「トムへのこれまでのシリーズへの感謝はあるが」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE フジヤマさんの映画レビュー(感想・評価)
トムへのこれまでのシリーズへの感謝はあるが
ずっと追ってきた大好きなシリーズです。007よりコミカルでライトな要素があり、けれどアクションは毎回目玉シーンを用意してくれて、トムを始めとする制作スタッフの熱意と努力の塊のような娯楽作品だと感じています。
けれど今回始めてがっかり寄りの感想でした。
今回もクオリティは言わずもがなですし、年齢を重ねたトムがそれでも派手なハクションに挑戦し続けることへの敬意で星4以下はつけられない、と初めは思っていましたが...
数ヶ月ぶりにおちついてレビュー文章を書くついでに、本音の3.5に変えさせていただきました。先にいうと、アクションも全体のクオリティも基本はとても高い大型の作品ですし、映画館で見れば楽しめると思います。
私の今回の感想は、シリーズ初めて鑑賞後に満足出来なかったというものでした。
好きなシリーズだっただけに、辛口でその思いを書かせていただきます。
原因は一つはイルサの突然の死です。
とても雑に感じる死に方で、そんな小物キャラクターではなかったはずだぞという、制作側とこちらとの間に大きな壁を感じる気持ちになりました。
(あまりに憤って他の方のレビューをあさり「実は生きてるパターン」もあり得ると読んで、その可能性を期待しましたが、だとしても雑な展開にがっかりの気持ちです。)
そして突然の新キャラクターのグレース、大好きな役者さんアトウェルが演じてるのでさすがの存在感だし、今回のメインキャラクターとして楽しみたかったんですが、この違和感を感じるイルサとの交代目的の登場に、まったく入り込めませんでした。
この展開に作中どんどん気持ちが冷めていき、シリーズで初めて「2回目は見なくていいかな」という感想になりました。
もう少し付け加えると、イルサ登場から同じ監督が撮り続けているのにイルサへのこの扱いに驚き、女キャラクターを描けない監督なのかなと感じました。
イルサ登場時は「ミステリアスな女(新ヒロイン)」としてフレッシュな魅力を作品に投入してますが、そこから続編になると新登場のフレッシュさではなくキャラクターを深めて行かなければなりません。その段になって、また「ミステリアスな女(新ヒロイン)」を出して先のキャラを死んで退場させるやり方が、ヒロインや女キャラはその方法でしか魅力的に描けないのかと思いました。
私はイルサの最終的な展開をもっと魅力的に見たかったし、いくらでも退場の仕方を美味しく料理できる素材なのに、使い捨て的な扱いに理解に苦しみました。
グレースとイルサはある意味キャラが被っていて交代する必然性を感じず、おかげで今回の話の魅力がかなり減りました。
初めからイルサでなくグレースがシリーズで登場していたらそれはそれで面白く見れたでしょうが、キャラクターを扱いきれないお粗末な感じが出たとしか感じられませんでした。
そして魅力減少のもう一つの理由が、前後編に分かれて終わった事でした。
近年の映画ではよく見かけるパターンになりましたが、最近正直に思うようになったのが「続かれると今回の満足がない」です。今回の起承転結と満足感を正直味わいたかったです。
続編系でも毎回満足できた好きなシリーズもあり、(個人的にロード・オブ・ザ・リングなど)それだけ内容が濃くて、前後編に分けることで壮大な内容を描いてると分かる内容ならいいのですが、今回の話は1作でまとめてほしかったと感じました。
分けることでアクションをたっぷり入れられたでしょうが、正直前篇を見た感じではアクション以外のストーリー部分と今回の悪役(ガブリエル)に、後編まで惹きつけられるようなものを感じられず、引き伸ばしただけの印象に終わりました。
キャラクターついでに言うとガブリエルもそうでしたが、今回目立っていたコミックキャラのような悪役のパリスにも、仕掛けられている要素に魅力を感じず、最後まで心惹かれる事ができませんでした。
そうして今回の目玉部分ひとつひとつに拒否感を持ってしまったので、私には残念な感想だけが残ってしまいました。
トムのこのシリーズにこれまで楽しませてもらってきたので、不満感想になったのは個人的にすごく残念でしたが、今回の感想を覆すような後編が来てくれたらと思います。