「AIvs人間のガチンコ勝負」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0AIvs人間のガチンコ勝負

2023年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作の日本公開に合わせて来日が予定されていたトム・クルーズでしたが、折しも起こった全米映画俳優組合のストライキの影響で来日がキャンセルになったと報道されていました。このストライキの原因は、利益の公正な分配と労働条件の改善であり、具体的にはNetflixなどのストリーミングサービスとAI技術が関連しているとのこと。AIに関しては、現在様々な分野で利用が進もうとしていますが、映画製作においても同様のようで、AIの利用が進むと俳優の仕事がなくなるばかりか、後進の育成も覚束なくなるのではないかという指摘がされています。いわば、AI技術により労働疎外が加速するということでしょうか。

で、本作の話になりますが、今回トム・クルーズ演ずるイーサン・ハントをはじめとするIMFが闘うのが、まさにこのAI。暴走するAIと、それを制御して世界支配を目論もうとして暗躍する連中を相手に奮闘するハント。既に還暦を超えたトム・クルーズですが、本作でもその真っ向勝負なアクションは健在。昨年日本で公開された「トップガン マーヴェリック」は、どうしても空中でのドッグファイトが中心になるため、人間の肉体が魅せるアクションシーンは二の次でしたが、本作ではチラシや予告編でも事前に紹介されていた崖の受けからバイクもろともダイブするシーンや、動く列車の屋根での格闘シーン、そして100m走の如く実に綺麗なフォームで疾走するハントの姿など、AIどころかスタントも使わない驚きの映像がこれでもかと連続して映し出され、圧倒されるばかりの2時間半でした。

ストーリーとしては、正直AIと闘うというテーマ性はタイムリーだったと思うものの、「君たちはどう生きるか」のような考えさせるとか、観た者によってそれぞれ解釈が異なるという類の作品ではありません。それでもここまで直感的に興奮を覚えさせてくれれば、文句の言いようはありません。

やはりトム・クルーズのような不世出の俳優は、AIには生み出せないものだと「信じて」映画館を後にしたところでした。

鶏