「両手にレールガンを持っていたらお前を抱きしめられない」イレイザー リボーン 鰹よろしさんの映画レビュー(感想・評価)
両手にレールガンを持っていたらお前を抱きしめられない
元々粗のある作品だからな~。それ込みでオリジナルは惹かれる魅力があるし、ド派手に面白可笑しく仕立ててるんだけど...
オリジナルがゲイをネタにしていることへの配慮もあったのだろうか、証人となる女性が当初俺様な男の下で~とし、動物保護や愛護の観点を絡めジェンダーバイアスを説きたい狙いは伺えるものの、日本人は平気でネタにしていたりサイの行動がかなり人間本位なところは気がかりで仕方ない。
それに、ある種わがままにも感じてしまう彼女の自尊心や自意識をメイソンとのやりとりにて強調してしまったことで、2人の間で約束事が構築できておらず敵との駆け引きが機能してない。
さらには組織や陰謀が一枚岩で描かれてしまっており、相手取る者たちの行動が画一的で無個性なのも上記の狙いと齟齬が生じている。故に1つ魅せ場であるはずのラストも蛇足へ。
主人公のメイソンにおいてもイレイザーとしての仕事や能力を描く意志が感じられず、彼の立ち位置が定まらないまま単に対人戦闘が強いだけに終始してしまっているのも難。彼が助けてきた(消去してきた)証人たちとのネットワークこそが本作の狙いにリンクするはずなのだが、なぜだかそれは全削除・・・。
オリジナルは当時の最新鋭最先端モリモリ(だったけ?)で似非科学等流行を感じさせるものが軸にあったが、この作品はオリジナルをなぞる上で現代版にアップデートすべきところは基本無視且つ削ぎ落としており、リメイクの意義がかなり不明瞭。ラブロマンスを主軸にする改変もミスマッチに感じる。
絶対に比べられてしまうにも関わらず、その辺りへの意識が全く感じられなかったのが残念だった。
「アイ・アム・ナンバー4」(2011)...「ローグ」(2020)...