なまずのレビュー・感想・評価
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「人権」のお題で作られた不思議系青春ドラマ。これが商業デビュー作のイ・オクソプ監督はKY、それとも天才?
とある病院を舞台に、レントゲン室での恋人との行為が写ったX線写真を流出させたとおぼしき放射線技師、無職の恋人ソンウォンと同棲している看護師ユニョン、病院長の娘で人間不信のイ副院長とゆるやかに視点が移るが、穏やかな女声のナレーション(のちに病室の水槽で飼われているなまずの心の声だと判明)による情報も相まって、ほどなくユニョンとソンウォンを中心とする物語だとわかってくる。大病院からユニョンとイ副院長を除き人が消えてしまったり、韓国各地の地表に巨大な陥没穴=シンクホールが発生したりといった不条理な事象をはさみつつも、登場人物らが身近な人を疑うことで派生する出来事や、問題に直面しながらも各自のやり方で対処しようとする姿が描かれ、オフビートとまではいかないがちょっと変わったリズムと、遊び心とブラックな面が絶妙にブレンドされたストーリーに引き込まれてしまう。
鑑賞後にプレス資料を読んで驚いたのだが、2010年代にいくつかの短編映画で注目されていたイ・オクソプ監督が、韓国の国家人権委員会から、人権に関する「重みと軽快さを併せ持つ映画」「青年(若者)」というお題で製作を依頼されたというのだ。言われてみれば確かに、人を疑うことから生じる苦悩や、仕事に就けないつらさ、恋人への暴力など、人権と結び付けて考えられなくもない要素がちりばめられてはいる。もし日本の監督が同じようなお題を与えられたら、真面目に受け止めてもっとシリアスな内容か、啓発効果が見込めるわかりやすい教訓を含む映画を作りそうな気がするが、イ・オクソプは空気を読まないのか、それとも常人離れした発想力を持つ天才なのか。
余談だが、ユニョン役のイ・ジュヨン、主演作「野球少女」を鑑賞した際は感じなかったのだが、本作ではあいみょんに顔が似ているとずっと思いながら観ていた。ググってみると、やはり「イ・ジュヨンとあいみょんは似ている説」を提唱している人はある程度いるようだ。
ユニークな語り口と発想力の虜になる!
冒頭のレントゲン室で始まる不可思議な描写から鮮烈だ。ナレーションが繰り出す柔らかな口調とその背後で展開する突飛な映像の対比が面白くて、ものの数分でこの映画の地上数センチ浮かび上がったかのような浮遊感の虜になる。人のいなくなった病院内でヒロインを当てどなくさまよわせ、かと思えば、なまずの跳躍を機に街には人知を超えた穴(シンクホール)が空き始めるなど、本当にこの映画は何がどう転んでいくのかわからない。視点や意識もあちこちへ移り変わってストーリーは線形には進まないが、通底する主題はやはりあの言葉、「穴に落ちた時は掘り進めるのではなく、そこから抜け出すべし」。一つのことを気にしだすと、その不安や悩みが底無し沼のように深まってどうしようもなくなっていく。そんな誰の身にもひとつや二つ覚えのある心象模様を、時として観客をポカンと置き去りにしながらも、ユニークに織りなしたイ・オクソプ監督の今後が楽しみだ。
なんか惜しい
ソウル郊外の病院で、セックス中のX線写真が流出し、心当たりのある看護師のユニョンは、自分と恋人ソンウォンがやってた所を撮られたものと思った。イ副院長は写真をユニョンと思い、彼女に自宅待機を命じた。その頃、韓国各地で巨大な穴が現れ、無職だったソンウォンは穴埋め工事の仕事を得たが、仕事中に大切な指輪を紛失してしまった。ソンウォンは足の指に指輪をしてた同僚を疑った。その後、ソンウォンとユニョンは別れ・・・てな話。
チ○コはX線で写るのか?とまず疑問に思ったが、そんな事どうでもよいくらい、なんのこっちゃが続く。
足の指は手より細いでしょとか、瞬時になんな大穴があちこちであくのかとか、まぁ、どうでも良いような内容が続き、全く入り込めなかった。
ブラックジョークを含んでる様な気もするが、よくわからず、なまずの意味も日本と一緒なのかもわからず、面白く無かった。
もう少し入り込めれば面白くなりそうな感じがするので惜しい気がした。
独特な2人乗り。
韓国発のあくまでお洒落な世界観にこだわったであろう映画。ヴィジュアルや不思議な感覚を楽しむのであってストーリーに期待してはいけない。
