タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。のレビュー・感想・評価
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意図不明
乗った車に爆弾を仕掛けられた家族、運命や如何にというサスペンス・スリラー。
この手の映画はキアヌ・リーブスの「スピード(1994)」をはじめスペインの「暴走車 ランナウェイ・カー(2015)」やリメイクの「タイムリミット(2018)」、「バッド・デイ・ドライブ(2023)」など数多いので2番煎じ、3番煎じの感は拭えません。起爆もオーソドックスなエンジン始動、時限装置、スピード感知などですが体重と地雷を組み合わせて降りたりできないもの、「トランスポーター3(2008)」では車から離れると爆発するブレスレットなどバリエーションは多いですね。本作は最初は時限装置、それに体重検知の地雷型の2段仕込み、子供を巻き添えと言う非道な怖がらせ方の手口もB級スリラーの常套手段ですね。
撮影は全編、地下駐車場、爆弾を仕掛けられた車周辺だけですからさぞかし予算が無かったのでしょうかね。わざわざ起爆迄の残り時間をダッシュボードに大きく表示する犯人の意図は単に爆殺することでなく、爆弾処理の専門家である主人公への嫌がらせ復讐にあることが伺えます。
(ネタバレ)
案の定、復讐でしたが動機がウクライナの小学校周辺の地雷除去、テロリストから学校を守るための地雷を主人公たちが撤去してしまったので学校が襲われたと言った学校関係者の逆恨みらしいが納得できません。よかれと思った地雷除去に捻ったクレームですよね、おまけに最後のクレジットで「ウクライナ、ドンバスでは750以上の学校が犠牲に、地雷除去エリアは4%、地域では2百万人が暮らす。世界では1時間に1人地雷による犠牲者が出ており、その4人に1人は子供だ。」というスーパー。
妙な展開、動機づけをしてしまったので、やっぱり地雷除去は必要という言い訳かしら・・。爆弾処理の専門家と設定したくせに、余りにも手こずり過ぎ、ドキドキはしたものの最後まで意図不明のB級スリラーでした。
今、観るから更に重い
今のウクライナの惨状も、ニュースで見る度に辛いものだが、それ以前からのドネツク紛争でも悲劇が。改めて思い知らされる映画。
場所はフランス。ある家族の車に仕掛けられた爆弾。仕掛けられたのはフランスの地雷除去を行う民間会社の女性社員の車。仕掛けたのはその社員達によって地雷が除去されたためにロシア軍に侵攻されて子供達を殺された親。
車に仕掛けられた爆弾解除の数時間の出来事の中に、紛争でのウクライナの悲劇や地雷撤去を行う人々の大変さ、家族の苦悩など、ぎっしり盛り込まれていて、なかなか見応えのある作品。
ただ、体重の関係で子供1人しか助けられない状況で、ゾラの父親に電話して、自分の娘のゾラか、私の息子のノラかどちらを助ける?そんな選択をさせるなんてちょっと酷すぎる。しかもそんな話、子供達に聞かせたらまずいでしょ。そりゃ、ノラ傷つきますよ。最後に車に残ろうとしたノアを思うと可哀想でした。結局家族は助かったので良かったけれど、犠牲になった同僚は気の毒でした。
ハイコンセプトの低予算ムービー 期待の分だけガッカリが大きい
おそらく低予算の限りを尽くして、制作されたであろうサスペンス映画。
冒頭に、パリ市街らしき空撮が数分間映され、タイトルバックに移行するが、このシーンは全く必要のないショットだ。全カットでも、内容に何の支障もない。しいて言えば、これで重厚感が生まれ、少々スケールのデカいテロ行為が起きても、説得力のある映像を想像させられる。
映画を見る以上、そのくらいの爆破シーンを期待するのは当たり前だろう。
結論から言うと、この映画にそんな派手なシーンは一つもない。
それなのに、冒頭の空撮が、嫌でもその期待をあおる。イマドキ、この程度の空撮なら、もしかしたらドローンを使えば低予算で撮影可能なのかもしれない。それにしても、この始まりがなければ、もっと他に使える予算があったとも思うのだが。例えば、爆発物処理班が出動して、避難する近隣の住民の画とか、マスコミやネットニュースでひと騒動起きている様子をインサートするとか。
出演する俳優の数も10人に満たない。低予算ならではの華のない俳優ばかりというわけでは無く、いちおう整っている。子役の演技もそつがない。
なによりストーリーがいいだけに、残念でならない出来栄えだ。迫力が圧倒的に足りてない。重厚な人間ドラマを丁寧に描き込んである。
最後に、ウクライナで起きていることを、フランスで知らしめる目的もあって、作られたようだ。
と言っても直近ではなく、3・4年前の価値観のようで、汚職にまみれたウクライナ政府と、それを支援する西側諸国のせいで、罪のない地元住民たちが犠牲になっているという訴えかけだ。それが理由でわが子を失った母親が、社会に訴えかけるために起こした犯罪のようだ。
それにしては、犯行声明もないし、何の要求もない。どうしてこの親子が狙われたのかさえ、定かでない。地雷の撤去を専門に、崇高な人助けを遂行するNPOのようなスペシャリストだけに、爆発物の仕掛けられた自動車にすぐ気づき、爆発する前に適切な行動をとれた。そのことがきっかけで、ややこしい関係性が紐解かれていく。そのスペシャリストのウクライナでの行動が、ひとりの母親を深く傷つけたのだ。
だったら、もっと強いメッセージを犯行声明に込めて、SNSに発信するくらいのことはするだろう。
映画の最後にインサートされるテロップ。
4人に1人が争いで命を落としている。その4分の1は子供だ。
というメッセージも、取ってつけたような感じがする。非常に残念だ。もっとよく出来ただろうに。
2022.7.26
犯人捜しは必要なかったかも・・・
車に爆弾を仕掛けられ、閉じ込められた主人公達の苦闘を描く物語。
ハリウッド的に言えば、B級のシチュエーションスリラーですね。
マンションの駐車場・・・という限られた空間の中だけで物語が進行。
「爆弾の解除」をメインストーリーに、主人公の母子関係を絡めて深みを増します。
特に、終盤の母子関係の絡め方は上手だったと思います。
面白い設定ですし、展開は悪くはないと思いますが、それでも物足りなさを強く感じます。
例えば、「爆弾がある」と知ったあとの子供たちの感情表現。「死の恐怖を実感出来ない」という設定なのでしょうか?余りにも落ち着いていて、感情移入が難しくなります。
例えば、警察の係り方。警察が現地を封鎖して、マスコミが周辺から報道して・・・ってシーンがあれば、もっとしっかりとした映画になったように思います。
主人公チームを絡めたかったのかもしれませんが、主人公が「警察に知らせずにイゴールに」と判断した理由が不明確で、これも話に入って行き難くなります。しかも、そのイゴールはトラウマを抱えている・・・という設定がついてくるのですから、息子の命がかかっている状態では考え難い展開でした。
「犯人捜し」の部分でも、とても雑になった印象ですし、その点もマイナス。話を広げずに、爆弾処理だけに特化した方が、映画として面白かったように感じました。
私的評価は2.5にしました。
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