「滅びの美学?このアニメはいささかアナクロだね。」神々の山嶺(いただき) マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
滅びの美学?このアニメはいささかアナクロだね。
文太郎は加藤文太郎さん。
長谷常雄は長谷川恒男さん。
鬼ズラの冬季単独登頂って言えば、長谷川恒男さんたからね。また、アルプス三大北壁冬季単独は長谷川恒男さん。
但し、長谷川恒男さんはエベレスト(その頃はチョモランマ)では亡くなっていないはずだ。
原作は日本の小説と漫画なんだ!フランスなのに日本の事よく知ってるなと思った。長谷川恒男さんとか、今の若者は知らないよね。
このアニメの中でも話しているが、1953年にエベレストに登頂してしまうと、ヨーロッパの登山哲学ががらりと変わった。それで考えられたのがアルパインクライミング(名称は違うかもしれない)と言うものだ。このアニメでそれを語っている。ある意味、目標が達成されたあとの、作られた偉業って事だ。単独とか冬季とか無酸素とかバリエーションルートとか、所謂、屁理屈がいっぱい付く。まぁ、自力で制覇することには意義はあるのだが、そのあとに、国家の威信などと言う物がついて回る事になる。例えば、世界の8000メートル級の全山を制覇した者は、日本人よりも韓国人の方が多い。つまり、韓国の方が登山大国って言えるかもしれない。不思議な話だが、それを聞くと残念な気持ちになるよね。また、日本のお偉い方々もそれには触れたくない様だ。
だからこそ、こう言った偉業は、個人の力と思うべきで、そういう意味で長谷川恒男さんや植村直己さんは凄い人だと思う。つまり、カッコいいのである。
僕も山には良く登ったが、カッコ付けてよく言っていた…『何故山へ登るの?』『気持ちいいから』あっ、僕の登る山は低山ハイクだよー。冬季登山とか岩登りって、単独では相当の覚悟が必要で、当時から社会人や大学の団体に属する必要があり、悪い意味で『学閥』があった。だから、加藤文太郎さんをこよなく尊敬して、単独でハイキングを楽しんだ。言葉を変えれば、ゆるキャンの走り。でも、気持ち良かった。悔いはない。
ヒラリーとテンジンがマロニーと比較されるが、アムンセンに対するスコットと同じだと思う。死んでしまったのだから、ヒラリー卿がヨーロッパで最初にサガルマータに登った人である。そして、ヨーロッパ人のフランスの人達は、マロニーが登ったか登らなかったか?なんて、たいして関心があるわけでない。脱亜入欧の日本人たから、気になるのだ。
追記 アルパインクライミング(名称は違うかも)の正式なルールは知らないが、登頂しても生きて下山できないと、登頂として認められるのかなぁ?