ヴィレッジのレビュー・感想・評価
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相変わらず重箱の隅をつつく我
役者もみな頑張っているし映像も美しい。物語自体は嫌いではない。能をはじめとしたディテールはぎりぎりやり過ぎない範囲。ただいくら何でも廃棄物処理施設を住宅の上の山頂に作るのは常識外れ。絵にこだわったんだと思うが現実的にあり得ない。飲料水への影響など間違いなくアセスメントされるはず。この絵でいきなり醒めてしまった。残念。
横浜流星はじめメインキャストは皆良かったが、何といっても奥平大兼が今回も素晴らしかった。
終わり方。
人気のあるイケメン若手俳優さん主役の映画にしては重厚感があり、見ごたえのある作品でした。
最後は、主人公が村長を殺してしまい、村にピリオドをつけるが、社会派映画として貫くのであれば、主人公が村長の考え方通り従って村を存続できる形にして終わらせ、是非は鑑賞者に判断してもらえば良いのではないかと思いました。
無名の俳優さんでミニシアター系で上映するのであれば違っていたかもしれません。
しかし最後は映画監督等の良心を感じました。
人物の作り込みが雑
この監督の作品に共通して感じることは、ディテールの作り込みの雑さ。
ヤクザっぽい、腹黒い政治家っぽい、田舎のヤンキーっぽい、悪い村長っぽい、全てぽいで止まってしまって人物の作り込みが雑。セリフも型にハマったような稚拙さを感じる。
掘り下げが浅いので、ぽさがかえって「そんな奴いるかい!」につながる。
この作品にしても、出てくる大人のセリフや外見があまりにも観念的。中学生が思い描くヤクザとか、ヤンキーの印象をそのまま形にした感じ。刺青を隠さないガラの悪い社員がいる会社にいくら故郷とはいえ精神病んだ若い女の子が平然と再就職するか?とか
シチュエーションの描写がツッコミどころ満載です。不法投棄の問題やゴミ処理の現場をきちんと取材して、リアリティーが欠けてないかちゃんと考えて作っているのだろうか。
扱っているテーマは良いしやりたいこともわかるのだが、そちらが先行してディテールが置き去りになっている。
やりたいことをきちんと表現したいなら、取材や人物の作り込みにこそ時間を割くべき。
能面の奥
のびのびとした環境、地元の文化、楽しく過ごした時間。
そんな無邪気な幼少期からだいぶ遠ざかった現在にいた2人。
優は父の過去を背負い、母の傷を見放すことなく守るように生きてきた。
美咲は都会で挫折を味わい心を痛めて帰郷した。
その再会は、離れていた年月を埋め互いの歪んだ時間を包みこむかのようにみえた。
なつかしい優しさと何よりも偏見を持たずに信頼を寄せてくれる美咲に、荒んでいた優の心は幸せだったころを思い出しほぐされ、次第にいやなことを断ち切る勇気を与えられていく。
友情が愛情にかわっていくと、表情には柔らかい日に照らされたような温かみが蘇り、瞳には力強さが宿りはじめた。
そんな心情の変化にあわせ長い間片付けられなかった部屋の様子も変わり、仕事にも意欲が出始め、少しずつ自信を得る。
美咲も、優のそばにいるときの自分らしさを心地よく思い出したようだ。肩肘張り力んでいた都会での自分を悟り、仕事場でも緊張がほぐれた本来の穏やかさと朗らかさを取り戻した。
ふたりとも、自分の手でやっと抜け出しはじめた暗闇。
求めていた安らぎが運んできたふたりの未来と希望が眩しく近づいてきたようにみえた。
2人の様子に嫉妬した村長の息子とおるが、その仲をさこうとするまでは…
噂ひとつが人生を覆してしまうような密な関係が永遠についてまわる小さな村。
その良い面を忘れてしまうほどの悪さがそこに悪戯した過去を、美咲に恋心があるとおるが執拗に利用して2人をひきさこうとする。
嫌な予感が追い立ててくるなかでその日は来た。
感情の昂りが繰り返す大きな炎を呼んだ。
迫る火のなか、淡々とうたう村長の母・ふみの声がうねりこの世の無情を嘆く。