同棲中の男女の変な妄想話で、短編集みたいな構成。まぁまぁ下品なつかみから始まって、どこから面白くなるのかと思っていたらそのまま終わってしまった。
なんなんそのオチ。妄想なん?リアルなん?何がどうなってそんなことになったん?もうポカーンでした。
謎だけ増やして放置していくスタイル
2022年劇場鑑賞199本目。
レントゲン室でのカップルを撮影して貼り出した犯人、大量欠勤事件、謎の巨大穴、指輪紛失など数々の謎が出てきますが最後まで真相が分かる事は一つもなく、正直答えを用意しなければどれだけでも不思議な事は起こせるので謎が解けるカタルシスは一切なくストレスだけ溜まる映画でした。
ヒロイン30歳、同棲相手40歳
見えんな、2人ともw
韓国のシュールレアリズムです。ベイビー・ブローカーに引き続きイ・ジュヨンです。モガディッシュに引き続きク・ギョファンです。結局のところ何の話なのかが、よく分からないのが、喜怒哀楽のデフォルメ排除した時の韓国の特徴の、まさにパターン通りやがなw
単発エピソードと局面の面白さはあるものの、何が言いたかったのかサッパリ分からなかったので、考えるのは止めにしたw
あ。
それかw
考えるな。
兎に角、這い出せと?
で、何でナマズなんw
韓国版日常的恋愛あるある
こんな恋愛話は日本でも、どこにでも、転がっていると思うが、それになまずとシンクホールを絡めてポップなストーリーとなっているのが興味深かった。
話のテンポがスピード感に欠ける、のっそり、ゆったり、ゆっくり展開するので寝落ちしそうになる。会話も弾むわけじゃないのでこのシチュエーションを楽しめない人には最低な映画の一本になる可能性あり。
疑惑が確信に変わる瞬間
舞台はマリアの愛病院。
レントゲン室で誰かが愛を育んでいる最中、突然レントゲンのボタンが押される。
情事を捉えたレントゲン写真は病院中に流出し、院内では犯人探しが始まった。
勿論、撮った方ではなく撮られた方。
その写真の容疑者として浮上した看護師のユニョン、恋人のソンウォン、副院長のイ、そしてそれらを見ているなまずの奇妙な日常が始まる。
予告でかなり変な映画だろうと目星をつけていったら、想像通りかなり異色な映画だった。
正直物凄く面白い映画かと言われればそうでもないけれど、決して駄作ではないと思う。
まあ好みはかなり分かれそうな印象。
少なくとも自分は嫌いじゃない、いや寧ろもう一回観たいくらいです。
18禁レントゲン写真、病院関係者の失踪、謎のシンクホール。
現実にはほとんど起きないが全く起きないとも言い切れない不思議な出来事が続いていく。
変な日常の連続を見せられ続けると次第に見えてくるこの映画の明確なテーマ「信じるか疑うか」。
なまずが暴れると地震が起こるという言い伝えは韓国でもあるらしい。
この言い伝えは科学的には証明されておらず、あくまでも噂に過ぎないが、実例は確かにある。
この映画は地震ではなかったが地殻変動が起きシンクホールが誕生した(そしてソンウォンが職を得た)。
偶然とも必然とも取れそうな絶妙なラインに乗せてくるのが上手い。
そういった意味で、なまずは信じるか疑うかにおいての中立的な存在であり、この映画の進行役としては適任である。
ただ、せっかくなまずを全ての傍観者的立ち位置に置いたならば、もう少し効果的になまずを使えたのではないかとも思う。
なまずというタイトルの映画にして圧倒的になまずの画が少ないし、水槽に入れられて飛び跳ねることしかできないなまずが全ての傍観者になるのはやや無理がある。
哲学的な問いだが、信じた者は得をして疑った者は損をするというように信じることが重視されており、マリアの愛病院からも分かる通り若干宗教的観念も見られる。
映画の構造的にもオムニバス形式を感じさせつつも連続した物語になっていてなかなか斬新だった。
画面で繰り広げられる出来事に隠されたメッセージを読み解きながら鑑賞でき、面白いものを観させてもらったなという印象。
先日の『ベイビー・ブローカー』ではあまり感じなかったが、主演のイ・ジュヨンがこんなに魅力的な役者だったとは…
梨泰院クラスの期待値だけがどんどん上がっていく…
なんとなく撮る。
