「派手なアクションは堪能できるが、ヒロインの魅力と話のスケールが今一つ」ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
派手なアクションは堪能できるが、ヒロインの魅力と話のスケールが今一つ
頭を空っぽにしてハラハラ・ドキドキを楽しめるという点では、期待を裏切らない抜群の安定感で、スリルとアクションのつるべ打ちを存分に堪能することができた。
ただ、街中でのカーチェイスや暴走する列車上でのアクションなど、つい最近も見たことがあるようなシーンが多く、そろそろネタ切れかとも思えてしまう。
今回の目玉である断崖絶壁からのダイビングも、トム・クルーズ自身がスタントをやっているところは確かに見どころだが、それでも「私を愛したスパイ」のスキー・ジャンプの驚きには及ばなかったように思う。
物語としても、新たなヒロインを活躍させるために、これまでのヒロインを亡き者にしてしまうという展開はいかがなものか?
しかも、その新たなヒロインは、手癖は悪いし、すぐ裏切るし、かといって峰不二子のような「魔性の女」としての魅力があるかと言えば、そうでもないのである。
「鍵」を巡る四つ巴の争奪戦はよいのだが、なんだか身内だけで揉めている感じで、世界の命運を左右する事態の割に、アメリカ以外の「国家」が動いている気配がないのは不自然としか言いようがない。
そもそも、潜水艦の沈没地点を、ロシアならいざ知らず、アメリカの政府高官だけが知っているというのもおかしな話で、少なくとも、乗組員が身に付けていた「鍵」を回収した者は、その場所を知っているはずである。(それとも、回収後に殺されてしまったということか?)しかも、それほど重要な潜水艦を、水深の浅い海底に放置しているということにも違和感がある。
まあ、そうした疑問の答えは、イーサンの過去の因縁と共に、「PART TWO」で明らかになるのかもしれないが・・・
そう言えば、「ワイルド・スピード」や「スパイダーバース」のように尻切れトンボで終わらず、1本の映画として完結していたのは観やすかったし、タイトルにちゃんと「PART ONE」と明記しているところも良心的で、そこのところには大いに好感が持てた。