「【"贖罪の旅、そして再びの出逢い・・。"郷愁に満ちたロードムービーと、色鮮やかに色彩が変化するNYとタイの観光地の時間軸を巧みにコントロールした対比も見事な、心に沁みる逸品である。】」プアン 友だちと呼ばせて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"贖罪の旅、そして再びの出逢い・・。"郷愁に満ちたロードムービーと、色鮮やかに色彩が変化するNYとタイの観光地の時間軸を巧みにコントロールした対比も見事な、心に沁みる逸品である。】
◼️ニューヨークで、バーを営む資産家の息子ボスの元に白血病で、余命宣告を受けた友人のウードから電話が入る。
ウードの願いは元カノ三人(アリス・ヌーナー・ルン)を訪ねる事だった。
だが、彼の真の願いは別にあった・・。
◆感想
・今作の時間軸を行き来しつつの、倒叙形式の脚本が秀逸である。
観ている側は、”郷愁のロードムービーかな?"と思っている内に、ボスとウードが友になった経緯を知り、更にボスの抱える哀しみと、ウードが抱えるボスに対する贖罪の念の理由を知って行くのである。
・BGMのカセットテープが、A面(ウード面)からB面(ボス面)に切り替わるシーンも上手い。(ついでに言うと、アリス、ヌーナー、ルンとカセットは変わって行くのである。ウードは、温かく迎えられたり、引っ叩かれたり、居留守を使われたり・・。)
ー そして、その切り替わりと共に、ボスとウードを結びつけたバーテンダーを目指すプリムの存在が明らかになっていくのである。
裕福な家に生まれながらも、居場所のないボス。
そんな彼に未成年と知りつつ、一杯だけプリムが作ったカクテル。
そして、二人は恋に落ちていく・・。-
・NYで働くウードが積年の想いをプリムに告白するシーン。だが、プリムはボスへの想いが忘れられず・・。
ー このシーンのウードの表情が、実に切ないのである。そして、ウードがボスについてしまった”嘘”。”彼は、白人と共にこの地を去ったよ・・。”ー
・更に言えば、年代物のBMWに乗った、長閑なタイのロードムービーシーンと大都会ニューヨークのカラフルな色彩のシーンの対比も見事である。
ー これは、資料によればプーンピリヤ監督の”色の魔術師”と呼ばれている、巨匠ウォン・カーウァイに対するリスペクトだそうである。-
<原題の"One for the Road"が粋な作品である。
ウードの”嘘”により、一度は離れ離れになってしまったボスとプリムが、ウードの魂魄の導きにより、プリムがオープンなバーを構えるタイの海岸で再会するラストシーンの爽やかさは、忘れ難い作品でもある。>
私の拙いレビューをお褒め頂いて大変恐縮です。前に削除されたレビュアーの方もそうなのですが、やはり内容的に政権批判が込められたものが多かったのが削除原因かなと思ってます。
NOBUさんのようなトップレビュアーの方が削除されることはないと思います。されたらそれこそ問題になるでしょう。
お返事ありがとうございます。以前はレプリカントでレビューしてました。前にもお気に入りのレビュアーの方が削除されてしまったことがありましたが、まさか自分も同じ目にあうとは(笑)。
レビュー自体はマイページに残ってます。
ご無沙汰してます。以前お気に入りの韓国映画を紹介させてもらった者です。今までの私のレビュー、コメントは全て削除されてしまったので、いまは別の名前でレビューしてます。
また、よろしくお願いします。
片思であれ、両思いであれ、どちらともプリムに対する思いが伝わってきて、すごく幸せな気持ちになりました。ミニシアターはこういう質の高い作品で勝負して欲しいと思います。『プアン 友だちと呼ばせて』は、映画ファンではなさそうな若い客層が多かったので、なんかうれしいです。