「今現在考えうる最高の王道アクション映画」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)
今現在考えうる最高の王道アクション映画
トップ・ガンも最高のエンタメ映画だったが、もう一つのトム・クルーズ代表作のミッション:インポッシブルの最新作も王道のアクション映画として最高の出来であった。
アブダビ、ローマ、ベネチアと世界のロケーション、惜しげもなくバイクや車を破壊するカーチェイスシーンに、ILMが担当する豪華なVFXシーンと全世界でのヒットが約束されているからこそ、注ぎ込める莫大な製作費を使ったゴージャスな2時間43分だ。
今回のテーマは正体不明のAIから世界を救うというもの。
AIが知能を持ち人類を脅かすのではないかという仮説が議論されるようになったのはここ1、2年の話で、この映画撮影されたのは2020年というから時代を先取りしていることにも驚く。
正体不明のAIを操る上で重要とされる「鍵」をめぐる国家規模での争奪戦が世界を舞台に繰り広げられるのが今回の筋だが、設定としてはスパイ映画の王道ともいえ、このシリーズの真骨頂はイーサン・ハント(トム・クルーズ)を中心とした仲間や争奪に絡むCIAやMI6に加え謎の武器商人や殺し屋、謎の女たちが絡み合うアクションに他ならない。
中でも女性との絡みがエンタメとしての見どころだ。
今回のヒロイン、グレース(ヘイリー・アトウェル)とのシーンはコミカルな部分もあり、大いに楽しめる。
ローマの細い路地で展開するカーチェイスが見どころ。
2人を手錠で結ぶという小道具の使い方が秀逸で、2人の距離を縮める演出がふんだんに楽しめる。
もう一人サブであるが魅力的な女性がパリス(ボム・クレメンティエフ)だ。
ハマーを操りローマのカーチェイスでイーサンを追いかける暗殺者で、ほとんど言葉を喋らないストイックな役柄であるが、そう来てくれるよな、という納得の展開が待っている。
今回PART ONEで次回へ続くラストであるが、続きへの期待が高まった。
余談だが、対立軸といい、謎の脅威を作動させる鍵(道具)の争奪戦、古い街並みでのカーチェイス、列車での争奪戦などの設定が「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」にそっくり。これらの要素がアクション映画の定番と言ってしまえばそうなのだが・・
で、どちらが面白いかと言えばこちらだろう。
トム・クルーズとハリソン・フォードでは年齢的にアクションシーンの自由度に差がある事やコンテンツの新旧の魅力などの要因はあるかもしれないが、インディ・ジョーンズに一抹の寂しさを感じてしまったのに対して、ミッション:インポッシブルが絶品フルコース料理を食べた後の満足感を感じたことは事実。
今現在、この映画の上を行くスケールでアクション映画を作るのは難しいのではないか。