「山谷花純=大島優子??」天間荘の三姉妹 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
山谷花純=大島優子??
ようやく見れました。やっぱり、150分超の長尺映画は、未だに見るのを躊躇ってしまいます。auスマートパスプレミアムの「私のオススメ映画はこちら!」と言って1回、そして通常で1回、早く席に着いてしまったらプラスでもう1回と、嫌になるくらい見せられた予告。最初は結構楽しみだったんだけど、このしつこさのあまり、期待値ガク落ち。そして今に至るわけですが、作品自体は非常に素晴らしいものでした。予告を流すのも程々に。
序盤はかなり微妙で、空回り&置いてけぼり状態。
わざとなのだろうけど、どんな話なのかが掴めずグダグダで退屈気味。今話題の「すずめの戸締まり」とは打って変わって、引き込み方がめちゃくちゃ悪い。雰囲気がフワフワとしていて面白みに欠ける開始30分。このままだったらマズイなと思っていたけれど、30分が経過したところからエンジンがかかります。
予告だけで判断すると、ほろ苦く少し重めで、ありがちな人間ドラマと思っていたけれど、あながち間違いではないけど、結構変わったディープな物語でした。そのことに気づいてくるのが、前半の途中。意味深な発言から顕になる真実。意外で、少し驚かされる、予告からは判断できないストーリーがこの映画には隠されており、重くなるというよりも段々と深化していきます。それが本当に見応えあって、考えさせられて、ジーンとくる。「生きる」ということを深ーく考え抜いて作られた、素晴らしい作品です。
そして今年の顔である、豪華キャストが集う。
「さかなのこ」のん。「女子高生に殺されたい」大島優子。「あちらにいる鬼」寺島しのぶ。「ちょっと思い出しただけ」永瀬正敏。「沈黙のパレード」柴咲コウ。加えて、門脇麦、高良健吾、柳葉敏郎など、邦画界の重役が織り成す物語。のんに関しては、「さかなのこ」が凄すぎて本作は見劣りしてしまいましたけど、大島優子も門脇麦も寺島しのぶも、この上ない最高の演技で盛り上げてくれています。日本映画好きは必見!個人的には、寺島しのぶと永瀬正敏の元夫婦感漂うタッグが好きすぎました笑
1つの宿の中で起こるオムニバス的な要素もあり、主人公たちと関わりを持つ人物の掘り下げ方がお見事で、すごく見入ってしまいます。雰囲気を崩さない程度でのコミカル要素も入っていて飽きないし、ストーリー展開の強弱がとても上手くて、心温まったり、涙が込み上げてきたり、色んな感情が溢れ出る贅沢な作品。少しファンタジーが過ぎて、「うっ」となってしまう場面があり、ラスト際はあまりしっくり来なかったのだけど、エンドロールの玉置浩二の歌声で震えが止まらず、結果として大満足の映画でした!
ちょっと長くて見ることから目を背けてしまいますけど、中身は非常に質の高いもので、今の時代に見たい良き作品です。見て後悔無しの、考え深いものですので、ぜひ。大切なものが、もっと大切なものとなるはすです。あぁ、あとタイトルでも書いてますけど、山谷花純が大島優子に似すぎてビックリ。ごっちゃになってしまうくらい笑
> > 序盤はかなり微妙で、空回り&置いてけぼり状態。
お察しします。「スカイハイ」を観ている知っているが前提の序盤だと自分も思います。
> 予告からは判断できないストーリーがこの映画には隠されており重くなるというよりも段々と深化していきます。それが本当に見応えあって、考えさせられて、ジーンとくる。「生きる」ということを深ーく考え抜いて作られた、素晴らしい作品です
なんと上手い表現!そうですよね、そうなんですよね。あの実際の悲劇に対して、こんなにも鎮魂の気持ちになったことはありませんでした。やはりわかっているようなフリをしていても、しょせん俺の中では「向こうの方で起きたこと」を越えてなかったんだと突きつけられました。そういう厳しい映画だったな、という記憶と、(そういう気持ちを引き出してくれた)のんさんの天真爛漫な演技7が、深く記憶に刻み付けられた映画でした。
おまけ
(「さかなのこ」のがすごいというご意見にもまた同感です。あれはすごい。「のん」というタイトルでもいいくらい(笑))