「邯鄲の夢にしては目覚めが悪すぎる」ヴィレッジ スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
邯鄲の夢にしては目覚めが悪すぎる
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本作は産業廃棄物の焼却の煙が
山々を包む不気味な廃村を舞台に
一人の青年のいわゆる「邯鄲の夢」を儚く描く。
ただ廃れ行く村に産廃処理場の建設計画が持ち上がるが、
神社の上につくることや山々の自然、景観、環境を損なうことが理由からか
一人の男が反対運動を起こした。
しかし、まかり間違ってか、その運動家は人を殺め、絶望した彼は家族のいない自宅に火を放つ。
その運動家の息子は村人から犯罪者の息子だと後ろ指をさされ、皮肉にもその
建設された産廃処理場で働くこととなる。
母は酒とギャンブルに溺れ、
彼も彼で社長の息子からは凄惨な扱いを受け、
村人もからも
依然後ろ指をさされ彼は煩悶する毎日を送る
そこに幼馴染が帰ってきてから彼の人生は一変する。
正に邯鄲の夢の演目のごとく
綺麗に装い、本当の顔を能面で隠し、背筋を伸ばした。
しかし、そこに更なる不幸が待ち受けてるとも知らずに。
藤井監督のある種のジェットコースター式社会派ストーリーは
夢物語というより、人々が直面している社会風刺に近い
抗ってもかなわない構造をシニカルに描く
しかし、その青年が最後に放った業火はどこかはかなくも美しく
一つの芸能の枠を超え、ムラ社会日本への反抗という火種を我々鑑賞者に灯す
もちろん焚きつけられる人間はごく少数だが。
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