全てを知り尽くしていたようなふみは、まさに能面そのもののように、燃え落ちる家屋とともに朽ち尽くす運命を受けて待つ。
一見、無表情なその内面に隠れる様々な感情。
多くの人は、すべてをさらけ出すことなく生きている。
そしてそこに交差するそれぞれの思惑は足跡をかすかにのこし、消えて去る。
感じる者だけに見える能面の奥。
圧倒的な横浜さんの目の表現、黒木さんのスクリーンから伝わる温度。
ひとのこころの複雑さを、能にある静と動にたぎるような炎の効果を加え、そのどちらにもある強烈な深みを表す。
地位への固執、権力の乱暴、間違った保守、変えれない意地、自己満足な見栄、伝統のための重圧、他人を傷つける欲、自我に埋もれみえなくなる世界…人間の隠しきれない癖がたくさんみえる。
誰かの純粋なきもちをにぎりつぶさないで。
余韻をのこす切なさとともにうっすらと一筋の希望をみながら願う自分が居た。
修正済み
よくわからん。
俳優さん達の演技は素晴らしかった。
救われない話は好きなので、ストーリーの構成は面白かったのですが、変に引っかかる点が何個かあった。
綺麗事を言っていた美咲も、結局彼氏に死体遺棄させて共犯者にした挙句、自首もせず村の一部になったってこと?
中村獅童が「主人公の父を救えなかった」と言うから、じゃあ今回は主人公をなにかしらの形で救ってくれるんだな、と思いきや最後まで救われず。結局あの村は何も変わってない。じゃあ私は2時間何を見せられたの?
結局あの穴は何?村人の本音とか鬱憤とかのメタファーなんだろうけど、能とか村とか穴とか、重要なポイントが多すぎて全部薄くなってる。
気になるところはもっとあるけど、とりあえず燃やされたおばあちゃんが可哀想。
山あいの寒村・霞門村(かもんむら)。 自然は豊かだが目玉となるよう...
山あいの寒村・霞門村(かもんむら)。
自然は豊かだが目玉となるような観光資源に乏しい。
強いて言えば、伝統の能だが、10年ほど前から村の収入の大半は近隣からの廃棄物を一手に処理する巨大な最終処分施設。
過去から逃れらず、母の君枝(西田尚美)の作った借金からも逃れられない青年・優(横浜流星)も、その施設で働くひとり。
職場カーストにおける彼の地位は最下層で、賭け拳闘の道具にされたり、闇処分の働き手として緊急呼び出しされたりと、虫けら同然の扱いだった。
そんな中、幼馴染の美咲(黒木華)が東京から戻り、処分施設の広報係として働き出し・・・
といったところからはじまる物語。
はじまって早々、脳裏をかすめたのは『犬神の悪霊(たたり)』。
冒頭の能の描写は『天河伝説殺人事件』だけれど、絵空事として楽しめるミステリ映画とはかなりの差があります。
過去の因習に対する現代の問題は、『犬神の~』では原発問題だったが、本作では廃棄物・ゴミ処理。
劇中の台詞では数度ほどしか出てこないけれど、SDGsの17の目標のひとつでもある。
SDGsといえばクリーンなイメージがあるが、現実ではかなり汚い。
それを生々しく描いていきます。
特筆すべきは、やはり主役の横浜流星で、映画中盤までの「死んだ魚の眼」をした青年から、中盤以降の生気を取り戻した青年への変化。
演技の幅が広く、かつ深い。
彼をキャスティングした時点で、ほぼ映画は成功したような感じもあります。
ただし、彼が生気を取り戻していく過程は、そうそう上手くいくかしらん、と思わなくもないけれど。
で、生気を取り戻した優青年の成功物語ならば爽やかな映画になるのだろうが、現実のSDGs同様、そんなにクリーンではない。
好青年となった優も、表面上のクリーンさと裏腹に、どす黒さは沁みついて、抜き差しならない状況になってしまいます。
最終的には、泥沼。
どちらかというと後半やや腰の甘いところのある藤井道人監督なのですが、本作は最後まですさまじい馬力。
生々しくどす黒くおぞましい社会を描き切った、と感じました。
なんで高評価?
