「お逝きなさい、お行きなさい、お生きなさい・・・」天間荘の三姉妹 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
お逝きなさい、お行きなさい、お生きなさい・・・
ひとはみな一人では生きてゆけないものだから・・・孤独に生きていた小川たまえ(のん)もその後にやってきた芦沢優那(山谷花純:宮城県出身))も孤独な人生を歩んでいたところを事故、自殺によって天界と地上の間にある天間荘へとやってきた。天界に旅立つか現世に戻って生きるのかの決断を迫られる場所。
『スカイハイ』のスピンオフ版だということを知らずに鑑賞しましたが、監督も劇場版を撮った北村龍平だとわかり驚き。知らなかったのに、玉置浩二と綾香のデュエット曲が脳内に刷り込まれてしまい、観なきゃいけないという使命感さえ湧いてしまった。宮城県が舞台となっていること、カメオ的な豪華なキャスティングでも中村雅俊(宮城)、柳葉敏郎(秋田)、高橋ジョージ(宮城)、つのだ☆ひろ(福島)などが固めていた。ミュージシャン繋がりで大友康平が出演してれば最高!
『あずみ』や『ゴジラ FINAL WARS』ですっかりファンになってしまった北村監督。もちろん『劇場版スカイハイ』も監督していたのですが、最近メジャー作品でお目にかからなくなり心配していました。『劇場版スカイハイ』でもアクションは多かったし、北村作品らしかったのに、どうしたことかこの静かな展開。あのよ~と文句もつけたくくなるほど。
まぁ、笑えるところもあるにはあるけど、こんな美しい作品では笑いづらい。のぞみ・かなえ・たまえというネーミングもそうだけど、どこまでやるの?!といった怒濤の展開が欲しいのだ。勝手に笑ってしまったのは、『あまちゃん』ののんが主演なだけに母親役の小泉今日子が出てくれば最高だったのに、「来てよタクシーつかまえて~♪」と、出てきたのが永瀬正敏(写真家がよく似合う)。二人とも好きな俳優だったのに・・・逃げちゃったのか。そしてのんちゃんは文字通り「三途の川のマーメイド」「友だち少ないマーメイド」に・・・妄想です。あ~「潮騒のメモリー」を聴きたくなった!
ネタバレになりますが、三ツ瀬の住人はみなあの世へ行けない状態。東日本大震災で亡くなった人たちがあの世へ行けずに時間の止まった世界に住んでいたのだ。劇中でも述べられていたかもしれないけど、ホラー映画じゃない!これはヒューマン・ファンタジー映画なのです。前向きに生きて、死者を尊ぶこと。この世は生きにくいけど、美しき世界なのだ。序盤はゆるく、宗教映画のような雰囲気さえ感じられたけど、三ツ瀬の出来事がわかると泣くしかない!あーもう、また「Beautiful World」聴きたくなった♪よし、カラオケで歌うぞ!(誰と?)
kossyさん こちらこそありがとうございます。私自身も昭和の3姉妹で育ったものですから 笑
のぞみ、かなえ、たまえの立ち位置は興味深かったです。すてきな姉妹でしたね。
> 『スカイハイ』のスピンオフ版
そこ、凄いですよね。怨みの門で案内しきれないほどの大量の死。そしてそのほとんどが死を受け入れられない人々。その鎮魂がなされるまでは、まるで生前かのように街は続き、そこにやってきた主人公が自分も含めて変えていく。いや、マンガ家って、どれだけ頭いいねん!!どうやって思いつくの?!
kossyさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
東関東大震災と深く繋がっている作品だと観賞中に知ったのですが、乱暴な台詞の多い大女将が心から伝えたかった事、震災で思いもよらず命を失ってしまった多くの人々の思いなど、心に深く刺さる作品でした。
「 生きていくことの大切さ 」、そんな強いメッセージを私も受け取りました。