「潔く、そして深い」神々の山嶺(いただき) REXさんの映画レビュー(感想・評価)
潔く、そして深い
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谷口ジローの漫画は未読なのでどれほど漫画に忠実なのかはわからないが、原作と比較すると、女性がらみのエピソードを一切廃したことで陳腐になる危険を回避し、アニメながらも潔くシンプルで深みがある作品になったと思う。
マロリー、長谷川恒夫など実在の人物を絡ませ、羽生がそこに生きた人間だと錯覚させる。
マロリーも羽生も深町も、登頂できたかどうかは、わからない。しかし劇中の台詞のように、それはどちらでもいいこと。たとえ登頂していたとしてもしていなくても、彼らはきっと永遠に頂きに挑戦し続けるだろうから。
それは突き詰めていくと死に向かうわけだが、挑戦をやめたときは精神の死を意味するわけで、いずれにしても同じ道に向かっていることだといえるだろう。山に魅せられた者の宿命を、これだけ端的に、哲学的に描いた作品はないのではないか。
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