だいぶ頭悪い映画だと思うんだけど…
こんな頭悪い人たちしかいない村ある?ツッコミどころ満載というか、ツッコミレベルが低すぎて、何処を突いてもおかしい点ばかりで日本の文化レベルが低い事を認識。
一番ツッコミどころは、あのジャイアンを殺⭕️場面。アレを編集上勿体ぶる理由は?中学生でもわかる事なのに、実は…て編集されても「いや、知ってるわ」って言いたくなる
清濁併せ呑む
こういった限られた世界でモノを動かすことには、「清濁併せ呑む」事が求められて、一度「濁」を飲むとドンドン深みにハマって行きますね。優は、始めは犯罪者の子で、母親は借金まみれの酒飲みと言う不遇な境遇から、昔の彼女(?)の登場により、スポットライトのあたる境遇へと変化していくが…。
・横浜流星の憂いを携えた眼付き。台詞よりも眼光に力がある。 ・画力...
・横浜流星の憂いを携えた眼付き。台詞よりも眼光に力がある。
・画力はすごくある。それだけで物語を引っ張る力がある。特に、能との絡みが良い。
・黒木華と出会ってから生きる意義を取り戻す流星だけど、表情の変化にグラデーションがあるわけではないから、広報やることになった時に急にコミュ力高くなってどうした??みたいなギャップがある。隠キャが急に陽キャになったかのような。
・結末が読める。物語としてはありがちな展開。台詞での仄めかしもあるし、意外性がない。最近だとティモシーのボーンズアンドオールも似たような展開だが、あちらはもっと先を行っている。
・色んな社会問題が要素として詰め込まれているが、あくまでも人間ドラマにフォーカスされていて、背景が深掘りされてるわけじゃないから、単なるモチーフに落ち着いて残念。もっと描きようはあったはず
・木野花ももう少し活かし方があったような、、、
ラストシーンが不可解❣
映画批評を読み「新聞記者」の藤井道人監督作品なので鑑賞。山深いゴミ焼却場と環境問題、村人に虐げられている片山優(横浜流星)。東京から出戻った幼馴染中井美咲(黒木華)が彼を支える。美咲に懸想する大橋透(一ノ瀬ワタル)、能を教え舞う大橋光吉(中村獅童)。美咲の支えで順調に立ち直った優だが・・・・。ラストシーンが不可解❣
一人の人間の感情の移り変わりを心で感じる作品
抜け出したいけど出れない、アリジゴクのような穴に落ちてもがいている錯覚に陥る。
一人の人間の感情の移り変わりを心で感じる作品。能が能面の微妙な傾きで多彩な感情を表現するのに対し、優は目で感情を表現している。題材となっているムラで起こる事象もこの表情の移り変わりを出すための要素の一つ、社会問題も様々な価値観の人に関心をもってもらいたい要素の一つに思えてくる。(製作者の意図ではないかもしれないが)
死んだ魚の目のような生気のなさ、あきらめ、心の中で静かにマグマのようにたまる怒り、つかみかけた希望、罪悪感、恐れ、主人公の様々な表情が心につきささる。能面の裏に隠された心の叫びが伝わってくる。人間の、社会の、隠したいけど隠せない部分、歪みの象徴としての村。根っからの悪人もいないけど、根っからの良い人もいない。やりたいことができているわけでもないけど変わろうとすることもない。大なり小なり、誰もが経験する見たくない部分を見せつけられる。やっとつかんだものを失う恐怖や長く続かない儚さ。わかりやすい救いがあるわけでもない。それでもなぜか映画に対する嫌悪感は残らない。キャストに人間らしさを感じてしまうからか。それぞれの演技が素晴らしい。
