劇場公開日 2022年8月5日

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「【”モグラびと”としてNYの地下に暮らす、親娘の物語。行政に地下から追い出された母娘の悲痛な姿。娘に”羽”を与えるために、ラストに母が下した決断が、心に沁みる作品である。】」きっと地上には満天の星 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”モグラびと”としてNYの地下に暮らす、親娘の物語。行政に地下から追い出された母娘の悲痛な姿。娘に”羽”を与えるために、ラストに母が下した決断が、心に沁みる作品である。】

2022年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー ジャーナリスト、ジェニファー・トスの、地下コミュニティー潜入記「もぐらびと ニューヨーク地下製作者たち」に触発されたセリーヌ・ヘルドが、大学時代からの友人ローガン・ジョージと共同制作した作品。
 尚、ヘルドは地下の生活しか知らない5歳の女の子、リトルの母ニッキーも演じている。-

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

・哀切な親娘愛を描いた物語である。

・ヘルドは、辛い日々の中、リトルの成長だけが生き甲斐で、お金を稼ぐために時々、地上に出て身体を売っている。
そして、クスリ依存症にも・・。
ー けれど、ヘルドはリトルに”背中に羽が生えたら、地上に出られるんだよ‥”と言い聞かせながら、彼女を大切に育てている。
  ”背中に羽が生える”の意味は、地上でも暮らせる大人になるという意味だろう。

・違法占拠を市から咎められ、地上に出たリトルと、ヘルド。
ー だが、地上は喧噪、多くの人に溢れ、リトルは戸惑う。ヘルドの”仕事場”の窓からは、”死んだ星”しか見えない・・。-

・そんなある日、リトルと、ヘルドは地下鉄に乗るが、ふとしたタイミングで離ればなれになってしまう。必死にリトルを探すヘルドの姿。
ー ヘルドが、必死に娘を探す姿と、それを追うカメラワークが臨場感を高めている。-

<そして、ある駅でヘルドは座席の下に隠れているリトルの脚を見つける。そのまま、再会と思いきや、ヘルドは駅員に”女の子が席の下にいる”と告げ、涙を流しながらその場を去る。
 ヘルドは、リトルに”自分の様になってもらいたくはない・・。”という断腸の思いで、リトルに”羽”を与えるために、別れたのである。
 ヘルドの決断が心に沁みた作品である。>

<2022年9月25日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU