「ひょっとしたら現世も…」天間荘の三姉妹 humさんの映画レビュー(感想・評価)
ひょっとしたら現世も…
⚫︎三姉妹の魅力
【のぞみ】
天間荘の長女として若女将になり切り盛りする責任感とふるまいに男勝りな気っ風のよさと思いやりの深さを感じる。一馬との別れを越えた妹かなえの気持ちを察し、すぐに抱き寄せにかけよるシーンがあるが、「おいで」のタイミングの絶妙さ!今そこで心の内と葛藤してるかなえに対し瞬時にさらりと寄り添う行動はいつも周りの流れを把握してる気配りの賜物だろう。しかも自分の立場で踏み出す勇気が自然と身についているからこそできる技。この時、のぞみの体温がかなえに直に伝わることがどれだけ大切だったかなと。
寛容さと飾らない役柄がフィットしていた大島さん。着々と俳優の道に足跡をのこされている強くて柔らかい表情がどこをきりとっても凛と美しく輝いていた。
【かなえ】
等身大の自分で居ることを自分に許しているような大人のゆとり。そのマイペースを保つ芯のぶれなさは同時に他人に求めすぎることもしない。そんなかなえのゆったりした安心感と公平感が好きだ。自暴自棄な優那の行動について
「あわれな子、腹も立たないわ…」と。とても共感した。冷たいのではない。もっと超えたところに意識があるのだ。門脇さんの淡々として揺るがない雰囲気にふわりと肩の力がぬけてる空気感は個性的なかなえ像を魅力的にしていた。私的にはそばにいたらいちばん心地よく惹きつけられるキャラクターだった。
【たまえ】
真っ白な真っ直ぐさ。他人の気持ちを自然にときほぐすのはこどものような天性の資質ゆえだろう。のんさんが演じることで〝そのまんま〟ののびやかでフレッシュな三女の魅力でいっぱいだった。たまえが財前さんに話しかけた言葉「きっと大変でしたよね。」「…素敵ですよ。」などがある。他人との間に高い壁を長い間つくったままだった彼女は敬遠されてきたと思う。たまえが発したのは普通の言葉なのだが、誰かにあのまなざしとあの真心で言われたことはなかったかも知れない。若女将ののぞみも、それまで財前さんの担当だったが心を開かせるのは難しかったことをぼやいている。相手によって自分を変えることなくありのままで接するたまえ。財前さんにだんだんと笑顔がみえ気持ちの変化があらわれる。最後には後からきた客人の優那と共に天間荘を去るのだが、これはたまえの存在が、自分以外の誰かのことまで考えられるようにさせた証だったのではないか。
⚫︎印象的なシーン
・エンディング
胸震う主題歌は地球のすべての魂に捧げる壮大なレクイエムだった。これを受け、オーブが穏やかに舞いあがりやさしく光る星へとかわっていく気がした。
(もしかしたら、この楽曲をもう少しだけ音量をセーブして聴き始めれたなら、もっと余韻を重ねたまま物語をじぶんの心の中でゆっくり閉じていけた気もするなぁとも感じた。)
(たまえが飛び立つ時のCG?特撮?は、急にCMが入ってしまった時のように引き戻されたのでやや残念感あり。)
・父さんのカメラが残されていた場面
あれだけ誰にでも厳しく口も悪く強気な母(大女将)の心の底にある家族への愛と、こうしてまわりの人々に伝える役目として存在してる人がこの世にはいて、必要なのだと思った。
・家族のお別れの夜
食卓を囲むあたたかい笑顔と声。
何気ない日々にある尊さの象徴だった。
そこにあるのは紛れもなく安らぎのなかに〝通う気持ち〟なのだ。
特に、お椀を渡す手 受け取る手のアップのカットは胸がぎゅっとなった。いろんなひとの思いがよぎり涙になって、ぽとぽと落ちてきてマスクに染み込んだ。
⚫︎感想
奇跡のような命をもらい、奇跡のような世界に生かされている私たちへの言葉がセリフを通じたくさんあった。
「自分でもわかっているから腹が立つ」
「自分の不幸や不運を人のせいにして…」
「人にやってもらおうなんてあまいんだよ…」
どんなに思いを寄せ合っていたとしても永遠に一緒にいられることはなく、ここにとどまる者も誰ひとりとしていない。いつかわからない旅立ちに際して遺された私たちへのメッセージも続く。
〝人は死んでも終わりじゃない
愛する人のなかでずっと生きている〟
(だから)
〝おいきなさい つぎの世界へ〟
そう考えられたらお互いにのりこえられるかも知れない。
なるほど、そうか。
あれ?
ひょっとしたら
現世もあの町とある意味おなじ…なのかもしれない。
ご返信お気遣いありがとうございました。のんさんはど共感です。大島さんはアイドルの絶頂期が凄すぎて、なんか損してますねぇ。またよろしくお願い致します。🙇♂️
のんさんは色々ありましたが天真爛漫、ブレていない。おっしゃるとおり「そのまんま」。ただ好感度は有村架純さんより上なのですが、「私をくいとめて」「さかなのこ」ともキャラがほぼ同じ。シリアス系統大丈夫ですかねぇ。過去の経緯を払拭。故に巧妙に「素顔の「天真爛漫キャラ」前面に、」プロダクションの戦略は上手いと思います。・・大島さん熱演ですね。もう一踏ん張り欲しいところ。門脇さんは普通にプロの役者でした。イイねありがとうございました。😊