ラストに主人公が見せる表情は、縛られていた鎖を解き放ち心の自由を手に入れた解放感にも見えるし、やっと終わる安堵の表情にも見えるし、眼をかけてくれた人への感謝と決別の表情にも見えるし、結局同じことをしてしまった父親に対する共感とやるせなさの表情にもとれる。あの表情をどう見るかで、感じるメッセージも変わると思う。とにかくあの表情が頭から離れない。そして見終わった後もいろいろなことを考える。自分には何ができるのか。
できれば絶望、あきらめだけでなく、わずかでも希望につながってほしい。エンドロールのあと、まだ変わることができるチャンスは残っているのでは、そんな風に思いたい自分がいる。
ここまでが1回目の鑑賞で感じたこと。2回目はまた違った印象になった。
人々を村に縛り付けていた、心の自由を奪っていた象徴ともいうべき村長の家を、過去からの歴史とともに焼き払うことで、逃れられないと思い込んでいた呪縛から解放する、それをやり遂げた充足感、初めて見せる人間らしい満ち足りた表情。それはまるで、亡くなった父親に”やり遂げたよ”と報告しているかのよう。
穴は夢の始まりと夢の終わりの区切り。
鏡にうつる幸せな場面は、一瞬の夢、虚構、生きている感じがすると思っていた時間は、儚い夢の間だけだった。
そして、犯罪者の息子といわれ苦労してきた自分が、犯罪者だといわれる絶望感。
随所に製作者のこだわりを感じる。そういった考察も楽しめるし、見るたびに違った解釈ができる。そういった寛容性、奥行きの深さを感じるところもこの作品の素晴らしいところである。
映画はそれぞれが自由に感じてよいもの。いろいろな意味で何度も見たくなる作品である。
横浜流星一人勝ち
120分と言えば長めの作品であるにも関わらず
割愛されたシーンが多々あるように思いました。
観る者に委ねるということなのだろうし
全てを見せない良さもあるのでしょうが
少々委ねすぎ、不親切かなとも思います。
尺が足らなかったのであれば、個人的には「能」の
件を切ればよかったのでは?とも…。
これは、ドラマにしてじっくりと見せてほしかった。
父親は何故犯罪を犯したのか?
村長(古田新太)と弟(中村獅童)の確執
母(大橋ふみ)と長男(古田新太)の確執
丸岡(杉本哲太)と母(西田尚美)の関係
などなど
色々疑問が残る作品でした。
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称賛すべきは横浜流星です。
同年代の俳優陣は、彼の演技を見て思うところが
ありそうです。ないのではあれば終わってそうです。
本作でのどん底の生活をしている時の彼と
上向きになっていく時の彼、完全に上昇した彼
見事に演じ分けられていて素晴らしかったです。
あの猫背、やつれた表情、濁った光のない瞳
メイクの力もあるでしょうが、あれを見たら
ぜひ最悪なサイコパスな役を演じていただきたい🤣
綺麗でかっこいい役だけをこなさないところは好きです。
もっと汚れ役やクズな役もやってほしいです。
そして時々でいいので、キッラキラのイケメン役も(笑)
ヴィレッジとは…
河村プロデューサーと藤井監督らしい社会派の人間ドラマでした。
閉鎖的でムラ社会のような狭いコミュニティを築き血縁に縛られる日本全体を見事に風刺した作品ですね。
舞台となっているのは山に囲まれた小さな村ですが、もちろんこれは前時代的な地方を批判しているのではなく都会でもどこにいっても同じような問題を抱えている日本人性の批判。
美咲が「都会に出ても何も無かった」というセリフはその象徴。
村の繁栄の為にゴミ処理場を建設して、意にそぐわない者は村八分にする。そこで死者が出ても素知らぬ顔。一方で犯罪者の息子というだけであからさまな陰口を叩く。都合の悪いことには見て見ぬふりをする自己中心的な姿を、能面をつけて村人たちが行進していく姿で痛烈なメタファーとして描いたシーンに背筋が凍りました…。
