劇場公開日 2023年7月21日

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「走るトム、連発されるマスク変身術が楽しくて仕方がない」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5走るトム、連発されるマスク変身術が楽しくて仕方がない

2023年7月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

興奮

今回も、ラロ・シフリンが作曲した4分の5拍子のオープニングテーマ(を現代的にアレンジしたもの)が、時代が移っても懐かしいTVドラマ『スパイ大作戦』の世界へとギリギリで誘ってくれる。これに高揚しない人なんていないはずだ。

そして始まる、"エンティティ"と呼ばれる強力な不正AIを巡る攻防劇は、まず、舞台転換が素早い。ローマからノルウェー、イギリス、UAEと転換しつつ、途中で分刻みのアクションを挟み込んでいく。カーチェイス、バイクライドからのパラシュート飛行、列車の屋根での格闘と息つく暇もない。でも、クリストファー・マッカリー監督が大好きなのは、IMFのエージェントが好んで使う、例のマスクによる変身術だったりする。本作でも何度か登場して、何度登場しても騙された気になるから不思議だ。

何よりも、60歳の大台に乗ったトム・クルーズが、頬の贅肉をブルブルさせながら全力疾走するシーンに勝るアクションシーケンスはない。そのプロ意識には本当に頭が下がる。

そんな風に2時間43分駆け抜けるわけだが、全編が見せ場だらけなのに全くダレないのが最大のミステリーでもある。恐らく、作り手の"気合"が観客の集中力をとらえて離さないからだろう。ハリウッド映画が転換期にある今、次回作が無事に公開されることを願うばかりだ。

清藤秀人