劇場公開日 2023年4月21日

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「全体的に詰め込みすぎ」ヴィレッジ Jongoさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0全体的に詰め込みすぎ

2023年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

※3/30(木)完成披露試写にて観賞いたしました。

不法投棄、ムラ社会、能...

様々な要素が入り混じり、その全てが中途半端となった。

『ヤクザと家族』から2本目のオリジナル脚本となる藤井道人監督。
「家族を求めるがゆえに疑似家族としてのヤクザに入り、それが原因で掴みかけた本物の家族さえ失ってしまう」という、2つの似て非なる要素から 1人の男の避けようのない悲劇を描いた力作の前作から、大きく後退したように感じた。

まず「後半の脚本」が破綻している。(これは『ヤクザと家族』でもあった問題点だが)
なぜゴミ収集場と能しかない村に観光客が集まるのかさっぱりわからないし、そこまで人気になった村でなお不法投棄を続けるリスク管理の甘さにも首を傾げる。
極め付けは「アレ」の捨て場所だ。あんなに山に囲まれている土地で、なぜあそこに捨てたのか。不法投棄がバレると掘り返される危険性があるし、そもそも不法投棄が続いていても埋め場所を確保するために掘り返される可能性もある。

これもまた藤井監督過去作に共通する「行き過ぎた音楽演出」は、今作ではより顕著だ。
音楽芸術でもある能を一度もクリアに見せず、重低音のBGMを毎回上塗りする。能はテーマを語るためのただの記号と化し、「能とはどういうものなのか」を語る気が全く無い。(個人的な問題で恐縮だが、横浜流星が能をやってくれるのかと期待もしていたため非常に残念な気持ちにもなった)

役者の演技は素晴らしかったが、それゆえ前述した欠点との差が目立ち、全体的にはガタついているという印象。非常に勿体無い作品だと感じた。

余談だが、なぜ藤井監督作品の主人公は毎回父親に何かしらの因縁があるのだろうか。あまりパーソナルなことを詮索するべきではないかもしれないが、こうも続くとやはり気になる。

Jongo