2018年。イ・オクソプ監督。病院で働く看護師の女性が職場や彼氏との関係について抱く違和感やちょっとした感慨を救い上げてまとめた映画。「穴に落ちる」ことが比喩的に繰り返されているテーマになっていて、最後は本当に穴に落ちる。
内容は可もなく不可もなくの繊細な感覚を描いているのだが、人物や建物をどう撮るかについての定見がまるでなく、なんとなく撮っているのがまるわかりで開始5分でなえてしまった。せめて「なまず」の撮り方を工夫してあげてほしかった。
導入で掴めたら観れるはず、韓国映画の強みは感じる
久々に寝たり起きたりした作品。分からなかったこともあるけど、思っていたより掴みにくくてなんだか乗れず…。なまずだから…?笑
実にポップでチャーミング。なのは分かるが、とにかく凄いパワフル。チャプターのタイトルもよくわからないほど個性的で、そのパッションは評価できる。ただ、終盤は凝らして見ていたが、思った以上に残酷な感じがしてならなかった。観ている感じは台湾映画の『恋の病』に似ているかも。振り回されるような日常を俯瞰した視点から見せていく感じや、その性格や過去を掘り下げながら独創的な空気を作っていく様は上手い。
寝ちゃったのでこの辺で。また機会があれば観てみようかな。
ちょっと眠い
イ・ジュヨンを観に行ったんだけど、他の俳優さんも良かったな。
イ・ジュヨンのスカート姿を初めて観た気がして良かったな。
ストーリーはあるようなないような。シュール展開の映画だね。
映画館にある記事に『新感覚』ってあったけど、数十年前はシュール展開が流行ってた気がする。新しいと思うものは、一周前のものなのかと思ったな。
ジャンルと魅力を伝えるのが難しい映画
映画.comの作品紹介では恋愛群像劇と書かれていたが、そんな印象はまったくない。そもそもジャンルを定めることが難しい映画だ。意外と笑いが起きるコメディであり、シュールな設定のラブストーリーであり、「人を信じる」ことを描いた物語とも言える。でも、どれも違うと感じてしまう。
でも、テーマとかジャンルとかそんなの関係ない映画だった。これが不思議。人には説明しづらい映画ってこと。
冒頭の話で出てくるいかがわしいレントゲン写真のことは誰が写っているのかが話題だったのに終わりはグダグダだし、その後の話もキッチリ決着ついていく感じではない。終わり方も観た人のほとんどがスッキリしないやつ。近くに座っていたおじさんが不満げな独り言をつぶやいていたが、その気持ちもわからないではない(たとえ小声でも口にはしないでほしいけど!)。
結局この映画の(自分が感じた)魅力を説明しづらい映画ってことは確かだ。
みんな大好きレントゲン室
元女性修道院の病院に勤める看護師の悩める恋愛話。
レントゲン室で乳繰り合うレントゲン写真が切っ掛けで病院を辞めようとした主人公が、あからさまに疑われたことで辞めることを止めて始まって行くストーリー。
コメディではあるしユニークではあるけれど、ノリもテンポもよろしくなくて愉しさは感じない。
副院長の話しとかナマズが地震がシンクホールがと展開していくけれど、結局ポンコツ彼氏と上手く行かなくなった関係がどうとかで、穴に落ちたらどうするかということなんですね。
自分にはハマらなかった。
ク・ギョファン他名だたるスターが意外な表情を見せる愛らしくてケッタイな群像劇
何のこっちゃ解らないお話。いかがわしいレントゲン写真、各地に突如巨大な穴が空く怪現象、看護師ユニョンに話しかけるなまず、再開発計画に抗議して土地を占拠して日光浴を楽しむ若者達、独特の空気感を伴って意味ありげに放り込まれる断片にどんな意味があるのだろうと注意深く見つめていたつもりですが、ユニョンと彼氏のソンウォンのどこにでもいそうなカップルあるあるを眺めているとだんだんとどうでもよくなり、のんびり流れる時間に身を委ねていると意表をつくハプニングで強制終了。ここでプッと笑ってしまいました。
登場人物が皆愛おしくて、『野球少女』のイ・ジュヨン、『新感染半島 ファイナル・ステージ』のクォン・ヘヒョとク・ギョファン、『三姉妹』のムン・ソリといった名だたる俳優達が他作品では見せたことのないようなキュートな表情を見せるのが魅力的。特にク・ギョファンの優しいダメ男ぶりが意外過ぎてツボでした。
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