劇場公開日 2022年6月17日

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「事実は小説よりナントカ」ナワリヌイ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0事実は小説よりナントカ

2022年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

21世紀のある国のお話なんですよね。そして事実なんですよね。現在進行形なんですよね。いやぁ、映画以上に映画のような恐ろしい展開と現在を見せてくれます。そして・・・ナワリヌイ氏がどうにかしようとしている国はとその中枢の上層部連中は旧ソ連のままなんだと痛感しました。「DAU」で見た世界ですよ。恐ろしい。

いやぁ、こんな映像よくぞ残していましたね。本国ではもちろん上映されないでしょうし、今のウクライナ侵攻の手口と同じで、嘘ついて自身を肯定するし、情報も操作するから自国民達に真実が届くことはないのでしょうね。作品内で出てきた(国営放送なのかなぁ?)テレビの司会者やコメンテーターたちが思いっきり国寄りの発言していたのはびっくりしました。
ぜひ、元KGBの手口を本作で見てほしいです。

こんなことがあったんです・・・という作り方ではなく、事件の追求を含めナワリヌイ氏の密着ドキュメント作品なので臨場感が半端ないです。彼の日常の中にある「対政府(対プーチンか?)」がエグすぎます。独裁政府に楯突くってこういうことかって、嫌ってほど見せられます。そして、どんどんどんどんロシアという国に不信という気持ちだけが膨らんでいくのです。

新しいようで旧体制然としたロシア。サイバー的に足跡残しまくる関係者連中然り、その手法を選択する国の上層部然り、今どき何やってるだ?感がハンパないです。だからこそ、国も進歩できないんだろうなぁ、なんて思っちゃったりします。あぁ、最高権力者のために行政も軍も動いているんだろうなぁ・・・恐ろしさしかないです。

ナワリヌイ氏は現在投獄されています。彼に次ぐ誰かが沢山出てこないとどうしようもできないのでしょうね。国民がいくら賛同したところで、応援したところで、三権が牛耳られてるこの国ではどうしようもない。国内部に賛同者が出てこない限りは厳しい。でも、いつかは善人が悪人を凌駕してほしいと願うし、そうあるべきだと思います。

本作ラストのナワリヌイ氏の言葉が胸に刺さりました。
「諦めるな〜」で始まる言葉です。
(ネタバレなので書きません。)

ナワリヌイ氏を釈放できる「何か」がないかぎり、ロシアはこのまんまだろうなぁ。

バリカタ