さらに不法投棄まで請け負い、清濁併せ飲んでなんとか人生を持ち直した主人公を襲う不幸な出来事の連続。
誰よりも理不尽さによって苦労してきたお前もまたそちら側に立つのかと、神の見えざる手によって試練が与えられる。そして父親と同じような悲劇を繰り返してしまう負の連鎖。
彼が輝かしい人生を手に入れたことも、村というコミュニティが自己の利益の為に見て見ぬふりで得た繁栄も、過ぎてしまえば夢の如し。能の演目や美咲が語る「邯鄲の枕」のエピソードがこの物語のモチーフとして機能しているあたりもさすがですね。
また、明るい太陽に眩しいくらいに包まれた恵一くんがスーツケースを持って村を後にするラストシーンも、新しい希望を示唆する印象的なカットでした。
全体として、細部までキッチリ描かれており、僅かなセリフで登場人物それぞれの過去や立場を伝えて2時間の映画に収める脚本も無駄がなく良かったと思います。
エンターテイメント性という部分では物足りなさが少しあります。ただ、それ以上に社会派人間ドラマとして素晴らしいと感じました。
横浜流星目当てで観にきた私
きっと救われない話なんだろうなぁと思いながら鑑賞しました。
横浜流星さん始め全ての俳優の演技が素晴らしい。詰め込みすぎとか矛盾してるとかいう感想もありますが、途中月日が結構経ってる表現もあるし人間なんてそんなもんって思います。
例えば今まで犯罪者の息子で白い目で見てた村人がいきなり態度を変えたこと→テレビ出て人気者になってきたらコロっと変わるしあえてそこに照準を合わせない物語の流れがよかった。
とおるのスマホを壊して証拠隠滅しなかった→そんな余裕なかったんじゃない?だって初めて人殺しちゃったんだし冷静にはいられなくないかな?
最後はごみ村長を燃やしてくれてスカッとした部分もあるけど罪を重ねてしまうことでみさきと結ばれないのは悲しい。
色々な意見がありますがそれが映画です。
そしてまた横浜流星さんに魅了されました。
とても面白い映画でした。
エンドロール後のボーナスカットは絶対見てほしい!
詰んだ村は出るべし。一度出たら戻るな。(外から来る人はそれなりの覚悟で!)
のメッセージが、「いい移住」を促す昨今の政策に冷や水っぽい脚本。
昨日の統一地方選を見ても、無投票地区がどんだけあるのってわけで、人口減少少子高齢化大国日本のどこにでもありそうなお話。
「21世紀の日本再発見」的な、「地方創生の鍵は多様性」、「伝統的な社会に学ぶサステナ
ブルな生活、SDG'S最高!」みたいな表面的・軽々しい言説に胡散臭さを感じるひねくれ者には腑に落ちる内容。
横浜流星くんの渾身の演技、能面ぽいお顔立ちの黒木華さんの表情も良かったけど、最後に首絞められてる時の古田新太の歯の裏側が黒っぽくかつ黄ばんでたことに感銘を受けた。
そして最後は予定調和的にリアル薪能。
エンドロールの後、スーツケース転がして村を出て行く恵一(役名)に救われた。
どんよりとした気持ち…
終始暗い映画でした。
しばらく、気持ちがどんより。
でも、考えさせれることは多いです。
心のどこかに、潜んでることなのかもしれない。
大橋透(一ノ瀬ワタル)は、ほんとクズだけど、あれを作ったのは
村長の大橋修作(古田新太)です。
また、村長は村長でコンプレックスの塊。
ゴミ処理場で働いてた筧龍太(奥平大兼)君は、もう少しであそこをぬけだせたのに
捕まっちゃって。
片山優(横浜流星)も、儚い夢をみれて笑顔になったけど、一瞬にして終わってしまって。
美咲(黒木華)も無実ってわけには行かないですよね。
救いなのは、恵一(作間龍斗)が、事故で死ななかったことかな?
