劇場公開日 2022年10月28日

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「ファンタジー要素は違和感を覚える」天間荘の三姉妹 Koheiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ファンタジー要素は違和感を覚える

2022年11月27日
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鑑賞方法:映画館

東日本大震災の被災地を舞台とした近年の作品として印象的なのは「浅田家!」や「浜の朝日の嘘つきどもと」である。「護られなかった者たちへ」についてはまだ鑑賞できていないが、これらの作品に対する評価は概ね高い。「天間荘〜」についても同様のメッセージ性を帯びた作品であろうという勝手な想像のもとに劇場へ足を運んだが、いざフタを開けてみると、どうやら何か違うと感じた。

事前にレビューを見る限りでは、そういった違和感のようなものを感じさせるような作品ではなかったし、予告編を見たときもそれは同じであった。出演者も文句なしである。しかし、実際にはファンタジー要素が濃く、作中で震災を描くことの必然性・必要性について疑問を覚えた。

もし、どうしても震災を描かなければならないという強い使命感のもとに作品を編んでいくのであれば、ファンタジー要素はない方がよい。監督が公開日をあえて3月前後にせず、時期にとらわれずに震災について考えたり触れたりするきっかけになればとの思いは貴い。宮城県女川町はじめとする被災地域でロケが行われており、それらがスクリーン上で観客の目に触れることもまた意義のあることではある。

しかし、冒頭紹介した、近年登場の作品群には目劣りしていると感じてしまう。一応、登場人物として犠牲者や被災者が登場するのだが、当事者である日本国民に対し、訴えかけたいことが十分に伝わってこなかったことは残念である。あの震災とファンタジーを掛け合わせるのは時期尚早であると感じる。それとも、原作を読んで出直した方が良いのだろうか。

Kohei