プアン 友だちと呼ばせて
劇場公開日:2022年8月5日
解説
「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」で注目を集めたタイのバズ・プーンピリヤ監督が、余命宣告を受けた男と親友の旅を描いた人間ドラマ。
ニューヨークでバーを経営するタイ出身のボスは、バンコクで暮らす友人ウードから数年ぶりに電話を受ける。ウードは白血病で余命宣告を受けており、ボスに最後の願いを聞いて欲しいと話す。バンコクへ駆けつけたボスが頼まれたのは、ウードが元恋人たちを訪ねる旅の運転手だった。カーステレオから流れる思い出の曲が、かつて2人が親友だった頃の記憶をよみがえらせていく。そして旅が終わりに近づいた時、ウードはボスにある秘密を打ち明ける。
「恋する惑星」などの名匠ウォン・カーウァイがプロデュースを手がけた。2021年サンダンス映画祭のワールドシネマドラマティック部門で審査員特別賞を受賞。
2021年製作/128分/PG12/タイ
原題:One for the Road
配給:ギャガ
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疎遠だった親友と車で旅に出る。カーステレオからはひと昔前に流行った音楽と、初老DJのちょっと気恥ずかしくなるくらい真っ直ぐなメッセージーー。このシチュエーションを創り出した時点で、本作が世界中のあらゆる観客にとってノスタルジーをもたらす名作になるのは保証されたようなもの。「昔の恋人に会いにいく」という旅の目的からは、つい軽くて甘い映画を想像してしまうが、本作は早々にその域を飛び越え、重厚さ、そして人生のほろ苦さをあらわにする。一つ特徴的なのは、全てにおいてまず行動が描かれ、その後、経緯や心境が明かされるということ。一本調子、一直線ではなく、どこか展開図を開くような構造を持っているというべきか。過去と現在とで印象を変え、人間の美しい部分だけでなく負の部分をも覗かせる主演二人の存在感は見応えあり。彼らの人間としての変移や成長が、やがて美しい風景と深く相まって、本作を実に忘れ難い映画にしている。
2022年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
バズ・プーンピリヤ監督の前作、2018年日本公開の「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」は、当サイトの新作評論に寄稿したこともあってかなり思い入れのある映画だった。最新作を楽しみにまっていたのだが、ウォン・カーウァイがプロデュースを担ったとのことで、恋愛要素、感傷ムードが増した一方、監督の持ち味であるスタイリッシュなサスペンス演出や一風変わった映像手法が控えめになってしまったか。
NYで暮らす主人公ボスが、余命宣告を受けた旧友ウードのためにタイに帰国し、ウードが元恋人たちを訪ねる旅の運転手を務めることになる。元カノを歴訪?する話といえばまずジョン・キューザック主演の「ハイ・フィデリティ」が思い出されるし、若干状況は違えど今カノ5人(5股の相手)と今生の別れを告げる伊坂幸太郎原作の「バイバイ、ブラックバード」(映画ではなく連続ドラマだが)にも感傷的な雰囲気が近い。
ウードが最後に会いに行く女性が、実はボスの過去とも関わっていて、というところから、尺としてはかなりアンバランスな約30分もの回想パートになるわけだが、このあたりはプーンピリヤ監督らしい意外な展開で楽しませてくれる。それなりに雰囲気のあるバディもののロードムービーに仕上がってはいるものの、この監督はもっとクセの強いサスペンスが得意な気がするのだが……次回作にまた期待しよう。
2023年3月13日
Androidアプリから投稿
もちろん、今回の旅行のウードの本当の目的は、ボスに対する告解であることには疑いがありません。
(たから、まずはどうでも良い元カノから会い始めた。)
もちろん、墓場まで持っていくという選択肢もあったのでしょうけれども、それではボスの真意を知ることはできない。
ウードとしては、相当な覚悟を決めての行動だったのでしょう。
ボスに対する告解を終えて、「これでやっと化学療法を受ける決心がついた」「次の旅行では僕が運転手を務める」という意味のセリフがウードにあったと思いますが…。
しかし、毛髪がすっかりなくなってしまい、いつもキャップを被っていたのですから、ウードはすでに化学療法を受けていること、そしてそれが利いていないことは、明らかです。
「次」がないことは、ウード自身がよく知っていたことと思います。
そんな中での告解は、ボスを真の友人と信じてのことだったのでしょう。
本作の邦題は、万一の場合にもボスを真の友人と呼ばせてほしいという、ウードの切ない心中だったのだと受け止めました。評論子は。
2022年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
やはり「恋する惑星」級のインパクトは得られず。
それとも、期待する方が無茶なのか...
そもそも監督は別の人だし。
ただ映画としては悪くはなかったです。