ちょっと「それはないでしょう?」って
思ったところはあったけど…
う〜ん。
でも、これで最後ハッピーエンドはありえないし、
この気持ちのまま終わりでいいんですよね。
一炊之夢
救われない話は大変好物である ハッピーエンドは確かに幸福感と腑に陥るカタルシスを得る麻薬だが、劇場が明るくなり、スクリーンが真っ黒になった途端にその魔法は溶け、現実が自分に襲いかかる 粟ご飯が炊かれる間の夢だ 逆の意味で自分よりも不幸な世界観の中からの目覚めであっても、その厳しさとは異質な現実が待機されていることでの減退感に苛まれるのも同じかも知れないが・・・
ただ、本作、自分の中で辻褄が合わない些末な筋があり、どうにも心に引っかかる事があった 主人公は小さい頃に能を習っていた件があり、そもそも父親が能楽に覚えがある人なのだろうから、ヒロインの教えを聞くまでも無く、知識は色々知っている筈だと想像出来るのだが、ストーリー中では、まるで記憶が消えてしまったかのような能に関する無知識振りが描かれる 能面等小さい頃からその小道具には親しみがあるだろうに あの劣悪な環境の中で忘却していたとしても、小さい頃に仲が良かったヒロインとの再会で記憶が蘇るという想像は自分の勝手な解釈だろうか? アラ探しは決して褒められるものではないし、そもそも映画はフィクションなのだから、作り手の都合が優先することには受容すべきである なのでこの部分の勝手な解釈は、あの小さい頃の写真に収まっていたり、ビデオ内で舞う男の子はヒロインの弟なのではないだろうか?と 男女の子供が戯れるソフトフォーカスシーンは主人公とヒロインなのだろうと・・・ 疑問点は尽きない本作の構造(余りにも近しい親類内での事件に於ける登場人物達の関係性の希薄さ等々)、なかなか飲み込みづらい展開は否めない
但し、そんな中に於いてキラリと光る登場人物は、主人公を痛めつける村の若い衆の頭(村長の息子)役俳優の哀愁を帯びた演技である 嫉妬の表情迄はそれ程注目になかったが、やはりあの暴行未遂シーンでの、細心な演技や、施される演出の妙は、型どおりの流れ(女性に対してのひっぱたき等、手を出す事)ではなく、体格の威圧感だけで所謂"○付けプ○ス"的な印象を与えるあの流れは、リアリティとしての画作りを作劇している白眉であった "大男に抑え付けられる=社会からの抗えないプレッシャー"は、多々ある今作内のメタファーの中でも最も輝いているシーンであったと感嘆する その後に続く主人公への嫉妬を爆発させた暴力シーンを含めたあのシーンクエンスは演じた俳優が誇っても良い演技であり、認められて然るべき力である
あの穴は何?
横浜流星の風貌が変わりすぎて凄い。
他の役者も良かったハズなのに、対抗できるのが木野花さんの無言の迫力くらいでした。
しかし、詰め込みすぎも目立つ。
能はモチーフとして使うぶんにはよいが、わざわざ歌舞伎役者に舞わせる必要があったのか。
また、龍太の結末には悲哀を感じたものの、本筋にも主人公にも影響を与えていない。
彼の話単体でも一本作れそうな反面、逮捕後は丸投げで作品の中では浮いていた。
社会の縮図として様々な問題を盛り込みたいのは分かるが、話が動く中盤までが緩慢。
それなのに、優が広報として人気が出た瞬間に疎外感が霧消し、母親はいきなりまともになるなど転換が雑すぎる。
夜の仕事辞めて収入減るハズなのに、借金問題なくなってるのも何故?
観光客が集まる要素もないし、死体を埋める場所もスマホを一緒に捨てるのも有り得ない。
最後の最後で優の父親がスケープゴートだった可能性を匂わされるも、誰の身代わりか全く分からない。
駆けつけた中村獅童は、容疑者を確保するでもなく、家族を助けに行くでもなく優を見つめる。
鑑賞後に重苦しいものが残るくらい演技は良かったが、脚本を少し整理してほしかった。
全60件中、21~40件目を表示