラム仙台
スタンプ会員デイ1200円
監督は『愛の新世界』『光の雨』『痛くない死に方』の高橋伴明
脚本は役者としてもひっそりと活躍している梶原阿貴
梶原作品は初鑑賞
映画のオリジナル脚本は初挑戦らしい
バス停の椅子に座り野宿するホームレスの60代女性がカッとなった男に殺される事件がモデルになっている
男は逮捕されたのち自殺したそうだ
居酒屋で非正規雇用として働く中年女性がコロナ禍が影響し突然解雇され再就職に失敗しホームレスになる話
傑作だが着地点は好みじゃない
助けを求めなかった老婆をモデルにした女性をテロリストに仕立て上げるのはあまりにも突飛だし高橋梶原の思想なのかも知れないが平和に生きたい僕は好きになれない
解雇された三人がめでたく職場復帰し悪徳マネージャーは社長を務める父親から勘当され会社を追われホームレスになり殺されそうになるオチの方が良かった
国会議事堂爆破までいくと話が大きくなりすぎて興醒めする
そのくせそれをしっかりと描いてないので尚更おふざけが過ぎて酷い
そもそも国会議事堂は国家権力の象徴ではなく民主主義の象徴でありそれを破壊するという日本の左翼の発想は人間として間違っている
パヨクはそれで溜飲を下げた気分になるだろうが僕はパヨクではない
嫌韓厨でもないし夫婦別姓同性婚外国人労働者受け入れ概ね賛成なので保守ではないけど
それでもまあ作品の良し悪しとして致命的ではないし選択肢として悪くはない
板谷由夏が演じた北林三和子はポスターを見る限りホームレスに見えなかった
モデル体型の細長い足にジーンズ姿の着こなしに悲報感が感じられなかった
板谷由夏の芝居に不満はないがミスキャストだと思う
ルビーモレノは懐かしい
三浦貴大が演じたマネージャーは酷い男だが孫に客の残飯を食べさせるマリアを批判するやりとりはわからないでもない
マネージャーのやり方はありえないが残飯の扱いに関してはフィリピン人だからでは片付けられない
なぜ北林は如月にも寺島にも助けを求めなかったのか理解に苦しむ
それでいてテロリストになるのでは辻褄が合わない
監督も脚本家も感情論が先に出て論理的思考ができないんだろう
いろいろと残念な点はあるが傑作は傑作
星5は与えたい
これと同様アベガー映画の『新聞記者』は駄作だったがこれは間違いなく傑作
居酒屋の従業員で働くもコロナ禍が影響しホームレスになる北林三和子に板谷由夏
北林が勤める居酒屋の店長・寺島千春に大西礼芳
チェーン店を営む社長の息子で店のマネージャーの大河原聡に三浦貴大
北林が働く居酒屋店の同僚で育ち盛りの孫を育てている石川マリアにルビー・モレノ
北林が働く居酒屋の同僚で実家が農業を営んでいる小泉純子に片岡礼子
北林が働く居酒屋の同僚で大河原からセクハラを受けている土屋志央梨
転職しようとやって来た北林の出勤初日に内定取り消しを宣告する介護職員にあめくみちこ
YouTuberに唆されバス停の椅子で寝ている北林に対し石を振り上げ殺そうとする男に松浦祐也
バカな男を唆すYouTuberに柄本佑
北林のアトリエのオーナー如月マリに筒井真理子
明日こそ目覚めないようにと神頼みする古参のホームレスのセンセイに下元史朗
元芸者の古参ホームレス派手婆に根岸季衣
元過激派の古参ホームレスのバクダンに柄本明
普通に暮らしていただけの人がホームレスになる恐怖
2022年劇場鑑賞258本目。
女性がホームレスになるというふわっとした情報で鑑賞。
今までいくつかホームレスが主人公の映画を見てきましたが、全部ホームレス一歩手前の人生を歩んでいました。しかしこの主人公は居酒屋でパートをしており、多少お金には困ってはいそうですが、ホームレスになりそうにない生活を送っています。携帯の電波が3Gの表示が見えたので少し昔の話なんだろうなと思いましたが、ああそういうことかと。さすがにこういうことはないだろうとは思いながらもなくもないかなということが起こって無事(?)ホームレスに。
コロナ禍ではこういうこともあるのだろうな、こういうちょっとしたことで生活が崩れた人にほんとになんの補償もないのなら怖い国だなと思いました。
まぁなんか普通に政治の話が始まったし、最後の最後のシーンがあれだから監督が相当国に不満もっているのはよく分かりました。
いや、なんにも解決してないよ!
もっともっとこんな映画が見たい
実話をもとに制作されたと聞き、上映を待っていた作品。
誰もが未知のウィルスに怯え、なんの対策も取れずに引きこもるしかなかった頃、生きるか死ぬかの瀬戸際まで追いつけられた人々がたくさんいたであろうことは想像できる。でも、その人々がどんなふうにあの時間を過ごしたのかはよく見えてこない。
コロナ禍の社会も4年目となり、あの静けさが嘘のようだ。
我々の社会にはちょっと違うなと思うことがたくさん溢れている。それで割を喰らうのはいつも普通の人たち。まじめに、コツコツと生きている我々一般の普通の人たちである。諦めず声を上げ続けることが「爆弾」なるうるのか。どんなに声でもいい。「助けてほしい」ということは恥ずかしいことではない。声を上げよう!
希望のつながるラストでよかった。
意外な着地点
事件からまだ2年ちょっとだから、映画化するには早いんじゃと思っていたけど、着想を得たフィクションだったのか。
バイト先だった居酒屋はコロナ関係なく、セクハラパワハラ外国人労働者など、思いつく問題を詰め込んだ、トラブルのフルコンボ。
すごく好きな役者さんだけど、三浦貴大さんがちょっと嫌いになりそうなくらい、良いところゼロな清々しいまでのヒールを好演。このところクズ役2連続。
ホームレス生活になってから、充電がてらコインランドリーに行ったり小綺麗にしてはいたけれど、ゴミ箱の残飯を漁る所は、とても切ない気持ちになった。
後半は想像していなかった方向へ。
そしてラストは“期待していたのとは違う”と言っていいのか難しいけど予想外。
91分と短いながらも、過不足なくまとめられていると思う。
『バトルロワイアル』にも出てきた腹腹時計が実在する物だとは知らなかった。
国は国民の肉親ではない。
更に言えば、人類史上「国民の為」の国は存在した事ない。ただのシステムだからね。なんて、映画に乗せられてキナ臭い事を言ってみる苦笑
ラストカット手前まで主人公が嫌いだったのでなんともモヤモヤする鑑賞でしたが、締め方が良かったなぁ。好き。当時一歩間違えれば同じ様な境遇だったであろう飲食業界人間だったので思うところは色々とあり。そしてなんとも苦笑いな総理大臣イジリ。そんな感じで左側な匂いが色濃く漂うので、好みは分かれる所でしょうかね。
でも時代を映す作品として一見はありなんじゃないでしょうかね。
期待が大きかっただけに残念
実際にあった事件をベースにどう言う話になるのだろうと期待していたが、もう少し様々な事に鋭く切り込んでいるだろうと勝手に想像していたので肩透かしでした。
ただ、箇所箇所に見える弱者への優しい視線に救われた気持ちになれたのはよかった。
全75件中、21~40件目を表示